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料理魔法のバフ飯屋台~食べた仲間が強くなるごはん、作ります~  作者: たこやき風味


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第54話 うわぁ……ねばねばだよぉ……

 タコって、陸にもいるんだっけ?


 巨大なタコみたいな魔物にぐるぐる巻きにされて、意識が薄れかけた、そのとき――


「ファイアボール!」


 ラセンの声と同時に、目の前でタコの頭が炎に包まれた。

 腕の力がゆるみ、お尻から地面に落ちる。


「ったぁ!」


「茉歩瑠! 離れろ!」


 サビーの声に、私は四つん這いのまま必死にその場を離れる。

 直後、サビーの短剣が、八本の腕を次々に切り刻んだ。



「うわぁ……ねばねばだよぉ……」


 タコの粘液で、全身がべたべたする。


「お前が不用意に近づくからだ」


 短剣に付いたぬめりを拭きながら、サビーが呆れたように言う。


「だって、なんか丸いのが見えたから、食材かと思ったんだもん……。それに、こんなところにタコがいるなんて思わないじゃん」


「タコ? こいつは〝オクパトス〟だ。産卵期になると海から上がって、森の中で卵を産むんだ。子供のころ授業で習っただろ?」


 少なくとも、私が受けた生物の授業では習っていない。



「全身のねばねば、早く洗い流したい!」


「わ、私も……墨をかけられちゃって……」


「なんだお前ら、風呂か? それなら、ほら、あそこ」


 サビーが指さした先には、小川がさらさらと流れている。


「えー、川じゃん! 冷たいのいやなんだけど!」


「わ、私も……冷たいのは……」


 小川で水浴びなんて、冷たいし、どう考えても丸見えじゃん!


「じゃあどうすんだよ。そのままでいるのか?」


「それは……」


 粘液が乾きはじめて、かぴかぴしてきた……。これはこれで嫌すぎる。

 しかも、なんだかちょっと生臭い。うぅ……。


 ん? 待って。次の街には明日には着く予定だし、水樽の中身もまだたっぷりある。


 それなら!


 私はいちばん大きな鍋に水を張ると、かまどに火を入れた。



「背中流すよぉ」


「あ、ありがとう、茉歩瑠ちゃん……」


 私とラセンは、屋台に布を引っかけて目隠しにして、その中で行水をしていた。


 お湯を沸かしては流し、また沸かしては流し……めちゃくちゃ効率は悪いけど、あったかいお湯が、体にまとわりついた粘液を少しずつ洗い流していく。

 これはこれで、さっぱりはする。


 するんだけど――。


「あーっ、面倒っ! 頭からザーッとシャワー浴びたい!」


 その後も、鍋で沸かしたお湯を何度も浴びて、どうにか粘液を洗い流した。

 でも、髪の奥に残った臭いは、最後まで消えなかった……。


 このとき、私はひとつの決断をした。

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