第46話 気に入られちゃったんだけど……
満天の星空。
なんだか寝付けない私は、テントを抜け出して空を見上げていた。
「あの子、いったい何だったんだろう……」
突然現れて、私のごはんを食べて、ふっと消えていった少女。
それに、あの「おもちゃをこわした」って言葉も気になる。
おもちゃ……おもちゃ……。
あっ!
サビーがキメラを倒したとき、「おもちゃ」って聞こえてきた……もしかして!?
「あのときの声、あの子だったのかも!」
「そうだよ、わたしー!」
「うわっ!」
気づけば、さっきの少女が私の横にちょこんと座っていた。
胸の奥がどくどくと騒ぎ出す。
「か、か、帰ったんじゃなかったの!?」
「ううん。なんか楽しそうだったから」
「そ、そう……」
ごくりと唾を飲み込んで、意を決して少女に尋ねる。
「あの、熊とトカゲをくっつけた魔物……あれって、あなたが作ったの?」
「そうだよ! すごいでしょ?」
「う、うん、たしかに、すごかったけど……」
少女がどこまでも無邪気に笑う。
「なんで……作ったの?」
手汗がやばい。
というか、なんで私、こんな相手に普通に質問してるんだ?
「なんか、森の中で嫌なやつを見かけたの。だから、けしかけてやったの!」
「森の中で、嫌なやつ……。もしかして、金髪のやつ?」
少女がぷくっと頬を膨らませる。
「そう! 喋り方とか、しぐさとか、なんかすっごく嫌だったの!」
間違いない! ガークのことだ!
「わかる! あいつ、ほんっっっとうに感じ悪いよね!」
思わず食い気味に返す。
「やっぱり!? あなたとは気が合うかも!」
あっ……。
ガークが嫌なやつすぎて、うっかり会話が弾んでしまった……。
「そろそろ帰らなくちゃ。あなた、茉歩瑠って言うんでしょ? 私はメリア。茉歩瑠のこと気に入っちゃった。またどこかで会いたいな!」
「あー……うん。ありがとう……」
「それじゃ、またね!」
そう言い残すと、少女はまたふっと姿を消した。
……なんか気に入られちゃったんだけど。
私、大丈夫なの?
「茉歩瑠ー、どうかしたかー」
寝ぼけまなこのサビーが、テントから顔を出した。
「う、ううん! なんでもない!」
◇
あれ以来、メリアは私たちの前に姿を見せていない。
けれど、あんなことがあったせいで、サビーの警戒はずっと解けないままだ。連日気を張っているから、かなり消耗気味。
ラセンも同じで、目の下にくっきりとクマができていた。
その一方で、ウリ坊は翌日にはすっかり元気を取り戻し、今もぷいぷいと私の足元を歩いている。
私はというと、良くも悪くもあの少女にそこまで強い警戒心はなくて、いつもどおりだった。
精神的な疲れを和らげる食材とかないかなー、なんて考えながら、道端をきょろきょろ見回す余裕さえある。
そんな調子で進んでいると、やがて街道を行き交う人が増えてきた。
ゆるやかな丘を登りきると、遠くに街並みが見えた。




