第39話 キッチンを作ってもらえばいいんだ!
それから私たちは、精力的に依頼をこなしていった。
サビーとラセンの戦闘能力を活かして、受けるのは主に討伐系の依頼。
畑を荒らす魔物、下水に巣食った巨大ネズミ、森に出る例の熊――。
おかげで、連日金貨十枚前後の報酬を手にしていた。
◇
「第四回、目指せ王都! 止めろ王様! 作戦会議!」
二人と別れて宿に戻った私は、ステッキと作戦会議を開いていた。
「作戦会議か、久しぶりだな」
「ぷいぷい」
今回はウリ坊も参加している。
まあ、意見を言うわけじゃないけど。
「まんぷく亭のメンバーも、私を入れて三人。荷物運び用の荷車も手に入れたし、なんだかそれっぽくなってきました!」
「そうだな。転送魔法が妨害されたときはどうなるかと思ったが……ここまで来ると感慨深いな」
「でしょ?」
こほんと咳払いして、姿勢を正す。
「でも、目的はあくまで王様を止めること。これからどう進めていくか、だよね」
「そうだな。今の戦力は悪くない。サビーの剣さばきは一流だ。それに、ラセンという魔法使い。あいつの放つ魔法はかなり強力だ。おそらく、相当な資質を持っている。だが、魔力量が少なすぎるのが問題だな」
「それについては、一度に使うリウタンの種の量を増やして、ひと口でどかっと魔力が回復するものを作れないかなって考えてる。できれば、お腹がいっぱいになりにくいやつ」
「それができれば理想だな」
四回目にして、ちゃんと会議してる気がする。いや、今までもちゃんとしてたけど。
ひとりでしみじみしていると、ステッキが声の調子を改めた。
「それとは別に、ひとつ大きな問題がある」
「問題? どんな?」
「お前、旅の途中でどうやってバフ飯を作るつもりだ? 今はこの宿の自炊場を使っているが、道中にそんな場所はないぞ」
「そっか。そうだよね」
バフ飯を作れなかったら、二人を強化できない。
だからといって、街で作り置きしても、何日も旅をしてるうちに傷んじゃいそうだし。
「どうしよう」
「……」
私とステッキが黙り込む。
すると――
「ぷいっ! ぷいぷいぷいぷい」
ウリ坊がベッドに飛び乗り、その上でくるくると回り始めた。
「ちょっと、今は真面目に考えてるんだから……ん? その動き、どこかで……」
あっ。荷台の上で、ウリ坊がよくやってるやつだ。
ごきげんになると、くるくる回るあの動き。
「荷台……荷台……そうか! 荷台にキッチンを作ってもらえばいいんだ!」
まさか、ウリ坊からアイデアをもらうなんて。
「あなた、もしかして天才ウリ坊なんじゃないの!?」
私はウリ坊を抱き上げると、そのまま頬ずりした。
「キッチンの件は、明日荷車屋さんに相談するとして……実は、私からも話があるんだけど」
「なんだ?」
「私、王様を止めに行くって、まだあの二人に話してないんだよね……」
ステッキがぴょこんと跳ねる。
「そ、そういえば、そうだったな」
「うん。依頼をこなすのに夢中でさ。改まって『王様を止めに行く』なんて言って、二人ともついてきてくれるかな……」
「……」
私は報酬につられてこの世界に来たけど、二人は最初からこの世界の住人だ。
王様が二人にとってどれだけ大きな存在なのか、わからない。
「あ、でも安心して。もし二人に断られても、私ひとりで行くつもりだから」
「そうか……すまん……」
ステッキがしょんぼりと曲がる。
うん。
明日の夜、ちゃんと話してみよう。




