第36話 パーティーに名前つけるの?
パーティー登録がどうとか、気にしたこともなかった。
だって、今までキノコ狩りの依頼しか受けてこなかったし。
あれなら、Gランクの私でも受けられるし。
「えっ……じゃ、じゃあ、二人とも、パーティーの登録はしてな……い?」
ラセンも首をかしげる。
ギルドの前で、三人そろって首をかしげる。
「ぷい?」
その空気につられて、ウリ坊も首をかしげた。
◇
窓口のお姉さんが、一枚の紙を差し出してきた。
「これがパーティーの登録用紙ね。あっちのテーブルで書いたら持ってきて」
用紙を受け取り、ペンの置かれたテーブルへ向かう。
「これ、どこに何を書けばいいの?」
あのときと同じように、ステッキに用紙を見せる。
「まずはメンバーの名前だ。それと、代表者の欄にチェックを入れろ」
「えーっと、私とサビーとラセン……っと。私のところにチェックを入れて。あれ? サビーって愛称だよね。いいのかな」
「問題ないはずだ」
「そっか」
相変わらず書きづらい羽ペンで、ちまちまと記入していく。
「最後に、パーティー名? パーティーに名前つけるの?」
「当たり前だ。名前がないと識別できないだろう」
パーティー名か……。
少しだけ考えて、名前の欄に〝まんぷく亭〟と書き込む。
それを見たステッキが、呆れたようにくにゃりと曲がった。
「お前、バフ飯屋をまだあきらめていなかったのか」
「いいじゃん、まんぷく亭。私は料理魔法使いだし、サビーはいっぱい食べてくれるし、ぴったりでしょ?」
「俺もいいと思うぜ!」
サビーも納得顔でうなずく。
「まん……ぷく?」
ラセンは不思議そうに、その名前を見つめている。
このパーティーの代表は私! 異論は認めません!
「書けました!」
元気よく窓口に用紙を差し出す。
「どれどれ?」
お姉さんは申請用紙に目を通し、うんうんと何度かうなずいた。
「はい、問題なし! これで三人は正式にパーティーになったわ。受けられる依頼は、ラセンさんのランクに合わせてBランクまでね」
そっか、ラセンってBランクだったっけ。
ってことは、この前の熊みたいな魔物を倒す依頼も受けられるってことか。
うれしいような、怖いような……。
「あとこれ、パーティー証ね。ギルドの登録証と一緒に持っててね」
そう言って、お姉さんはお揃いのプレートを三枚渡してくれた。
「おそろじゃん!」
思わず声が弾む。
そんな私を見て、お姉さんがくすっと笑った。
「あなたが初めてここに来たときは、正直どうしたものかと思ったけど……もうパーティーを組んじゃうなんて。あのとき、思い切って登録してあげてよかったわ」
「えへへ……。お姉さんに励まされて、私、Gランクなりに頑張ってます」
「今はそうでも、昇格試験もあるし、それに、普段の働きでランクが上がることもあるのよ。だから、これからの頑張り次第よ」
へぇ。試験以外でもランクアップするんだ。
なんだか、ちょっとやる気が湧いてきた。
「ありがとうございました!」
お姉さんにお礼を言って、私たちはギルドをあとにした。
外はもうすっかり暗くなっていて、サビーは今にも空腹で倒れそうな顔をしている。
「よーしっ! ご飯屋さんで、パーティー結成記念パーティーをしよう!」
なんだかややこしいな……。




