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料理魔法のバフ飯屋台~食べた仲間が強くなるごはん、作ります~  作者: たこやき風味


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第34話 後ろ! 誰かいる!

 お弁当、お弁当、採取したものを入れる袋、ウリ坊。


 昨日買った荷車に、荷物をぽんぽんと積み込んでいく。

 こんなに載せたのに、まだまだ全然余裕だ。 


「出発!」


 荷車の引き手を握り、ぐっと力を込める。

 すると、車輪が何も積んでいないときみたいに軽快に転がり始めた。


「えっ!?」


 あまりの軽さに、荷物を積み忘れたんじゃないかと不安になって、思わず荷台を振り返る。


「ぷい?」


 荷台の上のウリ坊と目が合った。


 そうだよね、たった今積み込んだばっかりだもんね。

 積み忘れてるわけないよね。


 けど、こんなに快適なら、もっと早く買えばよかったなー。



 いつものようにサビーが前を歩き、その後ろを私が荷車をがらがらと引きながらついていく。


 傍から見たら、何の集団だ? って感じかもしれない。

 けど、便利だから問題なし。


「今日はいっぱい採取しよう! なにせ、私にはコレがありますからね!」


 そう言って、私は荷車の引き手をぽんぽんと叩いた。


「弁当も山ほどあるしな! 俺も今日はどこまでも行けるぜ!」


 サビーもすっかり上機嫌だ。


「ぷいぷい!」


 歩かなくていいウリ坊は、荷台の上でくるくる回っている。

 あなたには、このあとしっかり働いてもらいますからね!


「……?」


 なんだろう。背中に視線を感じる。


 振り返りたい衝動を抑え、目だけで背後をうかがう。

 そのとき、背後の茂みがガサッと鳴った。


 やっぱり誰かいる!


「サビー! 後ろ! 誰かいる!」


 叫ぶのと同時に、前を歩いていたサビーが身をひるがえし、荷車の横へ滑り込む。

 そのまま腰の短剣を抜き、横一文字に構える。


「ひぃぃぃぃ!」


 弱々しい悲鳴が森に響いた。


 視線を向けると、木の陰から帽子のつばがちらちらと見えている。

 隠れてるつもりなんだろうけど、全然隠れきれてない。


「ん? その声、ラセンか?」


 サビーが警戒を解くように、短剣を下ろす。


「う、うん……」


 ラセンが大きな杖を両手でぎゅっと握りしめたまま、おどおどと木の陰から姿を現した。



 私たちは道端の切り株に腰を下ろした。


「それで、どうしてあなたがここにいるの?」


「え、ええっと……。こ、この前のお礼を言いたくて……来ました」


 ラセンはうつむいたまま、大きな杖の先で地面にのの字を描く。


「この前のお礼?」


 私は首をかしげた。


「お前たちを助けたことか?」


 サビーが、おにぎりをもぐもぐ頬張りながら口を挟む。


「そ、そう。た、助けてくれて、ありがとう……」


 ああ、そんなこともあったっけ。サビーがまるで気にしてなかったから、私もすっかり忘れてた。


「そのことなら気にするな。俺たちも報酬をもらったしな。お互い様だ」


 サビーはそう言って、最後のひと口をぽいっと口に放り込む。


「は、はい……。そ、それでは……」


 ラセンは立ち上がり、私たちに深々と頭を下げた。


「それじゃ、ね。私たちは依頼のキノコ探しがあるから」


 荷車の引き手を握る。


「またな!」


 サビーがラセンに右手を上げると、そのまま私の前を歩く。

 ラセンをその場に残して、ゆっくりと荷車が動き出す――。


        ◇


 森の中に、荷車のがらがらという音だけが響く。


「……」「……」


 私たちは無言のまま、キノコが採れる場所を目指して進む。


「……ついてきてる、よね?」


「……ああ」


 私は荷車を止めて、そっと後ろを振り返る。

 遠くの木の陰から、帽子のつばがぴょこんとのぞいている。


 ……やっぱりいる。


 何事もなかったふりで、再び荷車を引き始める。


 ――いまだっ!


 タイミングを見て、私は勢いよく振り向いた。


「ひいっ!」


 情けない悲鳴を上げて、ラセンが慌てて木の陰に引っ込む。

 ……この子、いったい何がしたいの?


「気づいてるから、出てきなさいよ」


 声をかけると、ラセンはさっきとまったく同じ動きで、おずおずと木の陰から姿を現した。

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