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料理魔法のバフ飯屋台~食べた仲間が強くなるごはん、作ります~  作者: たこやき風味


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33/58

第33話 冒険に使える荷車が欲しいんですけど

 私は倉庫街の一角にある、荷車専門の店に来ていた。


「荷車っていっても、こんなに種類があるんだ……」


 二輪で、前に引き手がついている。

 基本の形は同じでも、荷台の作りは用途によってまるで違うみたいだ。


 どれを選べばいいのかわからなくて、店のおじさんに声をかける。


「すみません。冒険に使える荷車が欲しいんですけど」


「冒険? そりゃまた珍しいな。普通は野菜とか木箱とか、そういう荷物を運ぶために買うもんだろ」


「えっと、食料を運んだり、依頼で採ったキノコを持ち帰ったり……いろいろ使いたくて」


「そうだなぁ……」


 おじさんは頭をぽりぽりとかきながら、しばらく考え込んだ。

 やっぱり、冒険者向けの荷車なんてないよね。


「それなら――」


 そう言って、おじさんは一台の荷車の前で足を止めた。


「これがいいんじゃないか? 用途をひとつに絞っていない、汎用型の荷車だ」


 それはそう。


 あまりにもそのまんまな提案に、思わず顔がゆるむ。


「おまえ、今『それはそう』とか思っただろ」


 ぎくっ! このおじさん、妙に鋭い!


「い、いや……はい……」


「まあいい。最後まで説明を聞いてから、買うか決めてくれ。こいつはただの汎用型じゃあない。あとから用途に合わせて拡張できるようになっている。そのための溝や穴が、最初から作ってあるんだ」


「へぇ」


 ちょっと興味が湧いてきた。

 たしかに、よく見るとほかの荷車にはない溝がいくつもある。

 何かを固定するための作りっぽい。


「しかもだ。この溝は、どの荷車屋の部品でも取り付けられるように、作りが共通になってるんだ。だから、旅先の店でも拡張できるってわけだ。もちろん、俺の店でもな」 


 なるほど。

 今は荷物が運べれば十分だけど、あとから必要になった機能を足せるのはかなり便利かも。

 しかも、旅先で荷車屋を見つければ、そこでも拡張ができるってことだよね。


 すごいじゃん!


「これ、買います!」


「おいおい、お嬢ちゃん、即決かよ。まあいい、金貨十枚だ。払えるか?」


 金貨十枚か……。ギルドの登録料を思い出すなー。

 でも、今回は完全に必要経費だ。


「大丈夫です!」


「そうか。なら、明日取りに来てくれ。整備しておく。金もそのときにな」


「はい!」


        ◇


 翌日、私はサビーを連れて荷車屋に来ていた。


「すげー! 新車じゃん!」


 サビーが少年のように目をきらきらさせながら、荷車のまわりをぐるぐる回る。

 いや、実際、少年なんだけど。


 私は店のおじさんに金貨十枚を渡す。


「たしかに受け取ったぜ。これでこいつはお嬢ちゃんのものだ。大事に使ってくれよ」


 そう言われると、なんだか気分が上がる。

 車なんて買ったことないけど、新車を受け取るときって、たぶんこんな感じなのかも。


「よいしょっと」


 引き手の間に入って、ぐっと力を込める。


「よしっ!」


 そのまま荷車を引いてみる。


「軽っ!」


 思っていたよりもずっと軽い。

 これなら荷物を山ほど積んでも、ちゃんと運べそうだ。


「ありがとうございます!」


 おじさんにぺこりと頭を下げて、私は荷車を引きながら店をあとにした。



「ちょっと、俺にも引かせてくれよ」


 宿へ戻る途中、興味津々のサビーが、目を輝かせてこちらを見ている。


「いいよ」


 私はサビーに引き手を譲った。


「すげぇ! 軽い! 楽しい!」


 サビーはすっかりはしゃいで、上機嫌に荷台を引く。


「ちょ、気を付けてよ! 新車なんだから、ぶつけないでよ!」


「大丈夫だって!」


 笑いながら荷車を引くサビーの後ろを、私もつられて笑いながら追いかけた。

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