第30話 私のギルドランク、Gだよ?
静かになったテーブルで、サビーに尋ねる。
「ねぇ、さっきの話……。私とパーティーを組むって、本気?」
「ああ。本気だ。俺は茉歩瑠と組むぜ」
サビーはあっけらかんと答えた。
「で、でも、私のギルドランク、Gだよ?」
「へー。Gランクなんて初めて聞いたぜ! 逆にすげーな!」
「すげーなって……」
サビーはまったく気にする様子もなく、魚の串焼きを豪快にかじる。
サビーのランクはEだから、パーティーを組めば、今よりは少しだけましな依頼も受けられるようになる。
だけど……。
「ほんとに、いいの?」
「何度も言わせるなよ。茉歩瑠と一緒にいれば、うまいもんがいろいろ食えるしな」
「えぇ!? 私と組む理由って、それ?」
サビーは素直っていうか、いくらなんでも正直すぎるでしょ!
「まあ、それも本当だ。でも、それだけじゃない。茉歩瑠はこんな俺を頼ってくれるし、信頼もしてくれる」
その言葉に、また胸の奥がぎゅっとした。
さっきとは、違う理由で。
「……わかった。私も、サビーと組めるのは嬉しい。すごく心強いよ! これからよろしくね!」
「ああ! よろしくな!」
それから私たちは、パーティー結成のお祝いに乾杯した。
とはいっても、二人ともお酒は飲めないから、ただのお茶なんだけど。
食後のデザートをつついていると、サビーがふと思い出したように口を開いた。
「それでさ、茉歩瑠。いきなりで悪いんだけど、俺、明日は一緒に行けないんだ」
「ん? どうして?」
「俺、最近調子が良くってさ。だから、ギルドのランク昇格試験を受けることにしたんだ」
「へ、へぇ」
しまった! サビーに〝バフ飯〟のこと、ちゃんと説明してなかった!
大丈夫かな……。
いや、でも、本当に実力が上がってる可能性だってあるし、説明するのは結果が出てからでもいいか。
「わかった。私も買い出しがあるし、明日は依頼を受けるのはお休みにしよう」
◇
翌朝、ギルド前。
サビーは私にぶんぶんと手を振りながら、元気よくギルドに入っていく。
その姿を見届けると、私は市場へ向かった。
「いっつも火竜の実のおにぎりだもんね。今日は、ほかの料理に使えそうな食材を探したいな」
目抜き通りに軒を連ねる露店。
久しぶりの買い物は、見て歩くだけでもなんだか楽しい。
もちろん、かばんの中には食材辞典がある。
せっかくなら、バフ効果のある食材を買いたいし。
見たこともない食材が山盛りになった店先を見て回る。
気になるものを見つけるたび、私は足を止めて食材辞典を開いた。
「へぇ、この種みたいなの、魔力回復の効果があるんだ。えっと、〝リウタンの種〟。〝仁〟に魔力回復の効果、か」
一袋で銀貨一枚。
ざっと見ても百個くらいは入っていそう。
ひとつ十円くらいなら、悪くないかも。
「すみませーん、これ、一袋ください!」
ほかにも使えそうな食材をあれこれと買い込んで、気づけば夕方になっていた。
私は大荷物を抱えたまま、サビーの試験結果を聞きにギルドへ向かった。




