第22話 魔物を倒すところ、ちゃんと見ました!
「だから、俺が倒したんだって!」
「んなわけあるか! Eランクのお前が勝てる相手じゃねえんだぞ!」
あのときの少年と、金髪の青年が言い争っている。
もしかして、この金髪がリーダー?
そのそばには、大きな三角帽子にローブ姿の女性と、ゲームのキャラでよく見る僧侶みたいな格好をした女性が立っていた。
三角帽子の女性は人だかりにおろおろしていて、僧侶の女性は苛立った顔で少年を睨んでいる。
金髪の青年が、少年の胸ぐらをつかんでぐいっと持ち上げる。
「弱いくせに飯ばっか食いやがって! それに嘘までつくようになったのかよ!」
つま先立ちのまま、少年がキッと睨み返す。
「嘘じゃない! 証拠の耳だって持ってきただろ!」
「んなもん、偽物に決まってるだろ!」
見かねた私は、二人の前に飛び出した。
「その子、嘘はついてません! でっかい魔物を倒すところ、ちゃんと見ました!」
「ん? なんだ、てめぇは。もしかして、こいつの知り合いか?」
「ち、違います。知り合いっていうか、私、その子に助けてもらって――」
「関係ねぇなら、ひっこんでろ!」
私の話なんて聞く耳も持たず、金髪の青年は少年を突き飛ばした。
少年は地面を転がり、勢いのまま仰向けに倒れ込む。
さらに追い打ちをかけるように、金髪が吐き捨てる。
「お前はクビだ。俺たちに二度と関わるな!」
その剣幕に、人だかりがさっと左右に分かれる。
その間を、三人は通り抜けていく。
野次馬たちも、やがてぱらぱらと散っていった。
私は、地面に転がる少年に駆け寄った。
「大丈夫?」
「あんたか。カッコ悪いところ見られちまったな」
「そんなことより、怪我してない?」
少年に手を貸し、立ち上がらせる。
「また揉めてたみたいだけど……」
「ぐぅぅぅぅ」
「……ご飯食べながら、話しよっか」
私は苦笑いしながら、少年と一緒に街のレストランへ向かった。
テーブルの上に、食べ終えた皿がうず高く積み上がっていく。
まるで漫画みたいな光景が、目の前で着々と完成しつつあった。
こういう場面を見るたびに思うんだけど、店員さんはどうして皿を下げに来ないんだろう。
レストランの皿だって、無限にあるわけじゃないよね?
「支払いは心配するな。俺には魔物討伐の報酬が入るからな」
少年はそう言って、肩から下げたかばんをぽんぽんと叩いた。
どうやら、レストランの皿が足りるか心配していた私を、会計の心配をしていると勘違いしたらしい。
「いや、それはいいんだけど……。なんでまた揉めてたの? しかも、クビって……」
「前にも言ったろ。俺、すぐ腹が減るんだ。Eランクで戦力にもならないのに、飯ばっか食ってるから、リーダーはそれが気に入らないんだよ」
「そっか」
よそのパーティーのことに、部外者の私が口を出すのも違う。
そう思って、私はそれ以上何も言わず、パスタを口に運んだ。
うん、おいしい。
私がパスタを一皿食べ終えたころ、少年の周りには皿の壁が完成した。
「さてと、腹もふくれたし、ギルドに討伐の報告に行くか。悪い、ここの支払い、ちょっと立て替えといてくれないか? 報酬が入ったらすぐに返すから」
「いいよ。それじゃ、あとでちゃんと返してね」
私は店員に食事代を支払うと、少年と一緒にレストランをあとにした。




