↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
料理魔法のバフ飯屋台~食べた仲間が強くなるごはん、作ります~  作者: たこやき風味


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
17/58

第17話 異世界の難易度高すぎる!

「ぜんっぜんだめだー!」


 宿に戻るなり、そのままベッドに飛び込む。

 視界の端に木の看板と木箱が映って、さっきの兵士の、呆れたような顔まで思い出してしまう。


 せっかく開店した、私のお店……。


「あーっ!」


 枕に顔を埋めたまま、思いっきり叫ぶ。


「うまくいかない! おにぎり売れない! 登録費用高い! 異世界の難易度高すぎる!」


「うるさい! 少し冷静になれ!」


「……」


 ステッキに怒鳴られて、大人しく仰向けになる。

 すると、お腹の上によちよちとウリ坊が乗ってきた。


「あー、よしよし。私を慰めてくれるのはあなただけだよ……。どこかのステッキさんとは大違いだね」


「……そいつと遊んでいても、状況は変わらないぞ?」


「わかってますー」


 ウリ坊を撫でながら、ふてくされた声で返す。


 バフ飯屋が頓挫した今、次の手を考えないといけない。

 こういうときは――


「だいさんかい、めざせおうとー、とめろおうさまー、さくせんかいぎー」


 私はベッドに寝ころがったまま、気の抜けた声で会議を始めた。


「おにぎりが売れませんでした。どうすればいいですか? はい、ステッキさん」


「お前は魔法使いなんだから、冒険者ギルドに行ってみたらどうだ。お前でもできる簡単な仕事もあるはずだ」


「なるほど……」


 ステッキに言われて、上半身を起こす。

 お腹の上にいたウリ坊が、ころりと横に落ちた。


 確かにその通りだ。

 私、魔法使いだった。


 ……いや、ほんと、なんで露店商ルートに入ろうとしてたんだろ。


        ◇


 剣と盾が重なった看板の建物は、見た目だけならまるで酒場みたいだった。

 西部劇みたいな扉をそっと開けて、中をのぞき込む。


 カウンターでは大男が受付嬢と話していて、壁一面の掲示板の前には、冒険者らしい人たちが何人も集まっている。

 商人ギルドとは違って、がやがやとにぎやか。

 これはこれで入りづらい。


「じゃまだ、どけ!」


「えっ!?」


 いきなり背中を押されて、私はそのままギルドの中へ転がり込んだ。


「痛ったぁ!」


 床に転がる私のすぐ横を、大きな斧を担いだかっぷくのいいおじさんが、何事もなかったように通り過ぎていく。


「……ちょ……」


 喉まで出かかった「ちょっと!」を、必死に飲み込む。

 変にもめるのも面倒だし。


 それに、あんなでっかい斧を担いだ相手に、絶対に勝てるわけない。

 悔しいけど、ここは我慢だ。


 黙って立ち上がり、服についた埃をぱんぱんと払う。

 気を取り直して、空いているカウンターへ向かう。


「あの、すみません。仕事をしたいんですけど……」


「仕事をしたい? ああ、ギルドに登録したいってことね?」


「あ、はい。そうです」


 そりゃそうか。

 仕事をするためには、ちゃんとギルドに登録しないとだめだよね。


「それじゃ、申請用紙に必要事項を記入してね。書くところが多いから、あっちのテーブルで書いたら持ってきて」


「はい」


 用紙を受け取り、ペンの置かれたテーブルへ向かう。

 紙は全部で三枚。


 けっこうあるな。


「これ、どこに何を書けばいいの?」


 ステッキに用紙を見せる。


「まずはここに名前だな。この世界にもいろいろな言語がある。お前の世界の文字でそのまま書いても問題ないだろう」


 名前の記入欄に、使い慣れない羽ペンで星咲茉歩瑠、と書き込む。


「あとは?」


「ここに職業だ。お前の場合は魔法使い。隣の欄には属性を書け。属性は料理だな」


「わかった」


 魔法使い……料理……と。

 まだまだ書くところがいっぱいある。ステッキに教わりながら、なんとかすべての欄を埋めていく。


 ふぅ、やっと三枚目……。


「これはアンケート用紙だな。『受付は笑顔で対応していましたか?』だそうだ。どうだ?」


「『どうだ?』じゃないって! 登録に関係ないじゃん! 受付のお姉さん、にこにこしてたけどさー」


 結局、私は律儀にアンケートに答えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。