閑話: リオの勘違い闇魔法特訓②
リオ視点の閑話 リオの勘違い闇魔法特訓①の続きです。
シリアス少なめ、ギャグ寄りのシリーズになります。
リオが妙な方向へ努力しますので、軽い息抜き回として楽しんでいただければ幸いです。
◇
王都中央図書館。
大量の古文書へ囲まれながら、リオは真剣な顔で文献を読み込んでいた。
「……なるほど」
「やっぱり超級魔法を覚えるには、段階を踏まないとダメなんだな」
リオは小さく頷く。
超級魔法。
それは本来、長い年月をかけて到達する領域。
アレクシアも。
セレナも。
何年も研鑽を積んでようやく辿り着いたと言っていた。
だからこそ。
リオは今回は真正面から努力しようと思っていた。
ちゃんと基礎から。
順番に。
自分の力で。
その時。
リオの視線が、一冊の古びた文献へ止まる。
そこへかろうじて残されていた文字。
超級闇魔法。
《無名の帳ブラインド・ベイル》
だが。
残っているのは名前だけ。
術式なし。
詠唱なし。
効果説明なし。
「うーん……」
リオは腕を組む。
だが。
逆に燃えてきた。
「よし」
「まずは中級魔法からだ」
完全にやる気だった。
◇
数日後。
王都郊外。
リオは人気のない空き地へ来ていた。
手には古い文献。
そこへ書かれていたのは。
中級闇魔法。
《暗幕ダークカーテン》
ただし。
説明は数行だけ。
“闇を広げる”
それしか書かれていない。
「……つまり」
リオは真剣な顔で考える。
「視界遮断系だな」
完全に独自解釈である。
リオは静かに闇属性魔力を練り上げ。
独自で考えた詠唱を唱えた。
魔法の効果大賞は自分自身。
「沈め、光。落ちよ、闇の帳。《暗幕ダークカーテン》」
そして。
魔法発動。
次の瞬間。
周囲一帯が真っ黒になった。
「うわっ!?発動した!」
「な、何も見えない!?」
本人が一番驚いていた。
慌てて魔法解除。
光が戻る。
「……なるほど」
「こんな感じか」
「もう少し苦労するかと思ったんだけど」
「まぁ、中級だしな」
中級でもいきなり自分で考えた詠唱で魔法は発動しない。
通常ならば。
だが、亡霊が手を加えた今の身体は闇属性に最大の適性を持っていた。
独自詠唱がいきなり効果を発揮するくらいに。
そして。
リオは真剣にメモを書き込む。
完全に研究者だった。
◇
さらに数日後。
「よし……!」
今度は別の文献。
上級闇魔法。
《静寂領域サイレント・ゾーン》
またしても説明不足。
“音を沈める”
それだけ。
「つまり範囲音遮断魔法だな」
リオは頷いた。
魔力を制御。
展開。
詠唱。
「揺らめく声よ、深淵へ沈め。さざめく響きよ、闇に抱かれて眠れ。
我が領域に、静寂の幕を──《静寂領域サイレント・ゾーン》」
一瞬発動しそうになった。
だが、霧散。
「うーん。この呪文じゃだめか」
「じゃ、次の詠唱!」
リオは、それっぽい詠唱を100以上考えていた。
手あたり次第に試すつもりだ。
そして。
30数回目の詠唱。
「響きを喰らう黒き淵よ、口を開け。すべての声を呑み、すべての音を奪え。
いま此処を、無音の墓所と化せ──《静寂領域サイレント・ゾーン》」
次の瞬間。
世界から音が消えた。
風の音。
木々の揺れる音。
自分の呼吸。
全て。
完全な静寂。
「……おお」
「……この詠唱で発動するのか」
リオは少し感動していた。
だが。
実際には、30数回効果を考えて集中して詠唱したためにその常識離れした闇属性への適性で発動しただけだった。
つまり。
呪文は何でもよかった。
リオはそんなことにも気づかず、満足そうに頷く。
「うん」
「努力が実を結んでる」
「ちゃんと進歩してるんだ!」
本人は完全に真面目だった。
◇
そして。
気づけばリオの机の上には大量のメモが積み上がっていた。
闇魔力の流れ。
感知阻害。
視界遮断。
音遮断。
魔力干渉。
独学。
完全な独学。
だが。
リオは確かな手応えを感じ始めていた。
「……いける」
リオは古びた文献を手に取る。
超級闇魔法。
《無名の帳ブラインド・ベイル》
名前しか残っていない魔法。
だが。
今なら。
少しだけ分かる気がした。
「よし……!」
リオは静かに立ち上がる。
「次はいよいよ超級魔法だ」
閑話で何かこうかなぁと思ってたらこんな感じになりました。
ちょっとふざけすぎと思われた方はそっと忘れていただければ助かります・・・
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