閑話 亡霊②
アグレス坑道深層下部。
薄暗い空間の中で、古びた魔導装置だけが淡い光を放っていた。
壁一面へ浮かび上がる無数の映像。
その中央には。
蒼天の軌跡と共に戦うリオの姿が映し出されている。
亡霊は椅子へ深く腰掛けながら、その光景を心底楽しそうに眺めていた。
「すごいすごい!!」
「ブルー・サイクロプス・ギガント戦!あれは血沸き肉躍ったね!」
「いやー。ホントリオちゃんすごいね(笑)」
「『お前の相手は俺だ!!』かー。かっこいい!!」
「超級魔法も習得。どんどん強くなって、」
「仲間と一緒に困難をくぐりぬけていく!素晴らしい!」
「ホント、リオちゃんは最高だ」
アグレス坑道四十五階層。
蒼天の軌跡と共に死線を越えたリオの戦いを、亡霊は腕輪越しに全て見ていた。
あれから、リオは蒼天の軌跡の仲間達ともさらに打ち解けている。
「見てるだけでも映画より楽しいよ」
亡霊は満足そうに笑う。
だが。
その笑みは、すぐに少しだけ苦いものへと変わった。
「……まぁ、本当はもっと直接からかいたいんだけどねぇ」
「さすがに今は無理か」
亡霊は背もたれへ深く身体を預ける。
今、亡霊のいる部屋はアグレス坑道深層下部へ固定されている。
かつては浅層付近へ存在していたこの部屋も、今では深層下部からほとんど動かしていない。
理由は単純だった。
深層下部の方が空間維持に必要な魔素が少なくて済む。
そして。
探索者に見つかる危険も遥かに低い。
もちろん、浅層へ移動できないわけではない。
だが。
それには莫大な魔素を消費する。
「魔素は可能な限り節約して、残り時間はなるべく長くしたいなぁ……」
亡霊は軽く肩をすくめた。
さらに。
亡霊自身が腕輪を通してリオの前に現れるのも、ある程度大きな魔素を必要とする。
だから最近は、こうして腕輪越しにリオを観察する程度に留めていた。
「まぁ、そのうち話さなきゃいけないかな」
「僕が深層下部にいることも」
「顕現している時間には限界があることも」
そして。
亡霊は小さく笑う。
「次はいつ、リオちゃんをからかうかなぁ……」
静かな部屋。
無数の映像の中央では、リオが蒼天の軌跡の仲間達と笑っていた。
その光景を眺めながら。
亡霊は楽しそうに呟く。
「いや、ホント」
「リオちゃん。君は最高だよ」
「最後の瞬間まで、僕を楽しませてね」
ミア、セレナ、レオル&ドルクときたら、最後は亡霊ですよね??
ということで、亡霊②です。
閑話連続投稿は一旦終了。また別の閑話を考えて投稿しますね。
4連続の2話投稿、お楽しみいただけたなら嬉しいです。
さて、そこでご相談(笑)
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