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【毎日更新】亡霊の罠で女になった万年D級探索者、拾われた先で頭角を現す ~灯火の輪のリオ~  作者: アサトン


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閑話:セレナ

リオとミアが王都の迷宮で冒険していた頃。


セレナは今日も探索者ギルドの図書館を訪れていた。


机の上には大量の資料。


開かれているのは五十五階層の階層主――ウォー・オーク・エンペラーについて記された古い文献だ。


蒼天の軌跡にとって、次なる目標。


その攻略のヒントを探すため、セレナはここ数日ずっと調査を続けていた。


だが。


最近はどうにも集中できない。


ふと気が付くと。


別のことを考えてしまっている。


「……リオは上手くやってるかしら」


思わず小さく呟き、セレナは苦笑した。


心配する必要なんて、本当はないのかもしれない。


リオの能力は驚異的だ。


自分の超級魔法。


そして姉――アレクシアの超級魔法。


その両方を使える。


さらには普通なら一発でマナ切れになってもおかしくないフレアストームを平然と連発する。


王都でも間違いなく通用する。


役に立てないはずがない。


それでも。


どうしても心配になってしまう。


リオは、無茶をするから。


思い返せば。


最初からそうだった。


身体強化。


それも、本人が使っている自覚すらないまま常時発動していた。


最初は単純に危なっかしく見えていただけ。


……いえ。


それだけではない。


外見はとても可愛い女の子。


守ってあげたいと思ってしまったのも事実だった。


だから。


私は先生役を買って出た。


魔法。


魔力制御。


探索者として必要な知識。


リオへ色々なことを教えてきた。


だから。


蒼天の軌跡の中で、一番長くリオと一緒にいたのは私だ。


それは間違いない。


一緒にいる時間が増えるほど。


リオという子がどんな人間なのかも分かっていった。


礼儀正しい。


優しい。


気配りもできる。


それなのに、自分に自信がない。


とんでもない才能を持っているのに。


それを鼻にかけようともしない。


……まぁ、今の身体は自分の実力じゃないと思っているのかもしれないけど。


そして。


私が教えたことを、リオは次々と吸収していった。


吸収するというより。


ほとんどの場合、一瞬で覚えてしまうと言った方が正しいかもしれない。


本当に凄い子だと思う。


気が付けば。


私はいつもリオを見ていた。


どんどん強くなっていく姿を。


そして。


脳裏に浮かぶのは、あの日の光景。


四十五階層。


サイクロプス・ギガント戦。


突然現れたブルー・サイクロプス・ギガント。


完全に想定外だった。


私の作戦ミスで全てが崩壊する。


そう思った。


でも。


それをリオが救ってくれた。


「お前の相手は俺だ!!」


あの瞬間の姿を。


今でも鮮明に思い出せる。


凄かった。


本当に。


見惚れてしまうくらいに。


でも同時に。


怖くなった。


リオはすごい。


でも。


私の作戦ミスのせいで、もしリオが死んでしまったら。


私はきっと立ち直れない。


そう思った。


それなのに。


リオは最後まで私の指示を信じてくれた。


ブルー・サイクロプス・ギガントだけじゃない。


後から現れた増援まで、一歩も近づけなかった。


戦いの後。


打ち上げでリオは言った。


「増援を止めるのは俺の仕事です」


迷いもなく。


当然のように。


私の作戦を信じて、自分の役目を果たしたと言ってくれた。


あの時。


正直、凄く嬉しかった。


そして。


セレナは机へ突っ伏すように額を押さえる。


「はぁ……」


思い出すのは戦闘直後。


思わず本音が漏れてしまった時のこと。


『あなたまで失ったら』


『私は立ち直れないかもしれない』


あんなことを言うつもりじゃなかった。


でも。


あれは間違いなく本音だった。



「……リオ」


図書館の窓から、セレナは遠く空を見つめる。


王都はここから遥か遠く。


「リオはホントに大丈夫かしら……」


そう呟きながら。


そしてまた、リオのことを心配している自分がいた。

ミア編に続き、セレナ編の閑話です。閑話は 6:10 公開。

メインストーリーはいつも通り19:10公開です。


読んでいただきありがとうございます。面白いと思っていただけたら、ページ下部の【☆☆☆☆☆】の評価や、ブックマークで応援していただけると執筆の励みになります!m(_ _)m

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