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【毎日更新】亡霊の罠で女になった万年D級探索者、拾われた先で頭角を現す ~灯火の輪のリオ~  作者: アサトン


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第47話 打ち上げ

蒼天の軌跡は、馴染みの居酒屋『赤狼亭』へ来ていた。


夕方の店内は探索者達で賑わっている。


「いらっしゃい!」


明るい声と共に駆け寄ってきたのは、看板娘のカティアナだった。


だが。


その瞬間。


「カティアナー!!」


レオルが大声を上げた。


「酒だ!!」


「今日は飲むぞ!!」


店内が一瞬静まり返る。


カティアナが目をぱちくりさせた。


「え?」


「なによいきなり」


「やったの!!」


今度はミアが叫ぶ。


「聞いて!!」


「聞いて聞いて!!」


「ついに」


「四十五階層突破したの!!」


「は?」


カティアナが固まった。


「四十五階層?」


「うん!!」


「突破した!!」


カティアナはセレナを見る。


セレナは苦笑しながら頷いた。


「ええ」


「本当よ」


数秒。


カティアナは満面の笑みで言った。


「おめでとう!皆さん」


「ありがとさん」


レオルが笑う。


「だから今日は飲む」


「一番高い酒持ってこい」


「はいはい。まいどありー」



乾杯。


酒。


料理。


笑い声。


赤狼亭の一角だけ異様な盛り上がりを見せていた。


「しかし」


レオルがジョッキを置く。


「ブルーが出てきた時は焦ったな」


「焦ったじゃ済まないよ!」


ミアが即座にツッコむ。


「終わったと思ったもん!」


「私もよ」


セレナがため息を吐いた。


「本当に予定外だったわ」


「フィエルの固有結界の優秀さを改めて思い知らされたわ」


「あのウォークライも含めて外部と完全に遮断していたのね」


ドルクも頷く。


「うむ」


「まぁなんだ」


レオルは言う。


「俺たちももっと鍛えねぇとな」


「リオに置いて行かれちまう。」


リオはその言葉に驚く。


「なにいってんですか、レオルさん」


「俺なんか、まだまだです」


皆は一斉にリオを見る


「違うだろ」


「今日勝てたのは、お前のおかげだ」


レオルがいう。


「そうよそうよ!」


「そうね」

 

「うむ」


皆が一斉に反応した。


「そもそも、無茶しすぎだ」


レオルが真剣な顔で言う。


「そうよ!」


ミアも乗っかる。


「ほんと無茶!」


リオは肩をすくめた。


「でも、あのままブルーがドルクさんのところに行ったら戦い全体が崩壊してしまうと思って」


「とにかく近づけないように」


「ホントに無我夢中でした」


「それに」


「増援を止めるのは俺の仕事です」


セレナが眉をひそめる。


「だからって」


「あれは無茶しすぎです」


「しかも、その後はブルーをおさえながら増援の足止めまで継続して」


レオルが突っ込む。


「まぁ、結果的には上手くいったけどな」


「結果論です!」


セレナが即座に反論した。


「失敗してたらどうするのよ!」


「あ。ストップストップー」


「またやるつもり?」


ミアがにやにやしながら言う。


セレナが尋ねる。


「なんのことですか?」


「ふふーん」


「今日のセレナすごかったよね」


セレナの眉がぴくりと動く。


「ミア」


「なーに?」


「やめなさい」


「えー」


ミアは楽しそうに笑う。


「だってさー」


「今日のあれはずるいよ」


「ずるい?」


リオが首を傾げる。


「そう!」


ミアは大きく頷いた。


「だって」


「あなたまで失ったら私は立ち直れないかもしれない」


セレナが固まった。


レオルが酒を吹き出した。


「ぶっ!!」


「ミア!!」


「だって言ったじゃん!」


「言ったわ。言ったけど!」


ミアは頬を膨らませた。


「ずるい」


「セレナばっかり」


「わたしだって心配したもん」


「ものすごく心配したもん」


そして突然立ち上がった。


「決めた!!」


レオルが眉をひそめる。


「今度は何だ?」


「私」


「王都についていく!!!」


沈黙。


リオが瞬きをする。


「え?」


「今日見てて思ったの」


「絶対誰かがリオを見てないとダメ」


「また無茶するもん」


「だから!」


「蒼天の軌跡代表として!」


「私がついていく!」


「代表ってなんだ」


レオルが笑う。


「代表は代表です!」


「リオ支援代表」


ドルクも頷く。


「うむ。必要かもな」


リオは予想外の方向からの言葉に慌てながら突っ込む。


「ドルクさんまで!?」


ミアは満面の笑みを浮かべる。


「いいよね?」


まずリオを見る。


そして。


にやり。


「いいよね。セレナ」


セレナは額を押さえた。


「まぁ」


「私は五十五階層攻略の準備があるし」


「ミアについていってもらえれば安心ですね」


ミアがにやにやする。


「ほんとにそう思ってる~?」


「怪しいなぁ」


「な、何のことですか」


「リオをよく見張っていてください」


「見張りだけじゃ済まないかもよ~?」


「ミア!!」


店内に笑い声が響く。


四十五階層突破。


長かった停滞。


失った仲間。


そして。


ようやく掴んだ前進。


今夜だけは。


誰もが心の底から笑っていた。


読んでいただきありがとうございます!

久しぶりに、みんなが心から笑える回でした。

次回からは、リオとミアは王都に出張!新たな活躍を見せる予定です !(^^)!

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