第43話 報告
蒼天の軌跡が長期滞在している宿へ戻ると、ちょうど全員が自己訓練から戻ってきたところだった。
「おう、お帰り」
レオルが手を上げる。
だが。
アレクシアの顔を見るなり眉をひそめた。
「おい、ずいぶん顔色悪くねぇか?」
リオは思わず口を開いた。
「あ、その……」
「俺のせいです」
「超級魔法を何度も見せてもらったので……」
アレクシアは即座に遮った。
「馬鹿」
「勝手に自分のせいにするな」
「アタシが納得するまで付き合っただけだ」
そして椅子へ腰を下ろす。
「約束通りだ」
「リオは覚えたぜ」
全員の視線がリオへ集まる。
ミアが目をぱちくりさせた。
「え?」
アレクシアは続ける。
「こいつ」
「三回見ただけで超級魔法を覚えやがった」
沈黙。
数秒後。
ミアが声を上げた。
「えぇ!?」
レオルも呆れたように頭を掻く。
「相変わらずだが」
「呆れるな」
セレナはアレクシアを見る。
「姉さん」
「三回って……」
「三回も超級魔法を使ったの?」
アレクシアは鼻で笑った。
「しゃーねぇだろうが」
「リオは見るたびに上達するんだが」
「さすがに二回じゃ再現できなかったみたいでな」
「三回見せてようやく覚えやがった」
ミアが呆れた顔になる。
「ようやくって……」
「たった三回……?」
レオルも頷く。
「普通は無理だろ」
ドルクは腕を組んでいつも通り小さく頷いた。
「うむ」
だが、その表情はどこか感心したようにも見える。
セレナだけは別のことが気になっているようだった。
「姉さん」
「体は大丈夫?」
「超級魔法を三回も使ったら、マナ切れで倒れてもおかしくないんじゃ……」
アレクシアは豪快に笑う。
「アタシはそんなに柔じゃねぇよ」
そして肩をすくめた。
「まぁ」
「あと一発撃ったら危なかっただろうけどな」
それを聞いたセレナは小さく息を吐いた。
心底安心したように。
そして席を立つ。
「姉さん」
深く頭を下げた。
「無理をさせてごめんなさい」
「ありがとう」
アレクシアは少しだけ目を丸くした後、
照れ隠しのように頭を掻いた。
「よせよ」
「柄じゃねぇ」
「アタシ自身のためでもある」
「約束は守ってもらうぞ」
「さっさと45階層とやらを攻略して」
「早く王都へこい」
その口元には笑みが浮かんでいた。
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