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【毎日更新】亡霊の罠で女になった万年D級探索者、拾われた先で頭角を現す ~灯火の輪のリオ~  作者: アサトン


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第39話 B級昇格試験

ベルグラン探索者ギルド訓練場。


試験官ドルヴァンは手元の書類を眺めていた。


ギルド長ヴァルドールから直接回された書類だ。


リオ、新規登録探索者。20歳。女性。


B級昇格試験受験。


ドルヴァンは眉をひそめた。


本来ならあり得ない。


新規登録したばかりの探索者が、いきなりB級昇格試験を受けるなど聞いたことがない。


だが、推薦者の欄を見れば理由は分かる。


蒼天の軌跡。


セレナ。


レオル。


ミア。


ドルク。


Aランクパーティ全員の推薦。


さらにギルド長直々の特例許可付き。


よほど期待されているらしい。


本当に実力があるなら歓迎だ。


人手不足は深刻なのだから。


ドルヴァンは書類を読み進めた。


そして、思わず目を疑う。


現在活動階層 深層


到達階層 四十階層


「はぁ?」


思わず声が漏れた。


新規登録の新人が四十階層?


Aランクパーティに同行していただけにしても、この内容は異常だ。


さらに。


感知能力に優れ、剣の実力も蒼天の軌跡の訓練に十分ついていけるレベル。


そして、魔法はまだほとんどが初級だが、五属性使える。


得意魔法はフレアストーム。


そんな記載まである。


「五属性だと??なんだこの申請書……」


「得意魔法はフレアストーム?あの、一発撃てばマナ切れになるネタ魔法か?」


ドルヴァンは頭を掻いた。


ひょっとして、こいつは虚言癖でもあって、周囲を騙しているのではないか。


そう思うほど内容がおかしい。


だが、セレナ達がそんな人間を推薦するとも思えない。


「まぁいい」


ドルヴァンは書類を閉じた。


「ギルド長からもいつもより厳しく見てくれと言われている。試験をすれば分かることだ」


やがて、リオが訓練場へ入ってきた。


なんだ?この可愛い女の子は?


こいつがB級試験?本当に?


ドルヴァンは心のなかでリオの外見に驚きながら軽く手を挙げる。


「俺が今回の試験官、ドルヴァンだ。早速始めるぞ」


「そうだな。まずは得意と書いてある感知能力をみせてもらおう」


リオが頷く。


ドルヴァンは少し意地の悪い笑みを浮かべた。


感知能力に優れる? ならば少し無理難題を出してやろう。


「今現在、このギルドの建物内には何人いる?」


リオはその言葉を受けて、目を閉じ、感知能力を外に向けて走らせる。


「えっと……」


しばらくして答える。


「156人です」


ドルヴァンは固まった。


「は?」


「ギルド、かなり人が多いんですね」


ドルヴァンは言葉を失った。


マジなのか?


いや、待て。


俺自身が答えを知らんぞ。


「ごほん!」


慌てて咳払いする。


「では次だ!三階だけに絞れ!」


これなら分かる。


普段仕事をしている階だ。


今なら十五人前後のはず。


リオは再び目を閉じた。


「三階だけですか、ちょっと待ってください」


しばらくして。


「十四人ですね」


ドルヴァンは黙った。


いつもなら十五人前後。


俺が試験会場にきてるから残りは十四人。


「……」


合っている。


「ごほん!」


ドルヴァンはもう一度咳払いした。


「感知能力は書類通り、なかなかのようだな」


内心はなかなかどころではなかったが、とりあえずそう言っておく。


「次は魔法だ!書類には五属性つかえるとか馬鹿な記載があったが」


訓練場の的を指差す。


「あれに向かって使える魔法を各属性で一つ撃ってみろ」


リオが首を傾げる。


「なんでもいいんですか?」


「初級程度だろう!なんでもいい!ただし得意魔法と書いてあったフレアストームは禁止だ!」


ドルヴァンは答えた。


リオは無邪気に理由を聞く。


「フレアストーム禁止なんですか?危険だからとか?」


「違う!お前は1発フレアストーム撃ってぶっ倒れるつもりか!あんなネタ魔法何で覚えたのか知らんが!」


「とにかく禁止だ!」


リオは不承不承頷く。


「はぁ。わかりました」


「じゃあ」


「ファイアアロー」


次の瞬間、的が粉々に粉砕された。


「は?」


ドルヴァンは思わず立ち上がった。


「なんだ今のは!?」


どう見ても初級魔法ではない。


中級魔法ファイアスピア並み、いや、上級魔法ファイアランス並の威力だ。


「次、水いきます」


リオは気軽に続けた。


「ウォーターボール」


二つ目の的が砕け散る。


「……」


ドルヴァンは息を呑んだ。


その後も。


風。


土。


闇。


全て同じ結果だった。


中級魔法に耐えられる筈の的が次々と破壊されていく。


「……」


ドルヴァンはただ唖然としていた。


「な、なかなかだな」


必死に威厳を取り繕う。


「本当に五属性使える人間がいるとはな」


「正直驚いたぞ」


驚いたどころではない。


だが、驚くだけで終わるわけにはいかない。


「最後は剣だ!」


ドルヴァンは考える。


感知や魔法は俺の専門じゃない。


だが剣なら違う。


元Aランク、剣使いの俺がこいつの実力を判断してやる。


木剣を構える。


「さぁ!どこからでもかかってこい!」


リオも木剣を手に取った。


「はぁ。じゃあいきます」


反応が軽い。


ドルヴァンは少し苛立った。


その瞬間、リオが踏み込む。


「っ!?」


鋭い。


速い。


慌てて受け止める。


ガンッ!!


重い衝撃が腕を走った。


さらに。


二撃目。


三撃目。


四撃目。


ドルヴァンは必死に防ぐ。


防ぐ。


防ぐ。


防ぐ。


気付けば、自分は防戦一方だった。


「な……」


反撃する隙がない。


「ま、待て待て待て!」


ドルヴァンは慌てて飛び退いた。


「ストップ!」


「ストップだ!!」


リオが首を傾げる。


「はぁ」


ドルヴァンは頭を抱えた。


なんなんだこいつ。


感知能力は本物。魔法も本物。初級とはいえ、中級魔法かそれ以上の威力の五属性魔法を使う。


剣の腕に至っては、元Aランクだった自分を圧倒するレベル。


なんなんだ。


本当に。


なんなんだこいつは。


リオがおそるおそる尋ねる。


「あの……結果は?」


ドルヴァンは顔を上げた。


「合格だ合格!!」


「え?」


「そんなもん合格に決まってるだろうが!!」


リオの顔が明るくなる。


「やった!」


ドルヴァンは再び頭を抱えた。


「なんでこんな奴が今まで無名だったんだよ……」


そして最後にぼやく。


「ベルグランのギルドは何をやってたんだ……」


その瞬間。


リオの脳裏に、あの亡霊の顔が浮かんだ。


『だから合格に決まってると言ったでしょ』


「……」


嬉しい。


嬉しいのだが。


何とも言えない複雑な気分になった。

読んでくださってありがとうございます!

今回はリオの実力が一気に明らかになる回でした。

ドルヴァンさんの反応も含めて楽しんでいただけたら嬉しいです。

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