閑話:クラウスの悩み②
その日。
クラウスは探索者ギルドを訪れていた。
二年前まではリオと同じパーティで戦っていた。
だが今は違う。
上位パーティ《白狼の牙》のメンバーに才能を見出され、火属性上級魔法を習得。
昇格試験も突破した。
今では白狼の牙の一員として迷宮へ潜っている。
そんなクラウスがギルドへ来たのは、パーティの要件があったからだ。
報告書の提出と、次回探索に関する確認。
それだけのはずだった。
だが。
偶然。
本当に偶然だった。
「女性探索者として新規登録してください」
「なんでそうなるんだ!俺は男だ!」
聞き覚えのある声だった。
思わず振り返る。
そこにはリオがいた。
そして蒼天の軌跡の面々もいる。
クラウスは思わず足を止めた。
結局、その後のやり取りまで全部聞いてしまった。
「現在の性別は女性ですよね?」
「う……」
「ですので男性探索者リオの情報を更新することはできません」
「現在の性別で新規登録してください」
リオは最後まで抵抗していた。
だが結局、女性探索者として登録されてしまった。
「くくっ……」
本人には悪いが、かなり面白かった。
リオの必死な顔を思い出し、思わず笑ってしまう。
その時は、本当にそれだけだった。
問題はその後である。
◇
夜。
クラウスはベッドへ寝転がったまま天井を見つめていた。
眠れない。
原因は分かっている。
昼間の出来事が頭から離れないのだ。
女性探索者。
正式登録。
ギルド公認。
今のリオは、誰がどう見ても女性探索者だった。
「……はぁ」
小さくため息を吐く。
別におかしなことではない。
実際、見た目は完全に女の子なのだから。
しかも、とても可愛い、俺好みの。
ふと、クラウスの思考が妙な方向へ向かった。
女性として正式登録。
ということは。
女性としての公式な身分を得たということだ。
つまり、男性と結婚もできるのか?
「ん?」
クラウスは眉をひそめた。
結婚。
リオが。
誰かと。
結婚。
そこまで考えた瞬間だった。
なぜか頭の中にリオの顔が浮かんだ。
そして、その隣に自分がいた。
「…………」
数秒、思考が停止する。
そして、勢いよく飛び起きた。
「な、何を考えてるんだ俺は!?」
顔が熱い。
間違いなく熱い。
クラウスは慌てて頭を振った。
違う。
違うだろ。
相手はリオだ。
昔から知っている。
一緒に迷宮へ潜った。
馬鹿をやった。
酒を飲んだ。
死にかけた。
そういう相手だ。
そう、リオだ。
「そもそもリオは男だろ!」
思わず叫ぶ。
だが。
数秒後。
「……いや、今は女か?しかも無茶苦茶可愛い」
さらに混乱した。
頭を抱える。
何なんだこれは。
最近ずっと調子がおかしい。
あの日、水をかぶったリオを見てから。
どうにもおかしい。
「くそ……」
クラウスは再びベッドへ倒れ込んだ。
天井を見上げる。
そして、ぽつりと呟く。
「リオと結婚……」
沈黙。
数秒後。
「だから何を考えてるんだ俺はぁぁぁ!!」
クラウスの叫びが夜の宿に響いた。
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6:10 投稿ですが、投稿時間を間違えたわけではないです。閑話は半日ずらして投稿 !(^^)!
クラウスの悩み第2弾。だいぶ悪化している様子。
クラウス君は今後も閑話で登場予定。リオちゃんへの感情に悩み続けてもらう予定です(笑)




