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【毎日更新】亡霊の罠で女になった万年D級探索者、拾われた先で頭角を現す ~灯火の輪のリオ~  作者: アサトン


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第35話 フレアストーム

翌朝。


リオは朝食の席で昨夜の出来事を話していた。


亡霊との会話。


五%という数字。


海の水をストローで吸いながら使っているようなものだという例え。


全てをそのまま話す。


話し終わる頃には、全員が黙っていた。


最初に口を開いたのはセレナだった。


「五%……ですか」


信じられない、そんな表情だった。


「はい」


リオは頷く。


「正直、自分でも信じられません。ですが、あいつが嘘をついているようにも思えませんでした」


セレナは腕を組むと、しばらく考え込んでいたが、やがて静かに口を開く。


「もしそれが本当なら、私の考え方が間違っていたのかもしれません」


ミアが驚いた顔になる。


セレナが自分からそう言うのは珍しい。


「どういうこと?」


「私はリオを普通の魔導士として指導していました」


セレナは言う。


「ですが、そもそもの前提が違う可能性があります」


レオルが腕を組む。


「それで?」


セレナは即答した。


「今日の攻略は中止です」


ミアが目を丸くした。


「え?」


「訓練と検証を行います」


セレナの目は真剣だった。


「リオ」


「はい」


「以前話した中級炎属性魔法の話を覚えていますか?」


リオはすぐに思い出した。


野営の時の話だ。


「フレアストームですか?」


「はい」


セレナは頷く。


「まずはそれを習得してください」



訓練場。


セレナはフレアストームについて説明していた。


詠唱。


魔力の流し方。


制御方法。


危険性。


一通り説明が終わる。


「ではやってみてください」


リオは頷いた。


目を閉じ、セレナの説明を思い出す。


魔力を集め、流れを作る。


そして、詠唱。


次の瞬間。


魔法が発動し、轟音が耳をつんざく。


巨大な炎の嵐が訓練場を駆け抜けた。


熱風が吹き荒れる、炎が渦を巻く。


まるで災害だった。


その様子を見て、リオは目を見開いた。


「すごい……」


ミアが呆れた顔になる。


「また一発で覚えた」


レオルも苦笑した。


「相変わらずだな」


セレナは小さくため息をつく。


「それについてはもう驚きません」


リオは少し複雑な気分になった。



「では発動してください」


セレナが言った。


リオは頷く。


フレアストーム。


発動。


轟音と巨大な炎の嵐。


野営の時、セレナ達が話していた理由が分かった。


中級魔法、そんな言葉で片付けられる威力ではない。圧倒的だった。


ミアが笑う。


「ね。ロマン砲でしょ?でも普通1発しか撃てないからロマン砲なんだけどねー」


セレナは頷きながら言った。


「そうですね、本来なら実戦では扱いづらい魔法です」


そして、すぐにリオに尋ねる。


「魔力消費はどうですか?」


リオは自分の内部に意識を向けた後に言った。


「ほとんど感じません」


全員が沈黙する中、セレナが言った。


「もう一発お願いします」


二発目。


再び轟音がなり、炎の嵐が吹き荒れる。


「どうですか?」


「少し、減ったかな……いや、あまり変わったように思いません」


正直に答える。


三発目。


ミアが思わず叫んだ。


「ちょっと待って!」


全員がミアを見る。


「それ普通三発も撃てないからね?」


リオは目を瞬かせた。


「いや。でもあまり魔力を大量消費している感じはありません……」


ミアは力強く言った。


「普通は一発撃ったら魔力切れなんだよ!」


リオは困惑する。言われても実感がない。


四発目。


五発目。


訓練場の空気が変わっていた。


セレナは無言。


レオルも無言。


ドルクも無言。


フレアストーム。


本来なら上級魔導士ですら実戦投入をためらう魔法。


それを、リオは五発連続で撃っている。しかも息一つ乱していない。


セレナが口を開く。


「リオ」


「はい」


「魔力切れの兆候はありますか?」


リオは再び自分の内部に意識を向けた後、正直に答える。


「ありません」


再び、全員が沈黙する中、やがてレオルが頭を掻いた。


「おい」


ドルクも頷く。


「おかしい」


ミアは遠い目をしていた。


「おかしいね」


リオだけが状況を理解していない。


セレナはしばらく考え込んだ後に、結論を出す。


「訓練所では判断材料が不足しています」


レオルが呆れた顔になる。


「十分判断できた気もするが」


「いいえ」


セレナは首を横に振った。


「実戦で確認する必要があります」


そしてリオを見る。


「明日、実地検証を行いましょう」


リオは頷いた。


ミアは少し楽しそうだった。


レオルは嫌な予感がしていた。


ドルクは無言だった。


セレナだけが真剣な表情を崩さない。


だが、その目には確かな期待が宿っていた。


もし亡霊の言葉が本当なら。


もしリオが本当に規格外なら。


蒼天の軌跡の攻略速度は大きく変わる。


そして翌日、その答えが明らかになる。

今日は以前前振りしていたフレアストーム。その訓練回でした。

リオの魔力量の異常さが、少しでも伝わっていたら嬉しいです。


読んでいただきありがとうございます。面白いと思っていただけたら、ページ下部の【☆☆☆☆☆】の評価や、ブックマークで応援していただけると執筆の励みになります!m(_ _)m



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