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【毎日更新】亡霊の罠で女になった万年D級探索者、拾われた先で頭角を現す ~灯火の輪のリオ~  作者: アサトン


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第31話 実地訓練

深層三十一層。


蒼天の軌跡はその後も探索を続けていた。


先ほどの戦闘の後も、リオは周囲へ意識を向けながら歩いていた。


深層は、ただ歩いているだけでも緊張する。


どこに魔物が潜んでいるかもわからない上、魔物同士が連携して襲ってくる。


中層とは違い、遥かに危険な場所だ。


真剣な顔でレオルの背中を見て歩いていた時、不意に声をかけられた。


「リオ」


最後衛を歩いていたセレナだ。


「はい」


リオが振り返りながら返事をすると、セレナは続けた。


「今からは先頭を歩いてください」


リオは目を瞬かせた。


「俺が先頭ですか?」


「ええ」


セレナは表情も変えずに答えた。


「あなたには強力な感知能力があります」


セレナは微笑み、続ける。


「活かさない手はありません」


それを聞いたミアが隣で笑う。


「新人研修第二弾だねー」


レオルのすぐ後ろを歩くドルクも頷いた。


「今度は索敵か」


先頭のレオルは真面目な顔でリオを見つめる。


「気負うな。感じたことをそのまま言えばいい」


それを聞いたリオは頷く。


「分かりました」


先頭へ出ると、これまで以上に緊張する。


だが、期待されているのも分かった。


なら応えたい。


そう思いながら先頭を歩く。


しばらくすると、リオの意識の外から、何かが中に入ってくる。


リオは、目を閉じ、さらに集中しながら告げた。


「皆、止まってください」


全員の動きが止まる。


レオルが尋ねた。


「どうした?」


「何かが……います」


セレナが続けた。


「リオ、もっと具体的に」


「え?」


リオが訝し気な顔をセレナに向ける。


「数」


「方向」


「距離」


「分かる範囲で構いません。なるべく具体的に伝えてください」


リオは、今までは漠然と感じていただけだった自分のことを反省しながら、改めて周囲を感知しなおす。


前方、少し右に小さな反応。


「距離、三十メトルほど前方に一体……何かがいます」


更に感知を深め、動いている存在に意識を向ける。


「……あれ?小さい?何か小さい生き物が動いてるようです」


レオルが目を細めた。


「深層鼠だろうな」


リオは目を見開いて、レオルを見た。


まだ姿も見えていないが、レオルには分かったらしい。


セレナも頷く。


「良いですね。そうやって具体的な情報を伝えてください」


探索を再開する。


今のはいい経験になった。そう考えながらリオは今までとは違う形で感知を始める。


まずは、動くもの、魔力の存在を感知。


何かがいたら、その存在が単体なのかどうか。


その存在の方向や大きさ。


自分たちからの距離。


そういったことを考えながら探る。


すると再び反応を見つけた。


「前方です。三体」


「距離は五十メトルくらい」


「大きさは人と同じくらい」


レオルが頷く。


「続けろ」


リオはさらに感知を深めた。


そして。


「あ……」


思わず声が漏れる。


その声の意味をセレナが尋ねる。


「どうしました?」


リオは眉をひそめた。


「三体じゃありません。もう一体います」


全員の表情が変わる。


リオは目を閉じ、深く、慎重に感知する。


いる。間違いなくいる。


だが、妙だった。


「変です」


「変?」


セレナが首をひねりながら聞き返す。


「1体、存在感が薄いというか……感知しづらい感じがあります」


レオル達も前方へ視線を向けるが、まだ何も見えない。


それだけ、リオの感知は遠くまで届いているということだ。


しばらく歩を進めると、ようやく前方に三体の姿が見えてきた。


だが、見えるのはやはり三体だけだった。


「確かに一見三体に見えるな」


レオルが呟き、ドルクも目を細める。


「……いるね」


ミアも気付いたらしい。


「あっ」


その瞬間、空間が揺らぎ、四体目の魔物が姿を現した。


今まで姿を隠していたらしい。


蛇に似た魔物、シャドウサーペントだ。


セレナが頷く。


「感知を避ける魔物ですね。深層では珍しくありません」


浅層や中層ではそんな敵の存在は聞いたことがなかった。リオは目を見開き、セレナに尋ねる。


「そんな敵がいるんですか?」


「ええ」


セレナはリオの目をじっと見る。


「単純な感知では見落とすこともあります」


そして、少しだけ嬉しそうに続けた。


「良く気づきましたね。普通なら三体と判断して終わっていたでしょう」


リオは頭を掻く。


「なんとなく違和感があっただけです」


「その違和感が大切なのです」


セレナは言った。


「必要な情報を逃さず感知するのが重要なのです」


「確信が無くても構いません。違和感があれば報告してください」


リオは真剣な表情でその言葉に頷く。


「はい」


その後の戦闘はあっという間に終わった。


相手は四体。


だが蒼天の軌跡にとって脅威ではない。


レオル達は危なげなく討伐する。


戦闘後は再び探索を再開。


セレナが隣へ並び、リオに再び話しかけた。


「リオ、今日学んでほしいことは二つです」


リオは耳を傾けた。


「一つは先ほど説明した通り、詳細な感知を行い、具体的な情報へ変換すること」


セレナは口元に笑みを浮かべて続ける。


「そしてもう一つは、その情報を正確に仲間へ伝えることです」


リオは深層に来てからの戦闘を思い出した。


仲間との連携。


蒼天の軌跡のメンバーはそれをごく自然に行っていた。


セレナの目を見ながらリオはしっかりと頷き、答えた。


「分かりました」


セレナは満足そうに首を縦に振る。


「期待しています」


リオは前を向いた。


まだ学ぶことは多い。


だが。


少しだけ。


蒼天の軌跡の役に立てる気がした。


深層探索は続く。

読んでいただきありがとうございます。

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よろしくお願いします。



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