第109話 赤い結晶
「セレナ! セレナ! しっかりして!!」
魔力枯渇で倒れたセレナの顔を膝に乗せたミアが、必死で叫ぶ。
「……う」
その言葉に答えるように、セレナはわずかに目を開けた。
「セレナ! よかった。これ、マナポーション! 飲んで」
身体を動かすこともままならないセレナは、ミアの助けを借りてマナポーションを口にする。
「……階層主は!?」
「倒したよ。セレナのフレアストームが止めを刺した」
「そう。良かった」
「しかし、心配したぞ。まさかあそこでフレアストームとはな」
そういったのはミアの横に立ち、呆れたように両手を広げるアレクシア。
「いつあんなネタ魔法覚えたんだ?」
「覚えたわけじゃないわ。使ったのは初めて」
そういってセレナは小さく笑う。
「私も使える魔法は全部使ってしまったから、最後はあれしかないと思ったわ。リオのフレアストームはいつも見ていたから、できると思った。リオが力を貸してくれたのかもね」
そういって、セレナは胸につけているペンダントを手に取った。リオが王都の土産といってセレナに送った、赤い結晶のペンダント。
『ペンダント自体がまるでセレナさんみたいだなって』
リオの言葉を思い出す度に頬を染めていたセレナ。だが、赤い炎のような輝きを放っていた美しいペンダントは、その役目を終えたように輝きを失い、中央の赤い宝石には、縦に大きなひびが入っていた。
「そいつは……希少な炎結晶のペンダントか。超級魔法二発の後に、全ての魔法を試し、さらにとどめのフレアストーム。身体がどうなっても、おかしくなかったぞ」
アレクシアは続ける。
「そのペンダントがセレナのダメージを肩代わりしてくれたのかもしれんな」
「……リオ」
セレナが小さく呟くその様子を見て、ため息をつくミア。
「ホント、セレナにはかなわないな……」
「ミア?」
「なんでもない。セレナはやっぱりすごいね!」
そんな中、守護者の間の最奥を調べていたリュザードが近寄ってくる。
「あったぞ。隠し扉だ」
リュザードがセレナへ視線を向けて告げた。
「中には小さな部屋がある。罠はなさそうだ。行くか?」
「行くわ。そのためにここまで来たんだもの」
そう言って、まだ足元も覚束ない状態で立ち上がろうとするセレナ。
だが、脚がもつれ、ミアに支えられる。
「セレナ。駄目! まだ休んでないと駄目だよ。隠し部屋の捜索は私たちに任せて」
「でも……」
セレナはひび割れたペンダントを握りしめながら、悔しそうにつぶやく。ミアの言葉が正しいとは理解していながら、自分でも探したい思いが溢れるセレナ。
「ミアの言う通りだな。まだ休んでろ」
アレクシアもミアに同意する。
「捜索は私たちだけで十分だ」
その時、先に部屋へ入っていたアレッタから声が上がる。
「あった!ありました!この腕輪じゃないですか?」
そういって、部屋から飛び出してきたアレッタの掌には、いつもリオの右腕につけられている腕輪とよく似た腕輪が輝きを放っていた。
※挿絵はAIで製作したイメージ画です。




