第107話 六十階層へ
野営のあと、一行は再び探索を開始。アレクシア、セレナの上級範囲魔法での殲滅に加えて、時には前衛陣がアレクシア、セレナを休ませるようにして次々と階層を進んで行く。
銀翼の剣が各階の階層主を倒して日にちが経っていないこともあり、まだ再出現していないことも進行速度に拍車をかけた。
一行は一気に二十階層を駆け抜け、五十階層に到達。そして。
「五十一階層への階段だ」
リューゼルの言葉に、少し疲れの見えるセレナも安心したように皆に言う。
「ここまでは予定通り来れたわね。約一日でここまで来られたのは大きいわ。ここでもう一度野営にしましょう。野営を終えたら、すぐ出発するわ。あと、五十一階層からは未踏破領域に入るわ。皆、警戒を怠らないで」
「そうだな。五十一階層は入口付近を少し見ただけだが、普通のダンジョンだった」
アレクシアが皆に聞こえるように口にする。
「もちろん警戒は必要だが、六十階層まではそれほど心配しなくて良いかと思う。半分は勘のようなものだがな」
「そうであって欲しいわね。」
小さく笑ってそういった後、セレナは一人一人を見渡しながら続けた。
「皆、明日は六十階層まで進むつもりで行くわ。おそらく、六十階層には階層主がいて、眷属も階層主の周りに控えているはず。初手は私と姉さんの共鳴魔法を考えているわ」
「光り輝く盾や、剣、鎧には注意だな」
フィエルが横から割り込み、セレナが続ける。
「そうね。そんなことがないと良いけれど……もし階層主がノーブル・リザードマンのように光り輝く装備を持っていた場合には共鳴魔法による殲滅は中止。その場合にはフィエル、あなたの聖域の檻サンクチュアリ・ケージで少しずつ眷属を倒す。
良いわね」
フィエルは短く答える。
「ああ」
「メインタンクはドルク。アタッカーはレオルとリュザード。炎・風は私、水・氷は姉さんが試して弱点を探る。
アレッタ、あなたは土の属性矢が有効か試して頂戴」
小さく、だが真剣な顔でアレッタも答える。
「はい」
「ミア、あなたは基本はいつも通り支援と回復担当」
ミアを見ながらセレナは続ける。
「ただし。攻撃に加わって欲しい時には私から指示を出すわ。ミア、それで良いかしら?」
ミアは考えてることを先回れされ、小さく苦笑いする。
「……うん。わかった」
「だいたいこんなところかしら?階層主はもちろんのことだけど、五十九階層までの道のりも未踏破領域よ。何があるかわからない。フィエル、必要な時はあなたの判断で聖域の檻を使って頂戴。
今回は、撤退して出直すつもりはないわ。今もリオは治療院で私たちの帰りを待っている。
慎重に。でも可能な限り急いでいくわよ」
そう言ったセレナは、決意を表すかのように拳を固め、突き出した。
「皆でリオを助けましょう!!」
その言葉に、全員が拳を固め、真剣な表情のまま言葉を返す。
「おお!」
「あぁ!」
「うむ」
「うん!」
「はい!」
◇
そして現在、一行は六十階層を進んでいた。
「姉さんの勘は凄いわね」
セレナはアレクシアに小さく微笑みながら話しかける。
「まぁな。自信があったわけじゃないがな」
「大きな消耗もなくここまで来られたのは良かったわ」
セレナがちょうどそういったとき、斥候役のリュザードの声が響いた。
「着いたようだぞ。守護者の間だ」
その声を聴いて一行が角を曲がると、眼前には大きな広場が広がっていた。そして、その先には巨大で重厚な扉。明らかに普通の扉ではない。
扉の奥からは、強者が待ち構えていることを思わせる、巨大な魔力が渦巻いていることが感じられた。
セレナは、その扉をじっと睨んだ後、皆に聞こえる大きな声で言った。
「ここで休息を取ったら、階層主を倒すわよ!」
※挿絵はAIで製作したイメージ画です。




