第106話 仲間たち
三十分後に集合した一行は、古代遺跡ダンジョンを進んでいた。現在、一行が進むのは三十一階層。
「ブリザード・パージ!!」
アレクシアの上級範囲魔法ブリザード・パージで氷像に変えられた魔物たちが崩れ落ちていく。
「姉さん、魔力マナは大丈夫?」
「今ので大体半分ってところだな」
「私も同じくらいね。この階層を抜けたら、野営にしましょうか」
「そうだな」
「皆、この階層を抜けたら休息にします。アレッタは野営の準備をお願いね」
「はい」
アレッタが頷く。
「それにしても、リオさんの魔力量の凄さが改めて思い知らされますね」
「あいつと比較しないでくれ」
アレクシアは苦笑いを浮かべた。
「普通は範囲魔法を撃ち続けたりすればすぐ魔力が枯渇する。セレナとアタシで分担していてもこの有様だからな」
「でも、おかげでここまで一日で来れましたね」
アレッタは小さく微笑む。
「あと半分です」
「そうね」
セレナも笑みを浮かべて答える。
「でも、ここからは魔物たちもますます強くなるわ。ここまでのようにはいかない」
「ねぇ。セレナ」
俯き加減に難しい表情をしていたミアが割り込んだ。
「私も攻撃に加わっちゃダメかな? 風属性範囲魔法ウィンド・ストームでもかなりのダメージは与えられるんじゃないかな?」
ミアは内心のもっと急ぎたいという焦りを隠せない。
「ダメよ。ミアもわかってるでしょう。あなたには前衛全員の強化、いざという時の回復役という大事な役割がある。ここぞという場面では攻撃に加わってもらうけど、今はその時じゃないわ」
「でも……」
「セレナの言うとおりだ」
なおも食い下がるミアにアレクシアが言う。
「ミア、焦るな。支援、回復に、加えて上級範囲魔法まで覚えた努力は認めるが、今はセレナの言うことを聞いておけ」
「……わかった」
口ではそう答えたものの、ミアは唇をかみしめて悔しさが滲んだ表情をしている。ダンジョンの冷たい空気が、ミアの行き場のない感情を静かに冷やしていくようだった。
「この階層の残りは俺たち前衛に任せて、セレナとアレクシアさんも魔力を節約してくれ」
ミアの様子に気づいたフィエルが声を和らげて横から割り込む。
「そうだな。魔道士にばかり任せてたら、身体がなまっちまう」
レオルも微笑みながら続け、ドルクも小さく頷く。
「うむ」
「僕にも活躍させてくださいよ」
ミアに微笑みながらアレッタも続ける。
「アルカナ・コアクロスをさらに改良して連射速度も威力も上がったんです。属性矢もたっぷり用意しましたからね。魔物の殲滅にはお役に立てるはずです」
そして、その言葉の通り、三十一階層はドルク、フィエル、レオル、リュザード、そして遊撃のアレッタが獅子奮迅の働きで魔物たちを素早く殲滅していく。
その動きは、ミアだけでなく、全員が早くリオを助けたいのだと全身でミアに語り掛けているようだった。
「みんな……ありがとう」
思わずつぶやいたミアの言葉に、レオルは微笑んで軽く答えた。
「おいおい。俺たちは野営前に軽く運動をさせてもらってるだけだぞ。礼を言われるようなことじゃない」
ドルクも笑って頷く。
「そうだな」
そう話をしている中、リュザードが小さく呟いた。
「着いたぞ。階段だ」
その言葉を聞き、小さく微笑んだセレナが皆に伝える。
「皆、今日はここで野営をしましょう。明日は五十階層まで。明後日には未踏破の五十一階層からの探索を行うわ」
※挿絵はAIで製作したイメージ画です。
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