閑話: 亡霊④
リオがベルグランに戻って来たその夜。
疲れもあって、そろそろ眠ろうかとベッドに横になった時だった。
腕輪が、光を発した。
「やっほー! ご・ぶ・さ・た!!」
その声に額に青筋を立ててリオは叫ぶ。
「今度は何だ!」
「今度は何だ! ってご挨拶だねぇ~。 たまには、お父さん、いらっしゃいくらい言ってみてもバチは当たらないよ?」
リオは亡霊の映像に枕を投げつける。
「ふざけるな! 何か重要な用事でもあるんだろうな! ないならすぐ帰れ!」
「あーあ。リオちゃん、つれないんだから~。あるよー。まぁそれほど大事かどうかはわからないけれど……ちょっと予定外の事だったんで、謝っておこうかな~……って」
リオは首をかしげる。
「謝る?何をだ?また何かしたのか?」
「いやー。王都近くの古代遺跡……と君たちが呼んでいるところだけれど……ごめんねぇ……あれ、僕の昔の研究施設」
リオは目を見開く。
「なんだと? 全部お前の仕業なのか!?」
「違う違う。あのクリスタル・アイアン・モノリスだっけ? あれはアレッタちゃんとやらが予想した通り、研究施設がダンジョン化した際に融合して生み出されたものだね。
だからまぁ、全然僕のせいじゃないんだけど、もともとの防衛機構と、転移迷宮は僕がつくったものだからね。昔あの研究施設の地下深くで研究していた時に、余計な邪魔が入らないように作ったんだ。
あくまでも転移迷宮に飛ばして追い払うだけのもので、僕が研究していたころは、あんなガーディアン?はいなかったんだけどね。ダンジョン化したときに生み出されるようになったみたいで……
いやー。びっくりしたよ。リオちゃんが昔の僕の研究施設で戦ってるし……転移迷宮に飛ばされるしねぇ」
説明を聞いたリオは、戸惑いながらも文句をいう。
「あの施設のせいで、アレクシアさんとロガーナさんはもう少しで死んでいたかもしれないんだぞ! 謝ってすむと思うのか!」
「だからぁ……」
ちょっと呆れたように亡霊は続ける。
「全然僕のせいじゃないんだけどさぁ……事故みたいなものだとは言え、まぁリオちゃんの大切な人が僕の昔の研究施設で死にそうになったからさぁ……謝っておこうと思って。ごめんねぇ……」
殊勝にあやまったかと思うと、亡霊は急にいつもの口調にもどって言う。
「お詫びはここまで! だって僕のせいじゃないからね!! まぁ良かった点もあるじゃん! 全員無事だったし! またリオちゃんの名声が高まったし!」
そう言うと、笑顔になってさらに続ける。
「僕もリオちゃんの活躍をじっくり見られたし! 結果良ければすべて良し!……ってね」
リオは青筋をたてて今度は布団を投げつける。
「言いたいことはそれだけか!」
「そうだよ~ あと、急いでね! タイムリミットまであと360日! かどうかははっきりわからないけど、よそで遊んでる場合じゃないよ~ 早く来てね~」
「うるさい! わかってる! 帰るなら帰れ!」
亡霊が消えた後、リオは呟いた。
「あいつはほんと、何がしたいんだ……」
その言葉に答えてくれる人は誰もいなかった。
※挿絵はAIで製作したイメージ画です。




