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【毎日更新】亡霊の罠で女になった万年D級探索者、拾われた先で頭角を現す ~灯火の輪のリオ~  作者: アサトン


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第97話 クリスタル・アイアン・モノリス

アレクシア、ロガーナの救出から三日後。


蒼天の軌跡、銀翼の剣の面々は待機所に集合していた。


作戦指揮をとるのは蒼天の軌跡のセレナ。


「では、みなさん」


集まった皆を見渡しながら、少し緊張した面持ちのセレナが言う。


「作戦の最終確認を行うわ。総指揮は、僭越ながら私、セレナが行います」


全員が小さく頷いたのを確認して、セレナが続ける。


「まずはアレッタ、転移を阻害する魔導装置の準備はどうかしら?」


「はい。問題ありません。何かあった時の予備も含めて3つ準備しました」


そう言って、一見薄い鉄板のようにも見える装置を皆に見せる。


「リオさんにも協力していただいて、起動確認も済ませました。これを文様の上に固定することで、転移装置は起動しない筈です」


「上出来ね」


セレナが微笑む。


「基本の作戦は単純よ。まず、アレッタがロガーナさんやリオが転移した文様の場所に魔導装置を固定する。アレッタ、文様の場所は覚えてるわね?」


「もちろんです」


アレッタは力強く返した。


「ロガーナさんはアレッタの護衛をしつつ、文様の場所に移動。その後は魔導装置の上で階層主クリスタル・アイアン・モノリスを固定するメインタンクをしてもらうわ。


ドルク、フィエルはその補助。クリスタル・アイアン・モノリスを逃がさないようにして頂戴」


「おう」


ロガーナが小さく答えた。


「ロガーナの回復はミレティアにお願いするわ」


「分かったわ~」


「最初に魔導装置が有効であることを確認したら皆で総攻撃。クリスタル・アイアン・モノリスを倒す。


ただし、実際にクリスタル・アイアン・モノリスと戦うのは今回が初めてになるわ。


転移以外の特殊能力を持っていないとも限らない。


全員に転移結晶を配るわ。


各自、命の危険を感じたらすぐに使ってちょうだい。


あと、万が一転移迷宮に飛ばされた場合は、一人でむやみに動かず、救援を待って頂戴。


こちらがリオとアレッタが作ってくれた転移迷宮の地図の写しよ」


そういってセレナは、全員に転移結晶と地図の写しを配った。


「基本作戦は以上。何か質問はある?」


「一つ質問というか、確認です」


リオが手を挙げる。


「魔法耐性については何が有効かわからないので俺の方で4属性については確認しようと思います。光魔法の有効性についてはミア、確認してもらえるかな?」


「まかせて!」


リオに声をかけられたミアは嬉しそうに答えた。


「セレナさん、いいですか?」


「助かるわ」


セレナも微笑む。


「他には?」


フィエルが手を上げる。


「俺の結界はどうする?」


「増援が確認されていないので、最初は不要かしら」


セレナが少し首をかしげる。


「増援が現れたり、なにか異常事態がある時はフィエルの判断で使ってちょうだい」


「了解だ」


「では、いいかしら。クリスタル・アイアン・モノリスを放置するのは危険だわ。


皆であいつを倒しましょう!」



再び、古代遺跡ダンジョン50階層。


クリスタル・アイアン・モノリスが待ち構える守護者の間。


黒い石で造られた両開きの扉の前に蒼天の軌跡、銀翼の剣の面々は集まっていた。


「皆、準備はいい?」


「はい!」


「ああ!」


「大丈夫よ~」


皆が一斉に返事をするのを聞いて、セレナが頷く。


ドルクが巨大な扉に手をかける。


重い音と共に。


守護者の間の扉が開いた。


そしてーー。


扉が開くと同時に、アレッタとロガーナが予定戦闘位置に移動。


ロガーナが階層主を待ち構える中、アレッタが文様の上に素早く魔導装置を固定した。


「魔導装置、設置完了です!」


アレッタが叫ぶと同時にロガーナが魔導装置の上に移動。


赤い魔力がロガーナの身体を包み込み、クリスタル・アイアン・モノリスの敵意を誘導する。


ロガーナのタウントスキル。


それに導かれるようにクリスタル・アイアン・モノリスは一直線にロガーナに近づき、ロガーナを転移すべく、上部のクリスタルを光らせる。


だがーー


「魔導装置、有効です!」


リオが力強く叫ぶ。


「魔力は文様に届いていません! いけます!」


それを合図にして、フィエル、ドルクが左右から挟み込むようにクリスタル・アイアン・モノリスを固定。


他のメンバーもそれぞれ攻撃位置に移動した。


「リオは魔法の有効属性の確認を!他のメンバーも気づいたことがあれば各自報告!攻撃よ!」


それを合図としてカイゼル、リュザード、レオルが近距離から、アレッタが遠距離から攻撃を開始。


「四属性、どれも有効!」


「光魔法も有効!」


四属性を試したリオ、光魔法を試したミアが情報を共有する。


「ただ、威力はかなり減衰されるようです」


リオが付け加える。


「まぁ、通るんだな。それならいい」


アレクシアが頷きながら氷魔法を、それに合わせるようにセレナも炎魔法をクリスタル・アイアン・モノリスに叩き込む。


その後の戦いは順調だった。


クリスタル・アイアン・モノリスは上部のクリスタルを何度も光らせ、ロガーナを転移させようとするが、アレッタの魔導装置がことごとくそれを阻む。


転移が無駄だと悟ったのか、クリスタル・アイアン・モノリスは巨大な機械腕を風圧を巻き起こしながら振り下ろすが、ロガーナのハルバードが火花を散らしてそれを防御。


その合間にはタウントスキルを使い、他のメンバーが攻撃されることを防ぐ。


カイゼル、リュザード、レオル、ドルク、フィエルら、超一流の攻撃陣がそれぞれの得意技を次々と叩き込み、クリスタル・アイアン・モノリスの装甲を削っていく。


ミア、ミレティアは全員に支援魔法を配りつつ、時にはクリスタル・アイアン・モノリスを弱体化する。


アレクシア、セレナの魔法は、クリスタル・アイアン・モノリスの魔法障壁で威力が減衰されながらもかなりのダメージを与える。


皆がこのままいける、そう感じた時だった。


クリスタル・アイアン・モノリスが再び上部のクリスタルを光らせる。


「無駄だって言ってんだろう!」


ロガーナが叫ぶ。


だが。


それはロガーナを転送させるためのものではなかった。


クリスタル・アイアン・モノリスの直下。アレッタの魔導装置で覆われていない別の文様。


その文様が光ると同時に、クリスタル・アイアン・モノリスが守護者の間の最奥に転移する。


「なんだ!? 何が起こった!?」


「クリスタル・アイアン・モノリス。自分自身を転移させました!」


アレクシアが驚いて叫ぶとほぼ同時に、魔力の流れを感知し続けていたリオが叫ぶ。


そしてーー。


クリスタル・アイアン・モノリスは身体の前部のハッチのような部分を大きく開く。


「いけない! フィエル!結界を!皆を守って!」


危険な予感を感じたセレナがとっさに叫ぶ。


「聖域の檻――サンクチュアリ・ケイジ」


フィエルが皆を守るように結界を展開したと同時に。


クリスタル・アイアン・モノリスの開いた部分から、強力な遠距離攻撃が皆に降り注ぐ。


レーザー攻撃のような光の奔流。


セレナのファイア・ランスを思わせる炎の槍。


アレクシアのハイドロ・ブレードを思わせる水刃。


様々な遠距離攻撃が前部から発射され、皆に襲い掛かる。


「ちぃっ!」


魔力をさらに注ぎ強化されたフィエルの聖域の檻が、すべての攻撃を防ぐ。


だがーー。


「まずいぞ! 長くはもたん! しかも、こちらからアイツに近づいたらおそらくまた飛ばされる!」


何かを考えていたリオは、フィエルの声に反応するように指示を出した。


「ミア、ミレティアさん!クリスタル・アイアン・モノリスを回復してください!」


「え?」


「モノリスを回復するの~?」


指示を受けたミア、ミレティアが困惑する。


「早く!お願いします!」


「そういうことね!」


リオの言葉に何かに気づいたようにセレナが続けて指示する。


「アレッタは予備の魔導装置をクリスタル・アイアン・モノリスが転移した転移元の文様にも設置して!」


「分かりました!」


アレッタが叫ぶ。


そしてーー。


ミレティア、ミアの強力な回復魔法がクリスタル・アイアン・モノリスを回復。


回復と同時にーー。


クリスタル・アイアン・モノリスはその前部のハッチを閉じた。


その間、アレッタは予備の魔導装置をクリスタル・アイアン・モノリスが転移した文様にも設置。


「良かった。賭けでしたけど」


リオが呟く。


「クリスタル・アイアン・モノリスは攻撃を受けてピンチになると自分を転移させて遠距離モードに切り替わるみたいね」


同じことに気づいたセレナが付け加える。


「なるほど。回復するとまた近距離攻撃モードに戻る・・・か」


レオルが感心したように呟く。


「リオ、よく気づいたな」


それに続いて、セレナが大声で作戦を皆に伝える。


「安心するのは早いわ!今度こそ、倒すわよ!もう転移させられないし、転移させない。もしまた前部ハッチが開きそうになったら、そこに総攻撃! フィエルは念のためマナ・ポーションで回復しておいて」


「了解だ!」


近距離モードに戻ったクリスタル・アイアン・モノリスは再び守護者の間最奥から近づいてくる。


先ほどの戦いの再現。


ロガーナは先ほどと同じ位置でタウントスキルを発動。


クリスタル・アイアン・モノリスも先ほどと同じ場所に位置取りした。


先ほどの戦いとの違いーー自分の直下の文様が魔導装置で封じられているーーには気づかずに。


蒼天の軌跡、銀翼の剣の面々は再び攻撃を叩き込み続ける。


そしてーー。


クリスタル・アイアン・モノリスが再び上部のクリスタルを光らせる。


しかし、今度は何も起きない。


ロガーナも転移されない。


クリスタル・アイアン・モノリスも転移できない。


「いいぞ!」


アレクシアが叫ぶ。


「全員攻撃!」


それに合わせるようにセレナの号令が飛ぶ。


「ブレーク・エッジ!」


カイゼルが蒼い魔力を叩きこみ、


「ファイア・ランス!」


「ハイドロ・ブレード!」


セレナ、アレクシアの上級魔法が襲い掛かる。


ドルク、レオル、フィエル、リュザードの近距離攻撃、アレッタの遠距離攻撃も容赦なくクリスタル・アイアン・モノリスを削っていく。


そして、クリスタル・アイアン・モノリスは苦し紛れか、前部ハッチを開いた。


「いまよ!魔法を叩き込んで!」


開いたばかりのハッチにセレナ、アレクシア、ミア、ミレティア、リオが魔法を叩き込む。


ドッガァァァァン!!


ハッチ内部で大爆発が起きる。


「良いぞ!効いてる!」


「リオ、カイゼル、いけ!とどめだ!」


アレクシアが叫ぶ。


その声と同時に。


リオの斬撃。


カイゼルの斬撃。


二つの斬撃がクリスタル・アイアン・モノリスに襲い掛かる。


「ブレーク・エッジ」


「ブレーク・エッジ!」


二つの蒼い刃がクリスタル・アイアン・モノリスのクリスタルを破壊し、内部に突き刺さる。


最後までロガーナを攻撃していた機械の腕が止まり。


全てのクリスタルが光を失った。


「やった……」


セレナが小さく呟く。


「私たちの勝利よ!」

挿絵(By みてみん)


※挿絵はAIで製作したイメージ画です。

読んでいただいてありがとうございます。

蒼天の軌跡+銀翼の剣、登場人物が多い戦闘は思ったより書くのが大変でした。

いかがだったでしょうか?


よろしければ、ブックマークまたは☆評価を頂けると大変ありがたいです。

よろしくお願いします。m(_ _)m

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