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【毎日更新】亡霊の罠で女になった万年D級探索者、拾われた先で頭角を現す ~灯火の輪のリオ~  作者: アサトン


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第96話 帰還と安堵

そして――遺跡の入口近くの待機場所。


転移結晶で脱出したセレナ達はやきもきしながらリオ達の帰還を待っていた。


「リオ達が転移してからもう二日目ね……」


フィエルが眉をひそめて首を振る。


「セレナ、『まだ』二日目だ。リオ達を信じて待つしかない。何も闇雲に転移したわけじゃないんだ。


そう言いながら、セレナを見つめ、続ける。


「リオの感知能力、アレッタの並外れた知識があれば何とかなる。そう信じたからリオ達を行かせたんだろう」


セレナは小さくため息をつきながら答えた。


「それはそうなんだけど……でも、心配だわ」


壁にもたれて腕を組んでいたレオルが、そこで口を開く。


「心配なのは皆同じだ。少なくとも三日は待つ。そう決めただろう。」


ドルクも小さく頷いた。


「そうだな」


レオルは続ける。


「それに、セレナも知ってるだろう。アレッタが食料や補給物資を十分持ってるんだ。もっと落ち着け」


「そうね。ごめんなさい。わかってるつもりなんだけど……」


そうセレナが呟いた時、入口の方から、複数人の足音が近づいてきた。


リュザードが聞き慣れた仲間の足音をとらえ、立ち上がる。


「アレクシア! ロガーナ!」


そして、入口に5人の人影が現れた。


先頭にはリオ、そしてアレッタ、ミア、後ろにはアレクシアとロガーナの姿も見える。


「セレナさん!いま戻りました! アレクシアさん、ロガーナさんも無事です!」


リオの後に入口から入ってきたアレクシアも周りを見渡し、いつもより丁寧な口調で皆に声をかけた。


「皆、心配をかけてすまなかった。 セレナ、それに蒼天の軌跡の皆、本当に助かった。礼を言う」


アレクシアはそう言いつつ、頭を下げて、続ける。


「正直、リオ達が来てくれなければ危なかった。カイゼル、ミレティア、リュザード、お前たちにも心配をかけた」


カイゼルは一言だけ、安心した様子でつぶやく。


「良かった」


次に小さくつぶやいたのはミレティア。


「アレクシアちゃん。ほんと、心配したわ」


リュザードはロガーナに頭を下げる。


「ロガーナ。すまん。転移罠を見抜くことができなかった」


それを聞いたロガーナは小さく笑う。


「あんなもの、見抜けるわけがないだろう。こっちこそすまん。迷惑をかけた」


そして、全員の無事の帰還にほっとしたのか、柔らかな笑顔を浮かべてセレナが答える。


「姉さん。それにロガーナさん。本当に無事で良かったわ。リオ、アレッタ、ミアもお疲れ様。姉さんたちを助けてくれてありがとう」


そういって皆を見回す。


「皆疲れたでしょう。まずは待機所で休んでちょうだい。落ち着いたら今後について話し合いましょう」



そしてその日の夜、待機所に再び蒼天の軌跡と銀翼の剣の全員が集まっていた。


「では、状況についての確認を始めましょうか。」


セレナが皆を見渡しながら言った。


「ああ。まずはアタシからだ。ロガーナが階層主に飛ばされ、やばいと思ったアタシは補給物資の入ったバッグをつかみ、転移罠に飛び込んだ」


アレクシアがそう言って、皆を見回す。


「皆が知ってる通りだな。幸い、転移先ですぐにロガーナと合流はできたんだが、転移した先は、全く別の場所としか思えない、まさに迷宮だった。


すぐに転移結晶で脱出しようとしたんだが、魔力を注ぎ込んでも発動しなかった。


仕方なく、ロガーナと二人で探索を始めたんだが、広場に出るたび、ゴーレムの群れが押し寄せてきて……正直、消耗が激しかった。


通路の端にある光る文様を最初は避けていたんだが他にできることもなく、最終的には上に乗ってみた。すると、迷宮内の別の場所に飛ばされた。


何度も転送を繰り返した後、補給物資もなくなり、やばくなったところをリオ達に救われた……以上だ」


「ギリギリのタイミングだったのね。良かったわ」


セレナが心底安心した様子でつぶやいた。


「リオ達はどうだったの?」


「はい」


リオが真面目な様子で答える。


「皆も知ってるとおり、俺たちは、ロガーナさんたちが転移した文様と同じ場所から転移しました。


 転移した先の様子が変わったのに驚いたのは同様ですが、まず最初に、感知能力でどこまでを把握できるか確認しました。


 幸い、広く感知することで、壁の向こうの罠の位置も含めて感知できたので、俺の方でまずは転移装置の場所を記載した地図を作製しました」


そう言ってリオがテーブルの上に羊皮紙を広げると、アレッタが小さく微笑みながら補足する。


「ぼくの方では、リオさんが地図を書いてる間に光る文様を分析しました。古い文献で似たような転移装置については読んだことがあったので転移装置であることはすぐわかりました。


 あとは、文様と、発する光が微妙に異なることもわかったので、リオさんが作成した地図に転移装置の転移パターンを追記していきました。


 完成したのがこの地図です。


 最初の位置から、外に脱出できる転移装置までどう進めばよいかが分かるようになっています」


差し出された地図を見たセレナが感心したように呟く。


「すごいわね。リオとアレッタに頼んで良かったわ」


セレナのセリフに、ミアが少しほほを膨らませて呟いた。


「私だって少しは貢献したんだ……光魔法で周囲を照らしたり、ロガーナさんに合流したときに回復したり……」


「そうね。ミアもありがとう」


セレナの言葉に、再びリオが続ける。


「あとは、ロガーナさん、アレクシアさんも感知できたのでアレッタの指示でその近くに転移して、合流。


 アレクシアさんにはエリクサーを使ってもらい、ロガーナさんはミアの回復魔法で回復。


 後は俺の感知とアレッタの分析で、無事外にでることができました。脱出までの経緯は大体そんなところです」


「リオ、アレッタ、ミア、ホントにご苦労様」


セレナが微笑み、次に銀翼の剣の面々の方を向いた。


「皆さん、二人を救出するという緊急依頼の方はこれで解決で良いかしら?」


セレナの言葉を聞いたリュザード、カイゼル、ミレティアが各々頭を下げる。


「もちろんだ。ありがとう」


「助かった」


「ほんと、ありがとうね~」


そこで、黙っていたフィエルが横から口を挟んだ。


「しかし、あの階層主はどうするんだ? あれは相当厄介だ。放置する手もあるが、いずれ別のパーティが同じ目に会うだろうな……」


フィエルの言葉に、リオが手を挙げて発言する。


「そのことなんですが、階層主が転送装置を発動する際に、頭上の結晶を光らせるじゃないですか?」


フィエルが問いかける。


「そうだな。何か気づいたのか?」


「はい。階層主の頭上の結晶から、強い魔力が床の文様に向けて流れていました。おそらく、階層主は床の文様に向けて魔力を流し、転移装置を起動してるんだと思います」


フィエルが口元に手を当てて言った。


「それなら、それを何らかの方法で邪魔すればいいってことか……」


フィエルの言葉を聞いたセレナがアレッタに問いかける。


「アレッタ、何か思いつくことはある?」


「そうですね。魔力の流れを阻害する魔道具なら作れると思います。あらかじめ決められた文様の周りにその魔道具をセットして、その場所で戦えば……転移されることなく、戦闘が可能だと思います」


アレッタの言葉に、セレナはアレクシアに問いかける。


「姉さん、どうする? 放置する? 戦う? 戦うなら、私達も協力するわ。放置するのも一つの選択肢であるとは思うけど」


その言葉に、吐き捨てるようにアレクシアが答える。


「決まってるだろう!あんな奴放置しておけるか!」


セレナが微笑む。


「そうよね。そう言うと思ったわ。アレッタ、魔道具の準備にどれくらいかかる?」


「三日もあれば大丈夫です」


「じゃあ三日後に作戦の最終確認を行うわ。姉さん、それでいい?」


「ああ」


アレクシアがわずかに笑って言った。


「あいつに目にもの見せてやろう」


挿絵(By みてみん)


※挿絵はAIで製作したイメージ画です。


いつも読んで頂いてありがとうございます!


明日は朝の更新(6:10~)で、セレナとアレクシアの閑話をお届けします。


二人のやり取りを楽しんでいただけたら嬉しいです!


19:10からは、通常通り本編の「第97話」を更新予定ですので、ぜひ夜の更新もお楽しみに!


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