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【毎日更新】亡霊の罠で女になった万年D級探索者、拾われた先で頭角を現す ~灯火の輪のリオ~  作者: アサトン


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第87話 アルカナ・コアクロス

宿へ戻ると、蒼天の軌跡の面々が待っていた。


セレナ、ミア、レオル、フィエル。そして、アレッタが揃う中、机の上に、リオの新しい剣と防具が並べられる。


最初に声を上げたのは、アレッタだった。


「……え?」


アレッタは剣を見つめたまま、目を丸くしていた。


「すごい……」


リオが微笑み、剣について皆に伝え始める。


「ガルドさんが、魔力を通すと刃が熱を帯びるようにしてくれました」


リオは剣に魔力を流すと、赤黒い刀身が淡く赤熱した。


アレッタは息を呑む。


「僕は、火属性への耐性が強くて、熱や炎に強い剣になると思っていました。でも、ここまで素材の性質を引き出せるなんて……」


アレッタは剣へ顔を近づけ、魔力の流れを確かめるように目を細めた。


「僕が分かるのは、素材としての性質です」


「でも、そのガルドさんという方は武器になった時の性能を意識して加工してくれたんですね。ホントに凄いです」


セレナも剣を見つめる。


「良い剣ね」


「はい」


リオは少し照れたように頷いた。


レオルが腕を組みながら笑う。


「良さそうじゃねぇか、リオに似合いそうだ」


「ありがとうございます」


リオがレオルに答える中で、ミアは胸当てと籠手を見ていた。


「黒い胸当て、リオに似合うね」


「そうですか?」


「うん。前より強そう」


ミアは笑って言う。


「私としてはもう少し可愛い装飾がほしかったけどね」


リオはその発言に戸惑いながら言う。


「……今のままがいいです」


セレナは実用面を確認するように尋ねる。


「重さはどうなの?」


「少しだけ重量はあります。でも、十分動きやすいです」


「なら問題なさそうね」


フィエルも頷いた。


「急所と腕を守るのはいい判断だ。リオの戦い方なら、その方が動きを活かせる」


「ガルドさんも同じことを言っていました」


「その、ガルドって鍛冶師、腕は確かなようだな」


フィエルの言葉に、ドルクが短く答える。


「ああ、腕は一流だ」


その一言に全員が納得したかのように首を縦に動かした。





リオの装備確認が一段落したところで、アレッタが小さく手を上げた。


「それと、僕の方も完成しています」


アレッタは亜空間収納から、小型のボウガンを取り出した。


以前のものとは明らかに違い、フレームには魔法樹の心核が使われており、表面には細かな術式が刻まれ、金具部分はしっかりと補強されている。


「魔法樹の心核を使ったボウガンです。アルカナ・コアクロスと名付けました」


アレッタは少し誇らしげに言った。


「それと、属性矢」


続けて、色の異なる鏃を持つ矢を机の上に並べる。


赤。


青。


淡い緑。


土色。


「火、水、風、土」


「五十一階層から五十四階層までで集めた属性結晶を加工しました」


レオルが興味深そうに覗き込む。


「本当に魔法みたいなことができるのか?」


「はい」


アレッタは頷いた。


「厳密にいえば魔法とは違いますが、近い威力が出ます。火なら爆ぜる。水なら穿つ。風なら斬る。土なら打ち砕く」


以前アレッタが語った言葉。


それが、今は実際の武器として形になっていた。


「すぐに試せる?」


ミアが尋ねる。


「ええ。訓練場に移動しましょうか」


その言葉を受けて、全員で訓練場に移動した後、アレッタは火属性の矢をアルカナ・コアクロスに装填した。


「いきます」


引き金が引かれる。


矢が的へ向かって飛び、突き刺さった瞬間、炎が吹き上がると共に小さな爆発が起きた。


的の表面が弾け、焦げ跡が残る。


「おお」


レオルが感心したように声を漏らす。


続けて、アレッタは水属性の矢を装填する。


今度は、矢が当たった瞬間、小さな音とともに水が弾けたように見えた。


だがそれはただの水ではない。


魔力で極限まで圧縮された水が一点に解放され、細い刃のような水流が的の深いところまで穴をあけたのだ。


アレッタが矢を抜くと、そこには針で刺したように小さく、しかし驚くほど深い穴が開いていた。


「こちらは派手さはありませんが、魔核に撃ち込むことで一撃で相手を倒すこともできますね。水魔法に弱い敵なら一撃です」


「それはすごいわね」


今度はセレナが感心したように呟いた。


「威力はまだ調整中ですし、属性結晶を消費します。 それに、本物の魔法ほど複雑な制御もできません。でも、僕でも相手の弱点を突くことができるなど、詠唱時間が必要ない分、魔法よりも良い点もあります」


セレナは静かに頷いた。


「十分ね。アレッタも戦力として期待できるのは大きいわ」


「はい」


アレッタは嬉しそうに頷いた。


リオは、自分の剣を見る。


赤黒い刀身。


新しい防具。


そして、アレッタの新しい武器。


準備は少しずつ整っていた。


セレナが全員を見回す。


「フィエルの復帰に、リオの新装備。アレッタの新武器。これで、五十六階層へ挑む準備は整ったわね」


誰も異論を挟まなかった。


レオルが笑う。


「いよいよだな」


ドルクが短く頷く。


「ああ」


フィエルも静かに言った。


「先へ進もう」


ミアがリオを見る。


「リオ、無理はしないでね」


「はい」


リオは頷いた。


五十六階層。


そこから先は、蒼天の軌跡にとっても未知の領域。


新しい武器。


新しい防具。


新しい仲間。


それらを携えて、リオ達はさらに深い階層へ進もうとしていた。


挿絵(By みてみん)


※挿絵はAIで製作したイメージ画です。

読んでいただきありがとうございます。

今日はリオとアレッタの装備が揃う回でした。

ここから五十六階層に向けて、物語が大きく動き始めます。

楽しんでいただけたら嬉しいです。


面白いと思っていただけたら、ページ下部の【☆☆☆☆☆】の評価や、ブックマークで応援していただけると執筆の励みになります!m(_ _)m

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