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部屋の中はこじんまりとしていて、内装も他と比べて落ち着いていた。王宮の中でも一番小さい応接間だと思う。
本棚もあり、分厚い本がびっしりと並んでいる。
私は赤く長いソファに腰を下ろし、キースと対面に座る。
…………てか、今キースと二人っきりじゃない。
そう意識した途端、心臓がやけに大きな音を立てはじめる。
こんな風に大人になってから話すの初めてじゃない? ……いや、話してはないわね。
「キース様はとてもダンスがお上手なのですね」
私は笑顔を作り、沈黙を破るようにそう言った。
キースは口を閉ざしたままだ。ただ、ゆっくりと私を見据えるようにして視線を合わせた。
……な、なに。
その真っすぐな眼差しに私は思わず固まってしまう。
そんな美しい瞳で私のことを見つめないでほしい。これ以上鼓動が早くなると、心臓が破裂してしまうじゃない。
「その姿……、いや、何もない」
キースはそこまで言って、再び口を閉ざす。
だから何なの!!!
私は心の中で大声を上げる。
続きが誉め言葉なのか悪口なのかで随分と印象変わるわよ!?
「その姿、よく似合っている」なのか、「その姿、滑稽だ」なのか。どっち?
どのみち聞いても教えてくれないのだろうけど……。
私は諦めて、話題を変えた。
「本日も大好きですわ、キース様」
私は満面の笑みでそう言った。いつも通り愛を伝える。
今日も今日とて死にたくないからね。
私の言葉を聞いて、キースは一瞬固まった後、私から目を離して、はぁっと小さく息を吐きながら、片手で額を押さえた。
え、ため息!? そんなに私から愛を伝えられるのが嫌なの?
まさかキースがそこまで私に対して好意を抱いてくれていないとは……。
「キース様はどうして私と婚約したのですか?」
私は思わずそう聞いてしまった。キースは私へと視線を向ける。
そして、彼はゆっくりと額から手を離して再び私と目を合わせた。
なんだか空気が張り詰めているような……。ただ疑問に思ったことを口にしただけなのに、ここまで緊張感に包まれるなんて……。
聞かない方が良かったかも……。いや、でもずっと気になっていたことだもの。この機会にしっかりと聞いておかなくっちゃ!
私は自分で自分を鼓舞しながら、キースの回答を待った。
「君が良かったからだ」
少しして、キースは澄んだ低い声でそう答えた。
本音だろうけど、それだけ……?
私が良かったから? そりゃ、良くないと思っている相手に対して婚約はしないでしょ。
「……具体的にはどこが良かったのですか?」
もうここまできたなら、具体的に聞いちゃうわよ! というマインドを獲得した私は怯むことなく更に質問した。




