↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死にたくない私は王子に愛を伝える  作者: 大木戸 いずみ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
15/24

15

 ……私、キースと踊っている。

 キースに腰を寄せられる日が来るとは思いもしなかったわ。

 キースの足運びには迷いはなく、私は彼に身を任せる。すごく踊りやすい。

 私もダンスはかなり得意な方だ。厳しいで有名なダンスの先生に絶賛されていたから、自信を持っていた。

 だけど……キースを相手にすると話は別だ。

 なんなのよ、この王子は……。ダンスの技術がこれほど高いなんて聞いてないわよ?

 私たちのダンスの相性は最高だった。なによりも楽しかった。傍から見れば、息を呑むほど優雅なダンスだろう。

 周囲の貴族たちが見惚れているのが分かるもの。

 ターンのたびに私のドレスがふわりと広がり、キースがこのダンスを完璧に操っていた。  

 バランスを一度も崩すことなく、私たちは踊り終えた。音楽も止まる。

 ……え、なんでこんなに静かなの? 

 拍手がないことに不安を覚えた瞬間だった。パンっとひとつの拍手が響く。そこから拍手の音が重なり、あっという間に盛大な拍手が大広間いっぱいに響き渡った。

 私はキースから体を離して、優雅に腰を下ろしお辞儀をした。

 ダンスは最後のお辞儀までが大切。それまでは気を抜いてはいけない。キースも胸に片手を添え、完璧な角度で一礼していた。

 相変わらず、表情は一切変わらない。

 ……冷徹王子の表情をいつか崩してみたいものだわ。

「なんと素晴らしいダンスなんでしょう」

「これほど美しいダンスを見たのは初めてだ」

「一つの芸術を見ているようでしたわ」

「お二人とも、まるで名画から抜け出してこられたようだ」

 誰もが私たちに視線を向けて、感嘆の声を上げていた。

 キース効果、凄いわね。私も彼に拍手したいもの。驚くほど見事なダンスの才能だわ。それに、思っていたよりずっと優しいリードだった。

 もっと強引に引っ張られるのかと思っていたわ。

「……殿下が踊られる姿、初めて拝見いたしましたわ」

 喝采の中からそんな声が耳に届いた。 

 …………え? キース、皆の前でダンスしたことなかったの?

 私は目を丸くしてキースの方を向いた。キースは周囲の声をうるさそうに眉間に少し皺を寄せて、私に手を差し出した。

「騒がしいな。少し離れるか」

 あれ? キース、私に気を遣ってくれてる?

 困惑しつつも私はキースの手を取り、私たちは多くの視線を集めながら会場を後にした。

 こんな経験したことなかったから、内心恥ずかしかったけれど、少し嬉しかった。キースの婚約者として皆に認められたような気持になる。

 社交界デビュー成功かな? ……友達はできなかったけど。

 まぁ、付き合う人は見極めろってエヴィンも言ってたし……。

 あの兄、本当に何を考えているのかしら。

 私の目に映っていたエヴィンはキースのことを慕っていた。あれは嘘ではなかったように思う。だけど、先ほどの発言はなに?

 ………………考えろ、私。馬鹿じゃないでしょ、私。

 安直な答えを出してはダメ。もしかしたら、エヴィンに何か考えがあるのかもしれない。

 そんなことを悶々と考えていると、いつの間にか大広間から少し離れた応接間に来ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。