春君
「はーい」
玄関の方へ向うアリス先輩。
「あの〜はるくんって?」
「春くんも俺らの幼馴染み。2つ年上なんだけど他校に通ってるから学校じゃ会えねーの」
「そう、なんだ」
スマホを触りながら話す高野君。
と思ったら、私のスマホが鳴る。
画面を確認すると、高野君からのメッセージだった。
「アハッ」
スタンプが送られていて、いちごミルクのキャラクターがお願いをしているものだった。
「これ何?」
「苺みるくちゃん」
「アハハ、名前そのままだ。何で、お願いなの?」
「写真、頂戴?」
「ぇ」
「麗奈とアンタは持ってて俺だけ持ってないなんて嫌じゃん?」
「で、でも変な顔しちゃってるし」
「何処が?可愛かったけど?」
「っ!!!」
「ハハ、顔真っ赤!」
「か、からかわないでっ」
真っ赤になった顔を隠したくて、両手で顔を隠した。
けれど、高野君はその手を掴み簡単に剥がされてしまった。
「からかってるつもりはねぇーんだけど、つい、ね?」
「つ、ついじゃない!」
「ハハ」
「手、離して」
「じゃあ写真送ってくれる?」
「それは」
「ん?」
「わ、分かった!分かったから!送る!送りますっ!だから離してっ」
「ん」
思い通りになったからなのか嬉しそうに笑う彼にドキッとしていたその時。
「ちょっと、結!?ここ私の部屋だから!!花ちゃん大丈夫!?何もされてない??!」
「何もしてねぇーし、人様の家でする訳ねぇーだろ!」
どうやら角度的に?体制的に?高野君が私に手を出そうとしているように見えたらしい。
離された手。
「だ、大丈夫です!何もされてません」
「本当に?...ならいいんだけど」
「とんでもないタイミングでお邪魔しちゃったかな?」
「春君、久しぶり」
はるくんと呼ばれた男性は黒髪眼鏡で高身長、スラッとした体型と綺麗な顔立ちで優しそうなお兄さんの印象だった。
「結、久しぶり!さっき来てるって聞いて会えて嬉しいよ」
「俺も!春君多忙なんだもん、今度遊ぼうよ」
「いやいや、結の方が多忙でしょ。その人が、花ちゃん?」
「そう!可愛いでしょ?この服似合うだろうなって思って着せてみたの」
「そうなんだ。似合ってて可愛いね」
「あ、えっと...ありがとうございます」
「僕は日下春人。春君って呼ばれてるから花ちゃんもそう呼んで?」
「あ、はい。春君...さん」
「フ、さんは大丈夫だよ」
クスッと笑う春人さん。
優しい雰囲気で安心した。
「あ、私。乙木花って言います!」
「そうなんだ!麗奈からは花ちゃんって聞いてたからいきなり花ちゃん呼びでごめんね?嫌だったかな?」
「全然!大丈夫です」
「そっか、良かった。宜しくね、花ちゃん」
「あ、宜しくお願いします」
手を差し出され私と春君は握手した。
「それじゃ、俺達は帰るよ」
「え〜居ればいいじゃん」
「春君と2人の時間も大切にしなよ」
「してるわよ」
「春君、苦労するね?」
「まぁ。でも気にしなくていいよ?いなよ」
「大丈夫。ほら、...出よう」
「ぁ」
「もう!結の頑固!」
高野君に腕を引かれて私は帰ることになったようだ。
着ていたワンピースはあげるとそのまま来て帰る事になった。
新品みたいに綺麗で可愛いワンピースなのにいいのだろうか...。
私の荷物は高野君が持ってくれて駅に向かい歩く。
「高野君」
「ん?」
「あの、...手、離して?」
アリス先輩の家を出る時に手を引かれてそのままの状態だった。
「ごめん」
「全然」
スっと離された。
自分からお願いした事なのに、寂しく感じてしまった。
駅に向かい歩く最中、私達はアリス先輩と春君の話をした。




