48話 2つの刃
赫月の盟約——訓練場。
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昼。
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轟音。
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“ドゴォォンッ!!”
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巨大な槍。
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ベヒモスランスが空を裂く。
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訓練用岩壁へ直撃。
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衝撃。
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岩が砕け散る。
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リシア「うおっ!?」
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砂煙の中。
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メタのもう一体の人型で立っていた。
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青黒い身体。
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その手には、
二本のナイフ。
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右手へシースナイフ。
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逆手には、
白銀のカランビット。
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ローグ「ほう」
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ユリウスも興味深そうに揺れる。
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メタが低く構える。
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次の瞬間。
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“シュンッ!!”
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高速移動。
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シーフのような動き。
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低姿勢。
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連続斬撃。
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粘性操作による加速。
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リシア「速っ!?」
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トール「メタ!」
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メタが頷く。
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その瞬間。
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メタがシースナイフを投擲。
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“ギィンッ!!”
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一直線。
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だが。
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途中で軌道が変わる。
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粘性操作。
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青い粘性の触手が、
空中でナイフを弾き加速。
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さらに。
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別方向からカランビットを投げる。
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左右同時。
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交差。
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連携投擲。
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ローグ「……面白い」
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トール「まだ行くぞ!」
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粘性操作。
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影粘域。
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二つが混ざる。
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空中。
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黒い粘性足場。
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ナイフが跳ねる。
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軌道変化。
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死角から再加速。
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完全に予測不能。
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その瞬間。
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影が揺れた。
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“ザシュッ!!”
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ナイト。
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影から飛び出す。
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口には投擲されたナイフ。
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高速通過。
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切り裂き。
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再び影へ沈む。
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リシア「今の反則だろ!?」
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ナイトが再び出現。
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今度はカランビット。
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湾曲刃による高速切断。
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影移動。
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投擲連携。
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三方向同時攻撃。
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ローグが笑う。
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ローグ「……正面から相手するのが馬鹿らしくなる戦い方じゃのう」
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ユリウス「実戦向きです」
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メタのもう1体がランスを回収。
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さらに。
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粘性操作で回転加速。
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“ドォォンッ!!”
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再投擲。
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その直後、
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トールがナイフを投げる。
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メタ人間体も人間体同士で同時に様々な武器を投擲。
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ナイトが影から飛び出し、
空中でハウルの大剣を咥え切りつける。
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完全連携、十二方向からの同時攻撃、同時追撃、攻撃の雨あられ。
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ローグが目を細める。
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ローグ「既に一つの部隊じゃな」
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トールは息を吐く。
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メタの持ってる白銀の二本を見る。
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右手のシースナイフ。
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逆手のカランビット。
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どちらも、
自然と馴染んでいた。
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ローグが近づく。
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ローグ「気に入ったか」
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トール「……不思議なんだ」
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シースナイフを見る。
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育ての親。
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バラガンの形見。
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昔から持っていた。
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そして。
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カランビットを見る。
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ローグから受け継いだ刃。
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二つ。
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どちらも。
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同じメタルドラゴンから生まれた。
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ユリウス「共鳴率、上昇中」
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トール「共鳴?」
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ローグ「元が同じ素材じゃからのう」
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ローグ「互いの魔力へ反応しておる」
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トールはカランビットを握る。
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軽い。
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だが。
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異常な密度を感じる。
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ローグ「そのカランビットは近接特化じゃ」
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ローグ「切断と制圧向き」
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ローグ「わしは昔、よく使っておった」
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リシア「似合うな」
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確かに。
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ローグの戦い方に合っていた。
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高速。
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鋭い。
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獣のような近接戦。
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ローグ「対して」
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シースナイフを見る。
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ローグ「バラガンの方は実戦型じゃな」
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ローグ「無駄がない」
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ローグ「生き残るための刃じゃ」
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トールは静かに聞く。
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どちらも違う。
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でも。
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二人らしかった。
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その時。
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白銀の杖が光る。
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淡く。
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優しく。
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トール「またか」
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ローグ「魔力を流してみい」
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トールが杖へ魔力を流す。
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すると。
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二本の刃まで淡く虹色に光り始める。
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“ギィン……”
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空気が震える。
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リシア「うおっ!?」
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ユリウスが静かに反応する。
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ユリウス「武装共鳴確認」
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ローグが目を細める。
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ローグ「ほう……」
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次の瞬間。
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白銀の杖の紋様が一段階増える。
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光。
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そして。
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トールの周囲へ、
淡い虹色の膜が広がった。
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リシア「……なんだこの魔法?」
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ローグが笑う。
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ローグ「さっぱりわからんな」
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ユリウス「封印解除率、上昇」
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トールは自分の手を見る。
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暖かい。
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不思議と。
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安心する力だった。
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その時。
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白銀の杖から、
今までより少しだけはっきりと声が響く。
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“適合確認”
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“第一封印、安定化”
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トール「……喋った」
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リシア「今絶対喋ったよな!?」
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ローグが笑う。
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ローグ「ようやく起き始めたか」
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白銀の杖。
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その光は。
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少しずつ。
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確実に強くなっていた。
■ トール達の連携戦闘スタイル
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■ 基本戦術
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トール・メタ・ナイトによる、
三位一体型連携戦闘。
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単独戦闘ではなく、
- 武器投擲
- 粘性操作
- 影移動
- 高速奇襲
を組み合わせた、
立体機動型連携を得意とする。
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■ メタ
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■ 主武装
- ベヒモスランス
- ハウルの大剣
- 白銀のシースナイフ
- 白銀のカランビット
- その他収納武器
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■ 戦闘スタイル
人型分身体を複数展開。最大10体
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シーフのような高速移動を行い、
粘性操作による:
- 加速
- 軌道変更
- 武器射出
を使用。
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さらに、
収納能力を活かし:
- 槍
- 剣
- 斧
- ナイフ
などを状況に応じて瞬時に切り替える、同時投擲も可能
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■ トール
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■ 支援・制御担当
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粘性操作と影粘域を使用し、
空中へ:
- 粘性足場
- 粘性触手
- 影領域
を展開。
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投擲武器の:
- 軌道変更
- 加速
- 死角移動
を補助する。
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さらに、
影粘域内部を経由させることで、
武器を予測不能軌道へ変化させる。
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■ ナイト
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■ 奇襲・回収担当
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影移動を利用し、
投擲武器の着地点へ瞬間移動。
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口で武器を咥え:スキルによる2連攻撃
- 高速斬撃
- 奇襲
- 通過攻撃
を行う。
風魔法により、投擲武器の速度、威力上昇も可能
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攻撃後は即座に影へ潜伏可能。
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主に:
- ハウルの大剣
- ナイフ類
との相性が高い。
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■ 連携攻撃の特徴
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投擲武器が:
- 粘性操作
- 影粘域
- 影移動
によって、
三次元的に軌道変化する。
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そのため:
- 回避困難
- 死角攻撃
- 多方向同時攻撃
を可能とする。
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さらに、
ナイトが途中回収し直接斬撃へ移行するため、
遠距離攻撃から近接攻撃へ瞬時に変化する。
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■ 総評
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ローグ曰く:
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«「……正面から相手するのが馬鹿らしくなる戦い方じゃのう」»
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真正面から押し潰す戦闘ではなく、
- 攪乱
- 奇襲
- 連携
- 高速制圧
を主体とした特殊戦闘部隊型スタイル。
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既に通常の冒険者パーティとは、
大きく異なる戦闘体系へ到達している。




