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【書籍化&コミカライズ】双子の妹に殺された姉、二度目の人生は初恋のイケおじ王弟にフルベットします!  作者: 黒猫ている
5章:激動の時代

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87:王弟は門を打ち破る

王都南門広場。

そこに集った民衆は、一様に不安な表情を浮かべていた。


反乱軍は南側を中心に、王都を取り囲んでいる。

一時は“反乱軍は民衆の味方だ”という声もあった。

だが、今はどうだ。

倉庫街の火災以降、表立って反乱軍を支持する者は居なくなった。


とはいえ、彼等が王都に攻め込んで来ないのも、また事実。

そんな最中、反乱軍に加担したとされる貴族が、よりによって南門広場で処刑されるという。


どうして反乱軍が陣を構える南側、それも南門広場で処刑を執り行うのか。

他の罪人達は皆牢に投獄されているというのに、どうしてこの貴族だけが、わざわざ広場で処刑されるのか。

様々な噂が飛び交うが、どれも憶測の域を出ない。


「おい、来たぞ……」

「あれが罪人なのか?」


両手に枷を嵌められ、前後左右を騎士達に囲まれながら歩いてくる人物。

白い顎髭を蓄えた老人は、背筋を伸ばし、毅然と前を見据えていた。


罪人というには、あまりに毅然とした立ち居振る舞い。

粗末な衣を纏ってなお、所作から気品は失われていない。

武人らしい迷いのない足取りに、集まった民衆から戸惑いの声が上がる。


「あの人が、何かしたのか?」

「なんでも、反乱軍に味方したとか……」

「あんなご老人が、反乱軍に加担したっていうのか……?」


南門広場に設えられた処刑台。

罪人は一歩、また一歩と、処刑台へ続く階段を上っていく。

約束の刻限は、既に目前まで迫っていた。


「なんてことだ……」

「伯爵様っ」


処刑場の警備に駆り出された騎士の中には、かつてダウズウェル伯爵から教えを受けた者も居た。

皆、口に出しては何も言えない。

異議を唱えれば、自分達も反逆者として罰せられる──目の前の老人のように。

それを理解しているからこそ口を噤み、恩師が刑場に上がるのをただ見守ることしか出来ない。


やがてダウズウェル伯爵が処刑台へ上がる。

壇上に置かれた場違いなほど豪奢な椅子には、王太子であるローレンスが足を組んで座っていた。


「どうだ、ダウズウェル老。今からでも命乞いをするなら、許してやらんこともないぞ」


老人を嘲笑うかのように、ローレンスが薄笑いを浮かべる。

当のダウズウェル伯爵は、臆することなく真っ直ぐにローレンスを見つめた。


「はて、私はオスニエル陛下に忠心を誓った身。陛下ならばいざ知らず、どうして王太子殿下に生殺与奪の権利がありましょうや」


真っ向から反論するダウズウェル伯爵に、ローレンスが歯噛みする。


「……もういい、刑を執行しろ」

「はっ」


両脇を固めた騎士達が老人の腕を掴み、その身を引き摺った──その時だった。


「なんだ!?」

「地響きが──?」


突然、南門広場に大地を揺るがすような轟音が鳴り響く。

足元から突き上げるような衝撃と共に、彼等の目に飛び込んできた物──それは、巨大な南門が外から打ち破られる光景だった。


「うわあああぁぁ!!」


パラパラと、木片が降り注ぐ。

そうして、轟音が収まった後──開かれた門の向こうには、無数の騎馬兵が犇(ひし)めいていた。


「……来たな」


先頭に立つ騎士の姿を認め、ローレンスが口の端を吊り上げる。


王太子として、完璧でなければならない。

そんな自分の、罪を知る者。

王太子である自分の地位を脅かし得る者。


ずっと目の上の瘤だった叔父を、ようやく排除出来る。

どす黒い喜びを胸に、ローレンスは声を張り上げた。


「反逆者、アラン・ガザードを討ち取れ!!」

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