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第1章2 即妙

第1章はここで終了となります!

全く言葉が分からない場所に飛ばされた感覚を読者にも体験していただけるようになっております。

独自の言語形態がありますので分かりにくい場合は、まえがき・あとがき、にて追記させていただきます!


ナビア・ラビはラビ村から追放された壮年男性である、ラビという姓を名乗るのは村の自警団の元同僚らからの哀れみがあって許されているに等しい、村社会であるノアナ国に住むナビアは村長の娘の自由奔放さを村長自身から相談され、娘に苦言を呈したのだ、だがしかし、その娘は頭の回った、その時外ではあったが娘と二人きりであった為娘は村長にナビアに襲われたと泣きつき、村長は娘の為を思って相談したがそんな下心があったとはと激昂、自警団の者らはナビアの無実は村長の娘の元々の評価とナビアの日頃を知っているために明白だと訴えたが村長の決定は絶対である、そのため、寒々しいシャーオ国の山々が見える辺境に追放されたのだ、ナビア自身も無実を訴えたが娘可愛さに話を聞かずに追放となった


ナビアには家族がいない、両親は10歳の時に流行病にかかり、弟はシャーオ国に出稼ぎに行った時に獰猛な獣に襲われた、自身の生活に必死であったため妻を娶ることは適齢期には考えておらずその時期を過ぎ、中年と呼ばれる頃には自警団の一小隊を指導する立場になった、剣の腕は幼い頃から父に認められ鍛え抜かれ、村一番の自警団長とも言われたことがある、その頃には妻を娶ろうという気はこのような年のいった男にということで諦め、仕事一筋であった、早くから1人であったがために喋るのは不得意である、そんな折に追放ときたものだ、追放されて早十数年、小屋での暮らしも板につき、体力維持と老いるこれからを薄らと考えるようになった頃、ナビアはいつものように体力維持の為に最低限の護身用の刃物を持って山を歩き帰ろうとした時


「んどぃ」


遠くから微かに女性の声がした、その方を見てみるとなんとも見慣れぬ、奇抜な服を着た女性が座っていた、このような辺鄙な所には人は来ない、来たところで国からの事務員くらいなもので道も険しい、ましてや一般の女性が一人で来れる所でもない、警戒して近付くと更に珍妙であった、見慣れぬ紙のようなものを持っている


「だれだ!」


女性はこちらに気づき安堵とも困惑とも取れる表情であった


「めめこえめあぬんしも?」


「なんの言語だ」


ナビアの知る限りどの国の言語も統一であり、女性の言語は知らぬものであった、はるか昔、戦争をしていた時代にはいくつか言語があったようだがそれに類するものでも記憶の限りではない気がする、女性が動き服から四角い箱と細長い髪飾りのような物を持つと箱に文字のようなものが髪飾りのようなものから紡ぎ出された、が、やはり見たこともない


「さぃえ、すしぬんこすも、ぬめえどづんしすゆくれえふおすゆあにまえ」


言語が違うとなると女性の言いたいことが分からない、しかし身なりからして危険な物を持っている可能性は低い、困っている様子の女性にまずは状況整理よりも安全を優先させるべきである、小屋を指さすと女性はナビアの小屋を遅れて見た、小屋ということは分かっただろうとそのまま歩み出すが後ろの気配は動く様子がなかった、振り返ると女性はナビアの意図を察したかのように遅れて歩いてきた


最低限の警戒はしておくべきだろうが、奇妙な服を着た異国の女性をこのような険しい場所へ放っておく事は出来ない、かといってここから村までは男でも夜通し歩き続けて2日と半分はかかる、そんな場所にこんな軽装と思えるような格好で来るのだろうか、ナビアですら自給自足の生活とはいえ必要なものは購入することもありその時には大荷物を家の横にある荷車で引いていくがそれ抜きにしても重装備をするものだ、山の天気は変わりやすい、女性はこれからどう帰るのかを考えるとナビアの助けは必須と言えよう


女性は家に入る時に頭を下げて入り、キョロキョロと見回していた、確かに小屋なので簡素で物珍しいものも無いが、女性の反応は物珍しそうに見ている、と取れるものである、村の家のように外に水車がある訳でもない、あるのは地下と傍に流れる川と広大な土地だけ、ナビアは女性を安心させる為にも懐に隠していた護身用の刃物を武具の隣に置き座るように促した、そして口下手ながらなにを言うべきか、名前を聞くにはまず自分からであろう


「俺はナビア・ラビだ」


言葉が通じるとは思わないが礼儀というものは他人同士でも、種族が違っても必要なものである、女性も困惑していたが沈黙に耐えかねたのだろう、なにか話してきた


「さぃえ、よおぬと、せんざきちなつ、えすすろに、こゆえしもづんしすゆむをしなすむづんしえしあとおほすあすろに、もすおゆあにたぃあめへゆおほ、めめくすろぬお」


女性は困惑しながらもしっかりとこちらを見ていた、真摯に向き合おうとする姿勢は好感が持てる、なにか話しているのだが分からないとなると答えようもない、重たい沈黙が再び訪れる


ふと、女性が思い出したように服に手をやると紙で出来た筒のような物を取り出し指をさした、そこには絵のようななにか、まっすぐな線、円、不明な文字、どこかの簡易地図のような物だとは分かったが我々が普段使うような図ではない、基本山・川・家名で描かれるのだがこの図には山も川も描かれておらずどこからどう見ても不明な図であった、しかし、女性がいた場所なのだとは理解できた


「帰れないのか」


ひとまず女性には不安であろうからと水を汲もうと背を向けた時、気配が消える


振り向くと女性は消えていた、戸が空いた音も気配もなく、どこかこの小屋の奥に行ったわけでもない、ただ不明な図のある筒を残して消えた、それを幻覚と言うには生々しすぎ、実際にあったことと言うには、現実離れし過ぎていた


ナビアはその筒を再度じっくりと眺め、棚の中へと丁寧に仕舞った、なんの根拠もないが、あの女性とまた会えるという予感と一緒に

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