第5話 農業研究中の少女ルナーラ
3日連続で村長さんをたずねた私に、流石の村長さんも呆れた声を出した。
「よくもまあ飽きずに来るもんじゃ。わしがお前さんの年の頃はもっと外で遊んでおったもんじゃがのう」
「私もちゃんと遊んでますよ? この前は川でザリガニとか釣りました! すっごい大きいのです!」
私が大げさに両手を広げて見せると村長さんは軽く笑ってくれた。
子どもは元気なのが1番じゃ、と村長さんはそう言って奥から鍵を持ってきてくれた。が、ふと気になったのか村長さんは私に問いかける。
「そういえば、今は何の本を読んでおるのじゃ? 闇の聖者さまの本は読み終わったのか?」
「はい、読みました。今日は畑のことを調べようかと思ってます!」
私が村のことを考えていると知り、村長さんはいたく感心したようだ。
「ほお、そうだったのか。トキはよい娘を拾ったな。どれ、良い本があればわしも読もう。先代から受け継いでたまに日干しや風通しをさせる時以外読んでおらなんだからな」
あんなにいっぱい蔵書があるのに、村長さんはほとんど読んでいないらしい。もったいないと思うが、人のあれこれに口を出すのも悪いので、私は村長さんの要望に気前よく返事をしてから、図書館へ走った。
あれだけ新鮮に感じた図書館も、3日連続ともなれば慣れたものだ。昨日見繕っておいた本を手早く運び、私は1冊ずつ読み込んでいった。
前世では、ただの普通科高校出身で、女子短卒の営業だった。農業は昔おじいちゃんの米仕事を応援していたくらいで、知識なんて何もない。私は役に立ちそうだと思ったものをひたすら頭の中に詰め込んでいった。
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数カ月後、私が色々母の畑で試した結果、畑の収穫量は以前と同じくらいの量にまで持ち直した。
「ばんざーい!」
黒光りする闇の国の野菜たちを前に、私は喜びに両手を大きくあげて声を出した。黒い大根に黒い小松菜、黒い麦に黒い豆。闇の国とは言え、ここまで黒いと逆に面白いと感じる。
「ルナーラのおかげで今年はなんとかなったよ。でも前まではなにもしなくてもこのくらいは普通に取れてたんだけどねえ」
母が私の頭を撫でてお礼を言ってくれる。
村の他の畑は、やはり育ちが悪いらしい。ひどい畑は去年より3割近く収穫量が落ちそうだと聞いた。
私の頑張りも、所詮は対症療法に近いし、いつまでも続けられるとは限らない。早くもとに戻ってほしいものだ。
「そういえばルナーラ。今日はタッソさんのところに行くんじゃなかったのかい?」
「あ、忘れてた! ごめんお母さん! 帰ってきたらいっぱい手伝うから、行ってくるね!」
「気をつけて行くんだよ」
私は母に手を振りながら、タッソさんのお家に走った。今日はタッソさんと約束していたのだ。畑博士であるタッソさんと来年からの収量対策で色々話をしに行くのだ。
「来年はもっといっぱい採って、お母さんを驚かせちゃお!」
私は今回うまくいったおかげで調子に乗っていたのかもしれない。
翌年、村の畑はどれ1つとして去年の収量を超えることはなかった。
ルナーラ「タッソさん。今日は何をしましょうか!」
タッソ「堆肥を作る。使うのはこれだ」生ごみどーん
ルナーラ(狼)「くっさ!」




