第21話 第三話「美しく閃く心 ティアキャンデラ誕生!」①
Side:乙女川アカリ
葵さんがラブティアに変身してから早1週間。
私と葵さんは久方ぶりに顔を合わせていた。
「なかなか時間が取れなくてごめんなさい。何とか時間は作れるよう努力はしているのだけれど」
生徒会室の前で詫びる葵さんに対して、私は申し訳なくて仕方なかった。
「いや、全然問題ないですから! メッセでもやりとりしてたし大丈夫ですよ!」
やはりというかなんというか、葵さんはびっくりするぐらい忙しかった。一体いつ休んでいるんですか、と聞きたいくらいに予定が詰まっており、こうやって顔を合わせて話し合うのにすら苦慮する始末だ。
メールで軽く情報共有や予定のすり合わせはしていたので問題はなかったし、忙しい葵さんに対して私の方は暇な時間が多くて逆に申し訳なかったくらいだ。
「とりあえずお弁当も食べないとですから、入っちゃいましょう!」
「ええ、そうね。私も色々話したかったし」
気まずいので早々に葵さんを促して私たちは生徒会室に入った。私としては初めて入る場所なので、なかなか新鮮な心持ちだった。
中央に置かれた長テーブルの前に座って、私たちはお弁当箱を広げる。
「ふう、鞄の中はやっぱり息苦しいララ」
鞄の中に隠れていたランランが背伸びをして出てきた。
「久しぶりねランラン」
「アオイ、久しぶりだララ。元気してたかララ?」
ランランと葵さんが挨拶を交わしたあと、私はランランにコッペパンを渡してから自分のお弁当に手を付けた。
「今日はランランから話があるって聞いていたけど?」
軽い雑談もそこそこに、葵さんが今日集まった理由を聞いてきた。
「よくぞ聞いてくれたララ」
パンくずを口元につけたランランがテーブルの上で立ち上がる。
「実はランランにはもう1人仲間がいるんだララ。その仲間を探したいララ!」
「仲間って、そんなこと今まで言ってなかったよね?」
「今までは虹のコフレやラブティアを見つけることを優先してたララ」
「コフレも見つかって、ラブティアも私や葵さんがなれたから仲間を探す方に力をいれるってこと?」
そうララ、とランランは応じる。
「それにラブティアの聖具、残り1つはランランの仲間が持ってるララから、他のラブティアの適性を持つ子が現れてもラブティアになれないララ」
なるほど。私はランランの言葉に納得した。葵さんはランランの説明に質問があるようだ。
「そもそも、その仲間はどうして行方が分からなくなったのかしら?」
「地球に降りる時に色々あって運悪くはぐれてしまったララ。ランランたちは光の勇士だからあまり心配はしてなかったララけど、今後を考えると早めに合流したいララ。ランランの仲間リンリンは妖精探しに必要不可欠ララ」
どうやら、ランランたちは地球に来る前から二手に別れることを考えていたらしい。それもあって、ランランはコフレ探しを優先していた、と。
「連絡手段はないの?」
「残念ながらないララ。元々は集合場所を決めてから別れるつもりだったララ」
「その仲間がラブティアのスマホを持っているのなら、こちらから連絡は取れないかしら?」
葵さんがラブティアホンを取り出してみせた。これメッセージ機能があるみたいだけど、と。
「え、そんな機能あったんですか!?」
全然気づかなかった。
自分のラブティアホンを出してよく見ると、確かにカメラアイコンの他に手紙のアイコンがあった。さっそくタップすると、トーク欄にティアルーメンの名前が。
「ホントだ! さっそくメッセ送っちゃお!」
牛さんスタンプを送ると、葵さんのラブティアホンから通知音がティロンと鳴る。
「ラブティアの聖具はラブティアにしか扱えないララ。ランランたちが持っても動かないララ。だから聖具で連絡は取れないララ」
そう、と葵さんは頷く。
私のラブティアホンから通知音が鳴った。葵さんから鹿さんスタンプが返ってきていた。可愛いスタンプだった。
「真面目な話をしてるララ。集中してほしいララ!」
「大丈夫だって、ちゃんと考えてるから。――うーん、その仲間の子がいきそうな場所とか知らないの?」
「ランランもリンリンも地球は初めてララ。どこに何があるかなんて、てんで知らないララ」
そうなると完全に手詰まりだ。
「ランランもすぐ見つかるとは思っていないララ。妖精を探す片手間でもいいから、覚えておいてほしいララ!」
そのくらいのテンションでいいのなら、そこまで負担感もないか。ランランの仲間を探す話は一度横に置いて、私は妖精を探す方法を一緒に考えようと葵さんに話を振った。
「なら、妖精はどうやって見つけましょうか?」
私の言葉に、葵さんは何故か神妙な面持ちだった。
「アカリさん。少し、話があるの。実はなんだけど―――」
葵さんは真面目な口調だった。そういえば、色々話したいと言っていたけど、なんだろうか。
「――私、いえ、やっぱりなんでもないわ」
ごめんなさい、今は妖精のことを話しましょう。そう続ける葵さんに、私はどう返事すればいいか迷った。
葵さんは、いったい何を言いかけたのだろう。




