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第12話 皆を止める少女ルナーラ 17歳


「お前はなんてことを言うんだ! ダークネスさまを疑うのか! また飢えた頃に戻れと!? 妖精を奪った光の国が憎くないのか!?」

 

 先ほど村の人に言われた言葉が、頭の中で何度も繰り返される。

 もうこの流れは止められないのだろうか。私は自室で1人頭を抱えていた。


 あと数日もたてば、闇の国は光の国へ攻撃を仕掛けることになっている。全てはダークネスの思惑通りだ。


 早まってはいけないと皆を説得して回ったが、聞く耳を持ってくれずに追い返されてしまい、皆から白けた視線を向けられるようになってしまった。


 優しかった村の人たちの面影は、もうどこにもなくなっていた。みんな、どこに行ってしまったのだろう。


 頼みの綱だったフーシーさんも皆を止める気はないようで、静観し奇跡が起こるのを信じようと私に言ってきた。


 ……まだやってもないことで奇跡に頼るのはたぶん違うよ、フーシーさん。


 それに、いったいどこに奇跡が起こる要素があるのか。私には皆目分からない。


 皆はダークネスの奇跡に救われたと盛んに吠えるが、実際はダークネスによって延命されているだけで根本の解決は何もなされていないではないか。


 ダークネスが本当に奇跡を起こせる力を持っているのなら、私たちは彼女が来た3年前にすでに救われていないとおかしいのだ。妖精の力が戻ってきてないとおかしいのだ。


 だから、


 ――もしどうしようもない結果になった時、かくなる上は、私が―――。


    ◯◯◯


 とうとうこの日がやってきてしまった。


 光の国へと続く祠を前に、闇の国の戦士たちが顔を揃えている。目を血走らせ、この瞬間を待ちわびていたとばかりに鼻息を荒くしている様子だ。


 その先頭に立って皆に檄を飛ばすのは、もちろん魔女ダークネスだ。彼女は戦士らとそれを見送る村人たちを前に、ひたすら光の国を罵り、興奮を煽った。


「我々が辛酸を舐める間、光の国は妖精を独占し、栄華を極めています。今こそ反撃、復讐する時なのです! 狙うは愚かなる光の女王が持つ“虹のコフレ(宝石箱)”! そこに妖精が囚われています! いざ聖戦へ!!」


『オォっ――――――!!!』


 闇の戦士たちが、村人たちが雄叫びをあげる。


 私と母はそれを後ろの方から、ただ眺めることしかできなかった。


    ◯◯◯


 幸せで穏やかに暮らしていた光の国の民たちは、突然現れた闇の軍勢に襲われた。



 何故こんなことが起きたのか。昨日までは毎日ケーキを食べる平和な日常があったというのに。



 闇の軍勢は、またたく間に光の国ライトパレスを蹂躙し、一直線に光の女王が住まう城へと攻め入った。



 光の女王の抵抗虚しく、魔女ダークネスは“虹のコフレ”を奪い去っていった。



 歓喜に湧く闇の軍勢だったが、退却中に光の勇士たちの反撃に遭い、魔女ダークネスは戦闘のさなか闇と光の狭間で“虹のコフレ”を落としてしまった。



 “虹のコフレ”は、そのまま空間をさまよった末に人間界に落ちていき、落ちた衝撃で封印が解け、中にいた52匹の妖精が解き放たれた。


 


 この事態を受け、光の国の女王は即座に、コフレが落ちた日本に向けて光の住民である精霊を派遣することを決めた。女王は、光の国に伝わる聖具を精霊たちに与え、伝説の戦士ラブティアたちに助力願うよう口添えした。



 そして、闇の国に帰還したダークネスもまた、すぐさま地球に落ちていったコフレと妖精を回収するために戦士たちを送り込むことを決めた。

 しかし、闇の国から地球へと続く道はとても小さく、身体が大きな大人たちは通れない。通ることができたのは、まだ幼い子ども3人と、成年を迎えていない戦士ルナーラだけだった。


 ダークネスは、子どもたちに大人になれる魔法を与え、ルナーラと共に妖精を集める任務を命じ、送り出した。



 ルナーラは子どもたちを連れて地球へ旅立った。


 妖精を集める戦いへと。


 ラブティアたちとの戦いへと。






 



ルナーラ「……どこで間違えちゃったのかな? でも、妖精さえ集めれば、きっとみんなも―――」





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