*裏小話
この部分は入れるか入れないか最後まで悩みました。読まなくても問題はありません。そのためサブタイトルに*印を入れています。小話的なものだと思ってください。
……………
「お父様!」
アマリリスが帰るなり向かったのは父親である王のもとであった。
「どうした、ノックもなしに」
咎められるが今はそんなこと知ったことではない。父親は執務室の椅子にゆったりと座り、書類を片手に見ていた。
「ヴィルベルト様との婚約を正式にさせてくださいませ!」
勢い良く身を乗り出して言うと、驚いた目をする。
「なんだ、お前達想いが通じたのか」
「……お父様、知ってらしたの!?」
「お前達の気持ちなど、家族、周囲全員知っていると思うが」
なんでもないことのように言う目の前の父親に、アマリリスは眩暈がする。私の気持ちはもろばれだったのか。それにヴィルベルト様の気持ちは私だけが気付かなかっただけ。衝撃の事実にこれで眩暈を起こさない方が無理だ。その場に崩れ落ちるアマリリスを父親は可哀想な目で見下ろす。
「じゃあなんで早く婚約成立しなかったんですか……?」
「王族だから政略は絡むが、今は平和そのもの。できれば恋愛結婚させたいからな。お前達がどうこうなるまで待っていたのもある」
「え、でも一番上の姉様は他国に嫁いだでしょう?」
「知らんかったのか、あれも恋愛結婚だぞ。王子に熱心に口説かれてなあ」
「まじか……」
度重なる事実にアマリリスは思わず前世の言葉使いが出る。放心するアマリリスを良いことに、父親は自身の恋愛、つまり王妃である母親との話を楽しそうに話すのであった。




