第1章
「ふぅ、何とか間に合ったな」
一足先について椅子に座っていた彼が、教室に駆け込んできた二人に声をかけていた。
「いや、結構余裕じゃないか」
「そうそう、急ぎすぎ」
彼女は乱れた髪を直しながら答えていた、正直いきなり走り出されて、髪型が乱れたことに少し怒っているようだった、確かに彼女たちが言うように、予鈴が鳴るまでには、二〇分ほど余裕があった。彼はふと窓の外を見た、外は秋晴れで気持ちが良さそうだった、内心怠いと思っていた彼は、椅子から立ち上がり、教室の外に出ようとしていた、後ろから声が聞こえていたが、それを無視しながら屋上に続く道を歩き出していた。屋上に続く階段には立ち入り禁止の看板があったが、それをよけながら上がっていった。屋上のドアのカギは壊れていて、正直安全上どうなんだろうと、考えたときは合ったが、結局自分が使えればいいやと自己解決をしてこうしてサボりの口実にしていた。ドアノブに手をかけて開けていくと。扉は重たい金属が動く鈍い音を鳴らしながら、開いていった。屋上に出ると、そこには風が吹いていたら、秋の風が吹いていた、それでも彼はその風の中黄昏ていた、この風に包まれながら彼の手の中には時計が握られていた。そしてあの歌を口ずさんでいた。
「この世界は白く美しいが、またその美しい反面には誰もが知らない世界がある、僕らはその世界をみつける。もし見つけられないとしても、僕たちは探し続ける、この未来どこまでも」昔ヒットした、彼女が好きだったこの曲を口ずさんだ。歌い終えると少し汚れた屋上に寝転んだ、誰も来なくて、誰にも邪魔されないその少しの時が、何よりも大切だった。
「・・・・」
と呟いた、風にかすれてしまうそんな小さな声で、誰にも聞こえないような小さな声で。
そんな時、彼の目からは涙が流れていた、誰にも終えていない、もう誰も知らない彼の弱い所
一人でいる時だけの、もう一つの顔いつも眠そうで、不真面目な彼ではない、その顔を知る人はもう誰もいない、そう過去に縛られもう未来に踏み出せない、天を仰ぎそのまま静かに目を閉じた、もうその目には涙はなく頬を流れていた涙は乾いていた。その空には鳥が飛んでいた、ただ風に乗るように優雅に何者にも邪魔されないように、ただ飛び続けていた、このままこのそれのどこまでも。鳥は自由なんだろう、自分もこんなに自由に空を飛んでみたい、もし夢を見ることが出来るなら、この鳥のように空を自分に飛ぶ夢をみたい、何で自分には羽がないんだろう、この背中に。彼はそのまま眠っていた。




