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当たり前じゃない世界  作者: 鳳蓮荘
第2章 動き出す世界
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第四十五話 暴かれる真実


記者会見開始まで、残り三十分――。


東洋未来ホールディングス本社。


建物の周囲には、能力犯罪総合対策本部の隊員たちが厳重な警備を敷いていた。


御堂鷹臣(みどう たかおみ)は周囲を見渡す。


「配置完了。」


「少しでも異変があれば、すぐ報告しろ。」


「了解!」


その隣で、副隊長・篠宮玲司(しのみや れいじ)が目を閉じる。


「空間把握(サーチ)」


能力を発動。


半径百メートルの人影が頭の中へ浮かび上がる。


「一般人多数。」


「報道関係者。」


「現時点で異常なし。」


御堂は静かに頷いた。


「……奴らは必ず動く。」


「最後まで気を抜くな。」


---


同時刻――。


都内某所。


高層ビル屋上。


グラビティ、ゲイル、ノイズ、ブレイブの四人が配置についていた。


イヤホンからヴォイアントの声が響く。


『全員、準備はいいか。』


「問題ありません。」


グラビティが答える。


『第二段階を開始する。』


「了解。」


ノイズがパソコンへ手を置く。


「電子妨害、開始。」


能力が発動した瞬間。


テレビ局。


報道システム。


SNS。


動画配信サイト。


あらゆる通信網へ侵入していく。


「侵入成功。」


「いつでも全国配信できます。」


その横でブレイブが通信状況を確認していた。


「通信、全回線安定しています。」


その時だった。


ゲイルが首を回す。


「今日は妙に身体が軽いな。」


グラビティも拳を握る。


「力が自然と湧いてくる……。」


ノイズも驚いたように呟く。


「反応速度まで上がってる。」


三人の視線がブレイブへ向く。


「え?」


本人だけが理由を知らない。


鼓舞の能力は、無意識のうちに仲間を強化していた。


ヴォイアントが静かに微笑む。


『順調だ、ブレイブ。』


---


廃工場。


薄暗い奥で二つの影が作業を続けていた。


工具を握り、武器を組み上げる男。


黒く輝く金属へ静かに触れる男。


ヴォイアントが呼びかける。


『フォージ。』


「武装、全て完成しています。」


『アルケミスト。』


「特殊金属への変換も終了しました。」


二人の表情は暗闇に隠れたままだった。


---


午後七時。


記者会見が始まる。


無数のカメラが社長へ向けられる。


社長は深く頭を下げた。


「本日は、お集まりいただきありがとうございます。」


静まり返る会場。


社長は真っ直ぐ前を見つめる。


「私はエデンの脅迫には屈しません。」


「しかし、この問題から逃げるつもりもありません。」


「社員、その家族、そして社会への責任があります。」


その瞬間――


ブツッ。


大型モニターが暗転した。


「何だ!?」


照明が一瞬だけ点滅する。


全国のテレビ。


スマートフォン。


駅前ビジョン。


SNSライブ。


すべての映像が一斉に切り替わった。


「乗っ取られた!」


御堂が叫ぶ。


「篠宮!」


「発信源を探れ!」


「了解!」


篠宮は即座に能力を発動。


「通信班!」


「逆探知を開始!」


一方――


屋上ではノイズが静かに笑う。


「逆探知を確認。」


グラビティが頷く。


「予定通り。」


ヴォイアントの声が響く。


『政府も優秀だ。』


『だが、それも想定済みだ。』


---


全国の画面に、一人の黒いシルエットが映し出される。


顔は見えない。


聞こえるのは静かな声だけ。


『日本国民の皆さん。』


『私はエデン代表、ヴォイアント。』


日本中が息を呑む。


湊。


小春。


神童。


博士。


御堂。


誰もが画面を見つめていた。


『私たちは能力を否定しているわけではない。』


『能力は道具だ。』


『問題なのは、その道具を私利私欲のために使う人間である。』


画面が切り替わる。


映し出されたのは大量の資料。


送金履歴。


裏金の帳簿。


政治家との資金の流れ。


東洋未来ホールディングスと政治家の癒着を示す証拠だった。


会場が騒然となる。


「本物なのか……!」


「そんな……。」


SNSでは瞬く間に、


#エデン


#裏金


#東洋未来ホールディングス


がトレンドを埋め尽くしていく。


テレビを見ていた政治家たちは顔色を失った。


「終わった……。」


「全部、知られてしまう……。」


一人の政治家は震える手で電話を取る。


「至急、対策会議を開け!」


「何としてもこの情報を止めろ!」


別の企業幹部も椅子から立ち上がる。


「社長に連絡しろ!」


「海外口座の資料は残っていないだろうな!?」


政府関係者も顔を見合わせる。


「まずい……。」


「ここまで証拠を握られていたのか。」


誰もが焦り始める。


ヴォイアントの声だけが静かに響いた。


『真実は隠せない。』


『残された時間で、自らの罪と向き合え。』


画面はブラックアウトした。


会場には重苦しい沈黙だけが残る。


第46話へ続く

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