2食目・後
【毎日19:00更新!】
前回の解決レシピ:迷子の少年ニールに黄金のコンソメスープを振る舞ったアキラ。いよいよ元・敏腕コンサルの「分析」が牙をむく……!?
※カクヨム様から移転してきました。なろう版のアキラたちの旅も、ぜひ応援よろしくお願いします!
俺はカウンターに地図を広げる。
もちろん、このキッチンカーの鑑定スキルで出力した、この近辺の「動態マップ」だ。
「さて、分析を組み立てよう。ヤギが逃げたのはいつだ?」
「三時間前、北の崖の近くで……」
「北の崖か。君の靴についているのは、ここから東にある『黒沼の森』の土だ。つまり、君はパニックになって、ヤギが絶対に行かない方向に探しに行ったということになる」
「えっ!?」
「ヤギという動物の性質を考えろ。彼らは高いところを好み、塩分を欲しがる。今の時期、北の崖付近でヤギが好むのは、岩肌に露出する『岩塩』と、日当たりのいい場所に生える『シロツメクサ』だ」
俺は地図の一点を指差した。
「この風向きなら、ヤギは崖の陰にある、風の当たらない窪みに溜まっているはずだ。ベア、案内してやれ」
キッチンカーを引いていた地竜が、面倒くさそうに頭を上げた。
「えっ、でも、一人で行くのは怖くて……」
「ベアが一緒なら、狼だって近寄らない。君は自分の足で、自分のミスを挽回してくるんだ。それが『自立』への第一歩だ」
ニールは、力強く頷いた。
スープで温まった体と、俺が提示した「根拠のある解決策」が、彼に勇気を与えたようだった。
一時間後。
ベアに伴われ、一頭の立派なヤギを連れたニールが戻ってきた。
「おじさん! いたよ、本当に言った通りの場所にいたんだ!」
ニールの顔は、先ほどとは別人のように輝いていた。
彼は懐から、ボロボロに汚れた、しかし綺麗な色をした「青い石」を取り出した。
「これ、崖で見つけたんです。お金じゃないけど、お礼に受け取ってください!」
「……ふむ」
俺は石を手に取り、キッチンカーの鑑定機能にかけた。
【アイテム:コバルト原石。高品質。魔導具の触媒として高値で取引される】
「いいだろう。依頼完遂だ。報酬として、ありがたく頂戴するよ」
ニールは何度も頭を下げながら、ヤギと共に村へと帰っていった。
静かになった夕暮れの草原。
俺は青い石をキッチンカーの「精算機」に投入した。
すると、キッチンの棚がガタガタと鳴り、新しいスパイスの瓶と、見たこともない高級な茶葉が数種類現れた。
「よし、設備投資完了だな」
俺は、自分用の二杯目のコンソメスープに、手に入れたばかりのスパイスを少し振りかけた。
前世のコンサル料は数千万円だったが、あの子がくれた石一個の方が、よっぽど価値がある気がする。
「さて、明日はどの村へ行こうか、ベア」
地竜は大きなあくびをして、俺の足元で丸くなった。
六億円の資産を失い、魔法の屋台を手に入れた男の旅。
どうやらこの世界の悩み事は、コンサルタントの俺を飽きさせてはくれそうにない。
アキラのキッチン、初日の営業は――黒字で閉店だ。
アキラと地竜の旅をここまで読んでいただき、ありがとうございました!
「アキラのロジック最高!」「屋台のアップグレード機能ワクワクする!」と思ってくださったら、ぜひ応援をお願いします。
画面下側にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして評価していただけると、アキラの屋台のモチベーション(と作者の執筆意欲)がめちゃくちゃアップします!
ブックマーク登録もぜひよろしくお願いします!




