6 シスタードーナツ
「いやいや、この人数いるならもっと他にできることあるでしょ…」
ミネルは深いため息を吐いた。
……もう帰りたい。
そう思った時だった。
ふわり、と甘い香りが鼻をくすぐる。
「うふふ。次は気に入っていただけると良いのですが。」
シスターに案内され、さっきの廊下を戻る。
着いたのは教会入口近くの壁沿にあった小さな…
「……ドーナツ屋さん?」
「はい着きましたね。」
「シスタードーナツです。」
「怒られないかなぁ〜!?」
白い屋台。
十字架を模した看板。
そして、並べられた大量のドーナツ。
「ただのドーナツではありません。ある“おまじない”をかけることで、より美味しくなるのですよ。」
「え!? それってもしかして萌え萌えキュン…!?」
「いえ。神のご加護がありますようにと。」
「それこんなのでも使っていい言葉なんだ…。」
シスターは満足そうに頷いた。
「ちなみに一番の人気は
“ガチエンジェルフレンチ”
です。」
「聞いてないわよ。」
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なろうワーク。
「……なんか、思ってたのと違うわ。」
椅子へ腰掛けながら、ミネルはぽつりと呟いた。
教会。
もっとマナーや礼儀作法など近寄りがたい場所だと思っていた。
でも実際は――
「…………。」
――そうだよな。
透は窓の外を見ながら、小さくつぶやく。
「それは、こっちの世界でも変わらねぇか…。」
「トオルさん、またあのモードに入ってるよ。」
たまたまいたミモリが呆れたようにコーヒーを置いた。




