3 ミイラ取りがプロミイラ取りになる
「まずはありがとう。」
事情を聞き終えた恩音は、ミモリに軽く告げた。
「で次にごめんなさい。」
恩音は、ゆっくりとリーダーの男へ視線を向ける。
「こんなこと聞くのは意地悪だと思うけど、誰がショウタを追放していいって言ったの?」
男の喉が、ごくりと鳴った。
気づけば喉元に杖がある。
「なんでここに来やがった」
「そりゃあ来るでしょ。アンタがショウタのこと気に食わないのは知ってたし。アンタの行動なんて腹ペコあ◯むしくらい読めるわ。」
「けっ、天才魔法使いだとチヤホヤされてるからって調子に乗りやがって。」
「さてと、世間一般的に四分の一の分配で話を進めてもよろしいですね?」
メモリが淡々と確認する。
「ですが、なにやら話が違うようですし……追放そのものを取り消すという形でも構いませんが。」
「……いえ。」
恩音は小さくため息を吐いた。
「この際だから、追放でいいわ。」
「あっ……………………、恩音さん…。」
ショウタが目を伏せる。
そして次の瞬間。
「あと、私も抜ける。」
「……は?」
男の声が裏返った。
「な、なんでそうなるんだよ!?」
「当たり前でしょ。有望なソロプレイヤーがいるのに、なんでアンタたちに付き合う必要があるのよ?」
恩音は呆れたように髪をかき上げる。
「私に言わせてもらえば、追放されるのはアンタたちの方よ。」
空気が凍った。
「そ、そんな! お前がいなきゃどうやって大勢の敵を相手すりゃあ……!」
「では恩音さんも脱退ということで。共有資産は四分の二で再計算しますね。」
「あぁ゛…おかしいだろ。こいつだけでいーんだ。」
「ところで、2人抜けたこのままのパーティーだとAランク維持は厳しいので、こちらも調整しておきますね。」
「俺の名誉だぞ…?ふ、ふざけんなああああぁァァァアアアっ!?」
ミモリは軽く首を傾げた。
「あら、眠ってしまいましたね。すやすやです。」
リーダーの隣にいた女は、顔を引きつらせて逃げていった。
「…ちなみに、恩音さん達もAランクから降格することになりますが。」
「構わないわ。」
恩音は即答した。
「はい。では、そのように手配しておきますね。」
「私の追放も代行してもらえるのでしょう?」
「代行ってなんでしょうね。」
――なろうワーク本社。
「おーい、ミモリじゃねぇか。なんだそのカッコつけた服。似合ってねぇぞ〜」
「相変わらず嫌われそうな人ですね。仕事の内ですよ。」
男はニヤリと笑って聞く。
「で。どうだった?」
ミモリは肩をすくめる。
「まぁ……一番の敵は無能な味方かも知れないですね。」
「なに、一丁前に達観してんだ。仕事うまくいったんだろうに。」
「まっ、この世界でもそれは変わんねーってことか。」
男はさびしそうにつぶやいた。




