2 脳無いメーカー
「ほらほら、ちゃんと聞いたほうが身のためですよ? それでは共有資産の分配を始めましょう」
にこやかに言うメモリに、リーダーらしき男が顔をしかめる。
隣では、態度の悪そうな女が露骨に舌打ちした。
「は? んなもん全部俺た――」
「まさか、ポーションやアイテムを独り占めするおつもりではありませんよね?」
「……ぐっ、殴りてぇ」
男が愚痴と酒をこぼす。
「困るんですよね〜。一文無しで追い出すってのは違反だと書かれてあるのでね〜。」
ちなみにメモリは、さっきから一つ一つショウタに確認を取りながら話を進めていた。
「現在のパーティー人数は?」
「よ、4人です。恩音さんがいます!」
「おや。そのわりには、ここにいらっしゃらないようですが」
男が鼻で笑う。
「恩音だって、お前は弱いから追放したほうがいいって言ってたんだよ」
「そうよ。顔も見たくないみたいね」
「っ……!」
ショウタは拳を握る。
恩音はそんなことを言う人じゃない。
……でも、自分が弱いのは事実だ。
心配して、そう言ったのかもしれない。
情けなさに、握った拳へ力が入る。
UFOキャッチャーは見習ってほしい。
「んー……困るんですよねぇ。やっぱり、ご本人に来てもらわないと」
メモリは小さく笑う。
「そんな、嘘か本当か分からない会話は無いのと一緒ですので」
「……は?」
「では、確認するとしましょう」
「本当だったら円満退社。ですが、もし仮に嘘だった場合は……違約金だけが増える“脳無いメーカー”ですねぇ」
メモリはショウタに向かってこう言う。
「嘘か真実かを見極める方法は、実際一つしかありませんので」
その時だった。
廊下の向こうから、こちらへ向かってくる足音が響く。




