閑話
久々の三日連続更新!
今月は時間がある程度取れそうなのでなるべく更新していきたいと思います。
〜ユウリがアリアに戻った数日後【三人称視点】〜
「何故だっ!?何故失敗したのだ!?」
「お、落ち着いて下さい、父上!」
「落ち着いていられるか!三年もかけて準備した策が王都陥落どころか雑兵を数十人殺しただけだぞっ!?」
ローリアル領にあるシンフォニア王国副都プレリュード。
ここはオスリア大森林から時折現れる魔獣・魔物から国を守る為に作られた防衛都市。
他の街と比べ、華やかさや開放感は無く、むしろ街全体が巨大な砦の様な作りとなっており、訪れる者は精々珍しい素材を買い付けにくる商人や功績を挙げんとする冒険者くらいだ。
その領主を任されるミージック=ローリアル辺境伯は、怒りを抑える事なく、怒鳴り散らしている。
それを狼狽えながらも諌めるのは長男であり、次期領主候補のラジーク=ローリアル。
「まさかあのガキが純竜種を討伐するなどとは……。それに加えて、本来現れるはずの無い、不沈艦の団長と副団長までもが……」
「大丈夫ですよ父上。次は今回よりも規模を大きくし……」
「軽々しく次などと口にするなぁ!!」
「くぶぇふっ!」
「今回の作戦でどれだけの時間と金と人を使ったか!お前も分かっているだろう!?表立って行動を起こせずに、裏でコソコソと時間を掛けてようやく決行したのにも関わらずこのザマだ!」
怒りに任せて息子を殴りつけるミージック。
今回北からの侵攻、しかも挨拶が終わってすぐ、あまり長い期間街を開けられない。と無理矢理王都を出てきてしまった。
多少不審がられるだろうが証拠は残していない、核心は持って行動される事は無い筈なのだ。
ミージックはそう自分に言い聞かせてどうにか落ち着こうとしているものの、そう簡単にはいかない。
明日には騎士団が自分を捕らえに来るかもしれない。
そう考えると落ち着いていられないのだ。
「やはり、直接の王都侵攻はもう無理か……」
「そ、それなら暗殺でしょうか?」
「あの国王には優秀な影が常に付いている。そう簡単に成功するとは思えん」
「それならば私に妙案がございます」
「ふんっ。まだいたのか。先程まで一切口を開かなかったくせに。大体今回もお前が気は熟したと言うから実行したのだぞ?いったいどうしてくれる?」
「私にも予測不能の自体が多すぎました。しかし此度の件で王都の騎士団の力を把握する事が出来たのは幸いでした」
「把握してどうするというのだ?」
「外からが駄目なら内から崩せば良いだけですよ」
「反乱を起こさせろと?馬鹿を言え。そう簡単にあの騎士団が裏切る事は無い」
最初から居たにも関わらず、一切声を上げず、まるで居なかった様に佇む男がミージックに提案をする。
「そうでもございません。詳しい情報は改めて精査しなければいけませんが、不満を持つ者は少なからず存在します。例えば、簡単に自分と同様の地位を持たれた……」
「あの使えない法衣伯爵共か」
「はい。それに謁見の間にて強く反対の声を上げた我々の王がいるではないですか」
「あの第二王子か?あれもまた馬鹿だ。我々がこの国を手中に収める為の傀儡の王に過ぎん」
「傀儡と言えど、王子は王子。ある程度の権力は持っています。今回の件で第二王子派閥は少なからず不満を胸に抱いたはず。今こそ結束を強め、内々からこの国を崩壊させるのです」
「そう簡単にいけば苦労はせんわ」
男が言いたい事は分かる。
だが、ミージックはいまいち乗り気ではない。
第二王子派として傘下に入っているが、元々御しやすいからとの理由で入っただけだ。
アレは王の器ではない。
それでも継承権を持つ王族であるが故にタチが悪いのだ。
「第二王子を王に挿げ替えるとどうなると思いますか?」
「そんなもの火を見るより明らかだ。すぐに国は国ではなくなる」
「そうでしょう。歴史に残る愚王となるのは明白。その愚王に苦しめられた民草を率いて英雄となれば良いんです」
「貴様……。反乱を起こし王座を第二王子に渡し、今度はその王を討つ為、更に反乱を起こすと?」
「その通り。そうすれば貴方は救国の英雄として確固たる地位を築けるでしょう」
「ふむ……」
「父上!良いじゃないですか!英雄になれるんですよ」
ミージックは顎に手を当て考える。
『此奴の言う事は胡散臭い。だが、聞いてみればむしろ最善だと思えてくる……。伸るか反るか……』
直ぐには決められない。否、決めてはいけない。
次に失敗すれば、確実に自分は首を刎ねられ、ローリアル家は歴史に残る反逆者の汚名を着せられた上で取り潰しとなってしまうからだ。
「直ぐに決められる事ではないでしょう。また決心が付いた頃にお邪魔する事にしますよ」
「あぁ、そうしてくれ」
「ただし、残りの時間はそんなに長くはありません。貴方様が居るからこそ我が国はこちらに攻め入らず、協力しているのです。もし、こちらに利が無いとあらば……」
「そんな事分かっておる!」
「それであれば私から言う事は何もありません。良いお返事期待しておりますよ、ローリアル辺境伯閣下」
わざとらしく丁寧に頭を下げ部屋を出て行く男。
ミージックと男は何年も協力関係にあるが、ミージックからすれば未だに目論見が見通せない薄気味悪さがあった。
「喰えぬ男だ、シリウス=ブルーローズめ……」
とうとう出てきた父ちゃん!
今後のユウリとの絡みがどうなるか楽しみですね!ね!?




