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【完結】流星を放つ鷹【鷹の眼の射手】  作者: まっしゅ@
第四章 運命の日

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第五三射目

 プライベートがバタバタして遅くなってしまい申し訳ありません。

 もうしばらく更新頻度が遅くなってしまいますが、ご容赦下さい。


 年末から年始にかけては暗黙の了解でどの国も戦争を仕掛けたり、いざこざを起こしたりはしない。

 一部の盗賊や魔獣・魔物はそんな事を気にしてはくれないので最低限の守りは必要になるが、それでも普段よりも穏やかとなる。


 シンフォニア王国で初めての年越しを過ごした僕は今王都へ向かう馬車に乗っている。

 貴族、特に上位貴族と一部の下位貴族は年始の挨拶として国王に謁見する()()がある。

 何故義務ではなく権利と言われるのかは簡単、国王に家名を覚えてもらえる程の功績、または相応実力や権威を持っているからだ。

 特に下位貴族は何かしらの功績がなければまず謁見する事は出来ないので、それだけでも泊が付く。

 勿論、謁見出来るのは家長とその血縁の者だけだが。

 今回は旦那様と奥様、王都にディーセス辺境伯家長男のセラス様と次女フラン様が対象となる。

 長女のエルジュ様は現在ラ・ミリアム聖教国にいるらしいので、不参加だ。


「ユウリ、ユウリ。王都に着いたら何処に行く?」

「そうですね、僕はとりあえずギルドに行かなければならないので、それがどれ位で終わるかで変わりそうです」

「フラン、遊びに行くんじゃないんだよ」

「分かってます。でも折角ならユウリに王都を案内したいじゃないですか」

「それもそうだけど、ユウリも忙しいから今回は我慢しなさい」

「……はーい」


 馬車内は終始穏やかムードで王都に向かっている……。けど、何で僕はこの馬車の中に居るのかな?普通は外で護衛だよね?


「だから言ったじゃないか、フランの一番近い所にいて守ってもらわないといけないからね」

「旦那様、もう僕の心を読むのは何も言わないし、それはもう聞きました。では本当の事を言ってください」

「娘のお願いを断れなかった」

「……フラン様?」

「だってお話しながら行きたいでしょ?嫌だった……?」

「その聞き方は……ズルいですよ」


 フラン様程の美少女に涙溜めながら見上げられて嫌だと言える男子がどれほどいるんだろう?因みに僕には無理でした。


「あ……。北から草原狼(グラスウルフ)の群れが来てます。数は十三匹、距離は三キリル程です。迎撃しましょうか?」

「ユウリはゆっくりしていて構わないよ。ジルク達に任せよう」


 何処に居ても周りの様子は分かるから問題ないし、馬車での旅をもうしばらく楽しんでおこうかな。



 それから道中の村で一泊した後、無事王都に到着した。

 旦那様達の国王への謁見は明日の予定なので、そのまま宿に向かう。

 僕はなるべく早めにギルドに向かう為に途中で別れる事になったのだけど……。


「何故ジルクさんが一緒に?」

「宿まで案内役と護衛だよ、護衛」

「一般人の護衛を不沈艦の部隊長がするのはおかしくないですか?」

「【鷹の目】である君を不沈艦の面々が一般人扱いする訳ないよ。それならおかしくないでしょう?」

「そんなもんなんですか?」

「そんなもんだよ。さぁ、ここがシンフォニア王国のギルド本部だよ」

「大きいけど前に聞いた通り、本当に同じ様な建物なんですね」

「中は結構違うけど、まぁ入ったら分かるさ」


【鷹の目】になってからジルクさんがとてもフランクに話しかけてくれるようになった。

 何でも不沈艦としての立場は関係無く話せる相手が出来て嬉しいのだそうで、僕としてもありがたい存在になっている。


「なんか高級宿の受付みたいだ……」


 ギルドに入ると内装に吃驚する。

 豪華絢爛とは真逆のとても実用的な造りにはなっているものの、全てが上質なのが素人目にも分かり、魔道具が惜しげもなく使われている辺り、ギルドの力が分かる。

 受付に名前を伝えると、元々連絡入れていたおかげかスムーズに奥の談話室へ通してくれた。

 しばらく待っていると、扉が開かれる。


「遅くなってすまない。俺がシンフォニア王国のギルドマスター、ガランだ。よろしく頼む」

「こちらこそ、年始の忙しい時期に申し訳ありません。銀級冒険者のユウリと申します。こちらは付き添いのジ……」

「よう、ジルク。元気にしていたか?」

「相変わらず人の話を最後まで聞かないのは治ってないんですね、ガラン殿」

「え?二人は知り合いなんですか?」

「ガラン殿は私が冒険者になりたての頃にお世話になった方だよ。不沈艦への推薦もしてくれたからね」

「あのヘナチョコがまさか不沈艦の部隊長とはな。世の中分からんもんだ」

「ヘナチョコは余計ですよ。そっちこそ脳まで筋肉のくせによくギルドマスターなんて務まりますね」

「部下が優秀だからなぁ。俺は辞めたくて仕方ないんだが中々そうはいかん。お前が代わりにやるか?」

「遠慮しておきます」


 まさか知り合いだったとは……。

 だからジルクさんが付いてきてくれたのか。


「っと、昔話も良いがとりあえずユウリの昇級の話だな。はっきり言おう。ギルドマスターとしては実力や礼節、人柄的に何も問題ないと俺は思っている」

「ギルドマスターとしては問題ないって事はそれ以外に問題が?」

「そうなんだよ。魔法銀級に比べて黄金級はそこまで少なくないとはいえ、実質的に冒険者の最上位に位置する階級だ。そう簡単になれるもんでもない。それを一年もかからずに成人したての小僧が飛び級でなるなんてなれば……」

「周りの反感が凄い。と?」

「そうだ。だから、実際に実力を見せる場を用意した。今日これからは暇か?」

「はい、念の為滞在中とその後は予定を調節してもらえましたので、時間はあります」

「そうか。ならば王都の闘技場にて昼過ぎから模擬戦をしてもらう。因みにディーセス辺境伯には既に伝えてあるから、俺達はそのまま向かうぞ」

「え?」

「聞いてないのか?確かに伝えた筈だが……」

「ジルクさん?」

「はい、お館様や奥様、お嬢様には伝えてありますよ」

「僕には?」

「お館様が『面白そうだからユウリには内緒にしておこう』と言われたので」




 あの人は本当にもう……。

 何はともあれ、あっさりと黄金級への試験が始められるのを喜ぶべきなのかな?

 複雑な心境の中、僕はガランさんに連れられて、闘技場へと向かう事になった。

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