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【完結】流星を放つ鷹【鷹の眼の射手】  作者: まっしゅ@
第四章 運命の日

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第五十四射目

 王都の西側にある大きな闘技場は騎士団の実践的な訓練や年に一度ずつ開催される魔法と武術の大会等、様々な催しに使われる施設らしいけど……。


「それをたかが黄金級の昇級試験に使うなんて……」

「それだけユウリが注目されているって事だよ」

「それは喜んで良いんですかね?」

「王様のお眼鏡に叶えば騎士団に勧誘されるかもよ?」

「うわぁ。凄く嫌だ」

「おいおい、お前ら……。少しくらい緊張感を持てよ……」


 僕とジルクさんの会話を隣で聞いていたガランさんが何とも言えない表情でこちらを見ている。

 緊張感を持てと言われてもなぁ……。

 この施設は特殊な魔道具が使われており、闘技場には結界が張られているらしい。

 戦いの流れ弾が観客席に飛ばないようにするのは勿論、目的はもっと別にある。

 ここでの戦いの傷では()()()()()()()()。と言われた。

 どういう事か詳しく聞いてみると、


『魔道具の効果で闘技場には特殊な結界が張ってある。その魔道具の魔力に反応して使えるこの【身代わりの指輪(スケープ・リング)】を身に付けて戦いってもらう。と言ってもちゃんと痛いがな。生身で、しかもお互い全力で戦えるのに負けても傷一つ無い状態に戻れるから便利なんだ。勿論、違和感なんか無いから安心して良い』


 だそうだ。

 実戦さながらの訓練が出来るのでとても人気らしく、普段はとてもじゃないが使えないけど、年始は基本的に訓練等も無いので使用許可が降りたと言われた。

 死なない実戦と言われて緊張感を。かぁ・・・。

 正直なところ、森の中で散々死と隣り合わせの状況で生きていたから、その心配が無いだけで、その辺の子鬼ゴブリンとの戦い程の緊張感も持てない。

「さぁ、そろそろ始まるぞ。指輪を付けて魔力を流すんだ。それが終われば入場してくれ」


 ガランさんに促されて指輪を指に付けて魔力を流す。

 魔力を流し終えると、今度は指輪から魔力が皮膚に流れ込む感覚に襲われた。


「この指輪の魔力……。凄く気持ち悪い……」

「何言ってるんだ?指輪から魔力なんて流れてこないぞ?」

「え?」

「あぁ、そうか。ガラン殿、ユウリは加護で五感が人よりも遥かに敏感なんですよ。だから他の人には感じない違和感があるんだと思います」

「そうなのか?初耳だが、まぁそういう奴もいるんだろうな」


 ガランさんの疑問をジルクさんが的確に説明してくれた。

 気持ち悪さにも慣れてきたので、気を取り直して入場する。


「そういえば、僕の対戦相手って……」


 僕が言いかけた所で観客席から歓声が上がる。

 先に相手の人が入場したのかな?それにしてもこの歓声、悪い予感しかしない。


「まぁ、見てみてのお楽しみだ。行ってこい!」


 今更気にしてもしょうがないかぁ。

 僕は諦めて階段を登り、場内に上がる。

 そこに経っていたの……。


「……お久しぶりです、クランベイン第三団長。お待たせして申し訳ありません」

「あぁ、久しぶり。見た所あんまり驚いて無いみたいだが?」

「いやいや、驚き過ぎてどうして良いか分からないだけですよ……」

「それは無理言って僕が立候補した甲斐があるよ」


 笑いながら話してくれるクランベイン団長だけど、正直どうしてこうなった感しかない。

 こちらはただの銀級冒険者、あちらはこの国トップ騎士団の団長。

 嫌がらせなのか虐めなのか……。


「さて、そろそろ始まるみたいだ」

「始まる?」


 クランベイン団長に釣られて、観客席の一際高い所に座っている人物を見ると……。


『皆、今年もまた新年を平和に迎えられた事を嬉しく思う。この休暇が終わればまた忙しい一年が始まるであろう。その激励代わりにこの様な催しを用意した。ディーセス辺境伯家の【鷹の目】と言われる、冒険者ギルドでも期待の新人ユウリ、そして我が国最強の騎士団方舟の第三団長、英雄級職種の弓王を持ち、二つ名【天弓】と呼ばれるロクス=クランベインのこの戦い。存分に楽しんでくれ』


 拡声の魔道具により伝えられる声の主。

 この国の国王、ノーベルト=フォン=シンフォニア国王陛下だ。

 演説一つで先程よりも遥かに大きな歓声が客席から上がる。

 よく視ると、陛下よりも少し低い位置に旦那様達や多分他の辺境伯であろう方々も並んでいる。


「黄金級になる為にこんな大事があるなんて……」

「それだけ注目されてるって事だ。喜んで良い」

「さっきも言われましたけど、素直に喜べないのが本音です」 

「ははっ。さて、そろそろこちらも始めようか。話は聞いているだろう?全力で来なさい」


 クランベイン団長の雰囲気が変わる。

 ガルシア団長と違い猛るような魔力ではなく、どちらかと言えば僕と同じ静かな、それでも並々ならない威圧感が伝わってくる。


 ヤバい……。

 どうしよう……。

 弓使いと弓王、明確且つ圧倒的格上との戦い……。

 当初思っていた『死なないなら緊張感なんて持てない』なんてただの戯言だったと実感させられる。


『両名、準備は良いか?では…………、始めっ!』


 国王陛下の声と共に戦いの火蓋が切って落とされた。


 本当にどうしよう。

 落ち着け、気持ちを沈めろ。

 いつも通りに呼吸も身体も魔力も動かせない。

 それほど迄の相手だ……。

 いつも通りに立ち振る舞えないほど……。

 未だかつて無い程に……。










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