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【完結】流星を放つ鷹【鷹の眼の射手】  作者: まっしゅ@
第四章 運命の日

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第五十射目

 夜が明けて、村が活気に満ちてきた。

 ヌーボさんの屋敷の事件はちょっとした騒ぎになったが、大きくなる前に落ち着いた。


「全く、人使いが荒くないかな?ユウリは」

「まさかこんなに早く来るとは僕も思ってなかったですよ、リックさん」

「そりゃモイ会長直々に屋敷に訪れてお館様にユウリからの伝言を伝えて、そんなお館様から直接呼び出されて「一番早く動けるのはリックだよね。よろしく」なんて言われて急がない訳にはいかないでしょ」

「なんか、お疲れ様です」

「だから誰のせいかな?だ・れ・の!」


 リックさんは軽く言ってはいるが、実際一晩で来るなんて到底出来る事ではない。

 職種【調教術師】で使役した馬を何頭か乗り継いで、アリアからここまで休み無く走り続けてきたと説明してくれたけど、 リックさん自身の疲労もある筈だよね。


「良かったらこれどうぞ」

回復薬ポーション?」

「気休め程度ですが、疲れが取れると思いますので」

「ありがとう、遠慮なくいただくよ」

「それとは別に向こうに帰ったらリックさんにお土産プレゼントしますね」

「それは楽しみにしといて良いやつかな?」

「多分?」

「その話すっごく不安なんだけど!?」


 ともかく、何やかんやでこの一件は終わりを迎えた。




 筈だったのに……。




「今回、王国管轄の村の不祥事を代わりに対処してくれた君たちへ、国王に代わり礼を言わせてもらう」

「いえ、偶然居合わせただけですので」

「まさかクランベイン第三団長がいらっしゃるとは。そうであれば私が出る幕は無かったですね」

「いやいや、それこそ偶然だ。リックだったかな?君がいなければ騒ぎになっていただろう。助かったよ」

「ディーセス辺境伯領ではないのに出過ぎた真似をしてしまったかと内心ヒヤヒヤしてました」

「国の為の行動に非があるわけないだろう」


 珍しくリックさんが畏まって話している人物。

 シンフォニア王国騎士団【方舟(アーク)】、第三騎士団団長ロクス=クランベイン様。

 二つ名【天弓】を国王から授かった、王国内でも最強格の実力を持つ方だ。

 たとえ不沈艦のリックさんでも話す機会など無いに等しい、そんな方がリックさんはおろか僕にすら礼を言っている。


「ユウリ、前々から悪い噂があったヌーボの尻尾を掴めずにいたが、今回の件で無事捕らえる事が出来た。助かったよ」

「僕はただ、自分の身を守っただけです」

「身を守る為に悪党一派の人間を皆殺しにするのは中々・・・」

「リックさん?生きてる人もいますからね?」

「やり過ぎだと言う者もいるかもしれない。だが、殺されてもしょうがない事を奴等はやってきたんだ。それに……」

「それに?」

「これから先、死んだ方が幸せだと思う人生を送る事になるだろう」


 満面の笑みで怖い事を言うクランベイン団長。

 そして、真面目な顔になり話を続ける。


「この一件でヌーボに加担していた貴族共を芋づる式に全員排除出来る。王国に反旗を翻しているのと同義の者だ。必ず全員捕らえてやる。ところで、一つ提案があるんだが良いか?」

「僕にですか?」

「あぁ、そうだ。今回の件、全て私の指示の元やった事にしてもらえないか?」

「ちょっと、お待ち下さい!それではユウリの手柄を全てクランベイン団長が持っていく事になります!」

「そうなるな」

「いくら方舟の第三騎士団団長とはいえ、横暴が過ぎます!」

「ちょ、ちょっと。リックさん、らしくないですよ。冷静になって下さい」

「ユウリはそれで良いのか!?折角の手柄を……」

「リックさん!落ち着いて下さい。リックさんならクランベイン様がどういう意図で言ってるか、冷静に考えれば分かる筈です」


 クランベイン団長の提案に対して、普段はおちゃらけてはいるが、冷静な判断が出来るリックさんが珍しく食って掛かってるけど……それもそうか。

 今回の件は王国への貢献度がかなり高い案件だ、ディーセス辺境伯家の更なる地位向上にも役立つ。

 それでも、僕はクランベイン団長の提案を呑むつもりだ。


「リックさん。今回の提案はディーセス辺境伯家にとっては損かもしれません。ただ、クランベイン様は僕の為に、そしてディーセス辺境伯家の為に言ってくれてるんですよ」

「お館様とユウリの為……。まさか……」

「そうですよね、クランベイン様」 


 リックさんとのやり取りを無言で見ていたクランベイン団長が僕の一言に口角を上げて笑う。


「ユウリ、君は聡明だ。リックも自分の主や友の為を考えるのは良い。だが、それだけで大局を見失うのはいただけないな」

「申し訳……ございません…………」

「謝る必要は無い。私への進言は誰にでも出来る事じゃない。それは誇ってくれ」

「温情、感謝致します」

「話を戻すが、ユウリの言う通りだ。今回の件をディーセス家、もしくはユウリ個人の手柄とすると、良からぬ事を考える輩が出てくる可能性がある。もっと大きな相手を常々警戒しなければならないディーセス家は国内の揉め事を相手している場合ではない。ユウリはディーセス家の者とは言ってもあくまで個人だ。命を狙われる可能性がある」

「それをクランベイン様率いる第三騎士団の手柄にする事で、敵の目を逸すのが目的。ですよね?」

「その通り。こちらに目を向けさせれば、早々手出しは出来ないだろう。勿論、それ相応の報酬は渡そう」

「報酬は要りません。その代わりにディーセス家にあ何かあった際は一度だけ、力を貸して下さい」

「騎士団としての力か?」

「いえ、クランベイン様個人を。です。騎士団をおいそれと動かす事は難しいと思いますので、名前をお借りするだけでも構いません」

「分かった。シンフォニア王国騎士団方舟、第三騎士団団長ロクス=クランベインはディーセス家に力を貸す事をこの弓に誓おう」


 クランベイン団長は弓を胸の前に構えて、騎士として最上位の誓いを立ててくれた。


「それと、だ。ユウリ個人への報酬はどうする?」

「あれ?この流れ何処かで……」

「ユウリ、諦めなよ。騎士団はそこんとこ曲げることはしてくれないよ」

「ですよねー……」




 結局僕への報酬は断れる筈も無く、そこそこの金額をいただき、一つの約束をしてもらった。

 いつか、その約束を叶えてもらえれば。と言葉を濁したが、多分近い内に叶えられるのだろうと予感しながら。

 とうとう五十ページまで到達したと思ったら、閑話とかがあって過ぎてることに今回の投稿で気付きました。


それでも、五十話まで来れたのは見ていただいてる方々のおかけです。

拙い文章ですが、これからもよろしくお願いいたします。

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