第四十九射目
初投稿の時から遅くても一日空き位で更新してきたのに、今回は2日も空いてしまった・・・。
見てくださってる皆様、申し訳ありません。
作者のプライベートがバタバタしているので、今後も更新が遅れる場合がありますが、遅くとも週一では更新出来るように頑張ろうと思います。
朝が早いこの村の住人達は夜になると早々に家に帰り、眠りにつくらしい。
一部の商人や日雇い炭鉱夫は次の日が休みであれば、夜でも騒ぐ事もあるけど、暗黙の了解なのかあまり遅い時間まで続かないとモイ商会の人が教えてくれた。
昼間の喧騒と違い静かで、板戸を閉めれば部屋の中は真っ暗で普通は何も見えない。
ベッド周りに少しだけ外の月明かりが差し込む程度だ。
そして、そんな誰も来る筈の無い僕の部屋の扉の前に数人の足音が集まっている。
聞き耳を立てて音がしないのを確認したのか、部屋の鍵が静かに開けられて、扉が開く。
直後に扉の前に居た者達が雪崩込んできた。
「おい、誰も居ないぞ」
「そんな馬鹿な。部屋からはだ……っ!」
「うぐっ…………」
「あがっ……」
「誰だっ!?何処にいる!?」
「誰も何もこの部屋を貸したのは貴方でしょう?店主さん」
この部屋の中で部屋を自由に動けるのは僕くらいだろう。
加護による視覚強化。
その中で夜でも視界を失わない《蛇の眼》は光ではなく、物体の熱を探知して視界を確保している。
「他の方には少し寝ててもらいました。後は貴方だけですが、誰の指示ですか?」
「お、俺の独断だっ!誰の指示でもない!」
「そうですか……。じゃあ元凶の貴方を殺しても僕は罪に問われる事ほありませんね」
「や、やめろ!やめてくれ!殺さないでくれ!」
「仮に僕がそう言ったら貴方は僕を殺さずにいてくれましたか?」
「そ、それは……」
「有り得ないですよね?じゃあ最後に聞きましょう。この襲撃の首謀者はヌーボさんですか?」
「……誰だそれは」
「そうですか。残念です」
しらばっくれてているが発言前後の心音や発汗、僅かな動揺を僕の加護が見逃すはずもなく、この人が嘘を言っている事を教えてくれる。
それなら、ここにいる人達にもう用はない。
「色々教えてくれてありがとうございます。では皆さん、
さようなら」
無いとは思うが、誰かがこの部屋を訪れた時用に念の為、部屋に書き置きを残して、宿を出る。
命を狙ってくる人達に容赦する必要はない。
視覚・聴覚・嗅覚を使って村全体から首謀者を探し出そうと集中すると、採掘場の近くに少し大きい家を見付けた。
他の家と違い護衛代わりのならず者が周りに多くいるし、この時間にまだ明かりが点いていて、話し声が聞こえる。
「僕はちゃんと言いましたよ。夜は僕の領域だって」
【ヌーボside〜三人称視点〜】
「あのガキがぁ。素直に依頼だけやれば良いものぉ」
「まさか小鬼まで全部討伐するとは思いませんでしたねぇ」
「あそこの奥じゃギルドに卸す以上の魔法銀が採れるからなぁ。裏に回しても問題ねぇ。疑われないように定期的に依頼さえ入れておけば問題無かったんだがなぁ」
「口封じの為の集落が狩り尽くされる程の実力者が来るなんて予想外です」
「まぁ、結果的に口封じ出来ればどっちでも良いだがなぁ」
ヌーボ発掘班主任であり、この村を支える採掘の権限はほぼ全て彼にある為、実質的な村の長としての実権を握っていた。
この鉱山の魔法銀の採掘量はシンフォニア王国に幾つかある中で群を抜いており、質の低い魔法銀を一般市場に流すだけでも国への貢献を認められ、上質な物は秘密裏に裏市場に回りしたり、繫がりのある貴族れの賄賂代わりとして送る事で莫大な財産と貴族に匹敵する地位を確立させていた。
しかし、世界規模の冒険者ギルドを馬鹿にできる筈もなく、ある程度信頼
関係を保つ為に定期的に依頼を出し、気付かない者は造人を数体討伐させ成功をさせたり、稀に勘の良い者は口封じとして小鬼の集落へ投げ込みんだり、宿を襲わせて殺し、冒険者は帰って来ず死亡したとギルドに報告を入れて依頼失敗をギルドの見立ての甘さが原因だとさせた上で、謝罪をするギルド側に「失敗はしょうがない」「ギルドに責任は無い」等の言葉で謝罪を受け入れて、ギルドが強く出にくい状況を作っている。
「にしてもだぁ。向かわせた奴ら遅すぎねぇかぁ?」
「確かにそうですね。おい、ポン。ちゃんと指定した宿に連れていったんだろうな?」
「は、はい!ちゃんといつもの所でいつもの部屋に案内しました」
「ったくよぉ。拾ってやった恩を忘れるような真似は許さねぞぉ」
宿での殺害の際には、ポンに命じて自分の部下の宿に案内させて、同じ部屋に泊まらせる事で滞りなく実行出来る算段をつけていた。
それなのに、今日はやたらと時間がかかっており、ヌーボは苛立ちを募らせる。
「今回はギルド側にどう責任を取らせようかねぇ。いっそリンちゃんを寄こせでも良いなぁ。そしたらあの身体を好き放……」
ヌーボが今回の件にどう言及しようか妄想を膨らませていると、扉が荒々しく開かれた。
「おい!ノック位しやがれ!」
「す、すみません!外で問題が起こっていまして」
「何だぁ?」
「屋敷の周りを巡回している奴らが何者かの襲撃に遭っています!多分弓か何かで攻撃されているのですが、何処からかが分からないんです!」
「あぁ!?見張りにはちゃんと感知系統の奴らを置いているだろうがぁ!?」
「そ、そうなんですが、それでも見付けられないのです!」
「役立たず共めぇ。方角位は分かってんだろうなぁ?」
「は、はい。方向的には門の正面の方から……」
報告に来た部下が言い終わる前に、その男の両膝を何かが通り抜ける。
「あぎゃぁぁぁぁぁ!!」
「ちぃ!おいガキぃ!明かりを消して窓を閉じろ!明るいと的にされるぞぉ!」
「は、ははは、はいっ!」
部下の男を心配する事も無く、ポンに命じて窓を閉めさせ明かりを消す。
「舐めんなよ、賊がぁ!おい、お前もやれぇ!」
「はっ!」
「「土よ、我らを守る防壁を創り給え《地の防壁》」」
ヌーボともう一人の男が窓を塞ぐように壁を作り出した。
ヌーボは上級加護《地の妖精の加護》を、もう一人も下級加護《地の加護》を持っており、防御に徹すれば他の属性系統よりも優れている。
そんな二人が造り出した壁を壊すのは生半可な事では無い。
「これなら相手からは見えないので大丈夫でしょう。仮に見えたとしても弓矢程度ではビクともしません」
「ヌーボ様!俺、俺も入れて下さいっ!」
「うるせぇ!お前はそこで賊の気を引いておけ!命令だ!」
「嫌だ!死にたくなっ!うわぁぁぁっ!!!」
壁の外に取り残されたポンは必死に訴えるが、むしろ囮になれと命令された。
命令に反して助けを求めた彼には首輪から無理矢理魔力が身体に流し込まれ、抗う事が出来ない痛みに襲われる。
しかし、彼等は分かっていなかった。
その行為が火に油を注ぐ事に。
「今の内に逃げるぞぉ!」
「は……」
男が頭を貫かれその場に倒れる。
彼等は甘く見ていた。
世界最高峰の防御を貫ける矢の前には、土の壁程度何も無いのと同義だと。
「くそぉ。何処か、ぐわぁぁぁぁあ!!何故だぁ!何でぇ!」
間髪入れずヌーボの両足が射抜かれる。
彼は知らなかった。
一人の少年に渡された一枚の銀貨の事を。
更に続けてヌーボの腕や手、致命傷にならない部位を矢が地面と縫い付けた。
先程までの一瞬で身体を貫通してしまう矢と違い、明らかに加減されて放たれているにも関わらず、正確にヌーボを捉え続けた。
夜更けから明け方までの短い時間に、ヌーボの屋敷に居た者は頭を射抜かれて死亡したか、致命傷を避けつつも動けない状態となっていた。
ただ一人、奴隷の少年を除いては。




