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【完結】流星を放つ鷹【鷹の眼の射手】  作者: まっしゅ@
第四章 運命の日

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第三十七射目

今回から第四章スタートです。

 翌日の朝、まだ外が薄暗い中で目覚めた。

 マロさんから貰った懐中時計を見ると、日が昇るまでには二針分はあるみたいだ。

 昨日の夜も何時もの日課が出来ず、今日の朝も出来ないとなると色々腕が落ちそうで不安になる。

 かと言って、まだ正式に任命されてない僕が気軽に出歩いて良いものなのか?


「とりあえず、誰かに聞いてみよう」


 執事服は持ってない、いつも通りの服装に着替えて部屋を出る。


 もう既に皆少しずつだが動き始めていた。

 近くにいたメイドさんに挨拶を含めて、何か出来る事はないかと聞いてみると、


「専属執事のユウリ様はフラン様に関する事以外はしなくて良いんですよ」


 と言われてしまった。

 それならば。と、訓練所に向かって良いか聞いてみたところ、問題ないと思う。もし、何かあれば自分が呼びに行く。と言われたので、お礼を言って訓練所に向かった。


 訓練所にも既に兵の方々がおり、各々訓練を始めていた。

 その中にジルク隊長が居たので、近付いて話しかける。


「ジルク隊長、おはようございます」

「ユウリ君、おはよう。体調は大丈夫かな?」

「はい、もう問題ありません。昨日はご迷惑をおかけしました」

「私は何もしてないよ。全て団長がしてくれたからね。部屋までお姫様抱っこだったし」

「嘘でしょ……?」

「本当だとも」

「マジか……」


 この歳でお姫様抱っこされたなんて……。


「恥ずかしさで爆発しそう……」

「なんと!?そのような能力まで」

「いや、ある訳ないじゃないですか」


 ジルク隊長、真面目過ぎて冗談が通じないのか……、気を付けよう。


「ところで何故日も昇らない内からこんな所に?」

「まだ正式に任命されてないので、何か手伝おうと思ったのですが、僕は出来ないみたいで。だから、日課の朝の訓練でもしよ……」

「是非私もご一緒させて下さい!」

「うぉっ!?」


 近い近い。

 ジルク隊長程の方が一緒になんて退屈じゃないかな?

 でも一人よりは良いかもしれない。


「じゃあ是非。僕からもお願いします」

「ありがとうございます!では何からされますか?」

「え?何故敬語?」

「これから教えを請う私が敬語を使わないのは礼を失するので……」

「いやいやいや。むしろ、僕としては普通に話してくれたほうが良いんですが」

「そうかな?じゃあ普段通りにさせてもらうよ、ありがとう」

「それでは、始めましょう」


 いつも通り準備運動がてら軽く走ってから、柔軟や筋トレをしていく。

 途中ジルク隊長が「私の知ってる準備運動じゃない」と呟いていた気がしたが気にしない。

 そして、弓を出して一連の動作の反復。

 合間にジルク隊長の質問や最初からチラチラこっちを見ていた周りの方々も集まってきて、最終的には僕の訓練というよりも勉強会になってしまった。


「そろそろお館様達が起きる頃合いです。一度部屋に戻られては?」

「ありがとうございます。そうさせてもらいますね」


 一人の団員に言われて、お礼を伝えてから部屋に戻る。

 浄化の魔道具使ったから着替える必要ないかな?とか考えていると朝会ったメイドさんが部屋に入ってきた。


「ユウリ様、旦那様がお呼びです。食堂までお願いします」

「ありがとうございます」

「では、参りましょう」

「あ、はい」


 このメイドさん何処かで見たことある気がするけど気の所為かな?

 そんな事を考えながら、後ろをついていくといつの間にか食堂前にいた。

 メイドさんがノックをしながら尋ねている。


「旦那様、ユウリ様をお連れしました。中に入っても?」

「ありがとう。入っておいで」

「失礼します」

「おはよう、ユウリ君」

「ユ、ユウリ。お、おはよう」

「おはようございます。辺境伯閣下、フラン様」

「さぁ、座ってちょうだい。食事を始めましょう」

「僕もですか?従者になるなら後ろに立っているのが普通では……?」

「ほら、フラン」

「ユ、ユウリ、私の横に座って。一緒に食べよ?ね?」

「は、はい……。かしこまりました」


 何故か僕まで一緒に朝食を食べることになった。

 一切会話の無いまま、食事が進んでいく。

 本当に何故僕がここで食べているんだろう。あ、これ美味しい。


「ユウリ君、少し話して良いかな?」

「はい、何でしょう?」

「昨日エマとガルシアと話したんだが、フランは護衛兼専属執事として雇うと伝えていたが、それを辞めようと思ってね」

「お父様!?どういう事てすか!?」

「フラン、落ち着きなさい。彼の話をちゃんと最後まで聞いてから意見があるなら言えば良いでしょ」

「……はい。お父様、お母様申し訳ありません」

「フランは悪くないよ。私の言い方が悪かったね。ユウリ君もすまない」

「いえ。閣下の事ですから、何か理由かあっての事でしょう?」

「流石だね。実は昨日護衛兼専属執事と言ったけど、それだとフランとの主従関係になってしまう。ここまでは良いかな?」

「はい。つまりは主従であると都合が悪いと?」

「うん、そうなんだ」

「理由を伺っても?」

「それは簡単なことだよ。フランが主従関係であることを望んでない。と言ってもユウリ君が嫌なわけではなくて、対等じゃなくなるのが嫌なんじゃないかと思ってね。だから、この家には居てほしいんだけど、立場を変えようと思ってね」


 フラン様から嫌と言われたのかと思い、一瞬焦った。

 でもすぐに辺境伯閣下が否定してくれたが、対等か……。

 辺境伯令嬢と一平民が対等になれる方法なんてあるわけ…………あった。


「フランお嬢様の家庭教師ですか・・・」

「正解だよ。フランに教える指導者としての立場なら貴族と平民の煩わしい壁なんか抜きにして、二人は対等になれる。どうしても私達に対しては、雇い主と雇われの関係になってしまうけどね」

「ディーセス辺境伯家に忠誠を違うのは勿論の事ですから問題ありません。ただ、そうなると先生と教え子になってそれはそれであやふやになる気も・・・」

「同い年の優秀な友人を師として共に生活し、お互いを高めていく。それで良いじゃないか。なぁ、フラン。どうだい?」


 そう、あとはフラン様次第。


「私は……ユウリに守ってもらいたいわけでも、お世話してもらいたいわけでもない……。ただ、一緒にいたい……だけ……です……」


 最後は殆ど聞こえないくらいの小さい声だったが、一緒にいたい。そう言ってもらえた。

 それならば、僕の答えは一つしか無い。


「辺境伯閣下、僕はフラン=ディーセス様の家庭教師として、誠心誠意お仕えすることを誓います」


 片膝を付き、頭を深々と下げる。


「ディーセス辺境伯家当主、ノイ=ディーセスとして任を命ずる。君はフランの師として、血の繋がりが無くとも家族として、この屋敷の専属指導者に任命する」

「はい。ありがとうございます」




 この時僕は受け流していた【屋敷の専属指導者】というフレーズ。

 フラン様だけではなく、まさか不沈艦の面々の指導も任せられる事になるとは。

 後から少しだけ後悔したのは言うまでも無い。

とうとう毎日更新が途絶えてしまった……。

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