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【完結】流星を放つ鷹【鷹の眼の射手】  作者: まっしゅ@
第三章 出会いと激変

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第二十七射目

「まず今回の件について、謝らなければなりません」

「フランお嬢様、本当に申し訳ありませんでした」


 モイ様とロンさんは立ち上がり、頭を下げた。


「頭を上げて下さい。モイ様とロンさんは何も悪くありません。謝罪を受け入れます」

「何故お二人が……。あ、そうか」

「そうだ。今回の宿は僕の商会【モイ商会】が経営している宿なんだよ」

「ディーセス辺境伯様とそのご家族様には昔からご贔屓にしてもいただいていたのに、この様な自体になってしまい……。誠に申し訳なく……」

「お二人には否がありません。お父様にも今回の件で今後のお付き合いを変えないように私から伝えますので」

「恩情感謝いたします」


 やっぱり。

 街一番の高級宿って話だったから、それを経営出来るとなると最低でも街で上位に位置する誰かとは思っていたけどまさかモイ様本人が経営していたらしい。

 安全面が今回の件で疑われようもんなら宿だけではなく、モイ商会全体の信用を脅かす可能性も否めない。

 だからこそ、本人からの謝罪ってことか。


「つきましてはお詫びとして、まず今回アリアまでの旅路における食料やその他物資は全てモイ商会がご用意させていただきます」

「お嬢様に許可をいただく前でしたが、準備もあるのでそちらの件に関しては私が勝手に承諾いたしました。事後報告になり申し訳ありません」

「ソーラが判断したのなら問題ないよ。まずと言うと他にも?」

「はい、その点は私共では判断が難しかったので」

「分かりました。ロンさん、続きを」

「はい。次に我々モイ商会は平時・有事問わず、ディーセス辺境伯家及び不沈艦への武器・防具・物資を優先的に且つ他よりも上質な物を安値で提供させていただきたいと思っております」

「成る程……。それはこちらのメリットは大きいですね……」


 フラン様も予想外の好条件に思わず目を丸くした。

 だが流石はモイ商会、転んでもタダでは起きないつもりだ。

 これの条件が決まれば、ディーセス家は特に有事の際に安定的な補給を受けられるし、平時でも不沈艦の戦力増強がしやすくなり、任務遂行をより行いやすくなる。

 モイ商会は売上は期待出来ないものの、ディーセス家の後ろ盾を得ることが出来き、今の地位をより盤石に。いや、辺境伯家ともなれば、実質的に王国との結び付きが強くなる点で更に勢力を拡大させる事が可能だ。

 両者共に損はない様に感じるが……。


「フラン様。部外者である僕が口を出しても良い案件ですか?」

「うーん。ソーラ、どう思う?」

「本来は即却下ですが、今回はユウリ君も事件の当事者の一人です。それにこの子は妙に勘が働くのでモイ様次第ですが私としては宜しいかと」


 妙にとは何だ、妙にとは。


「そういう事なんですが、モイ様は如何でしょう?」

「勿論大丈夫です。もし口を挟まないでほしい内容ならここに呼んでいませんから。さぁ、ユウリ。話を聞こうか」

「皆さん、ありがとうございます。では、先程のお話で気になった事を質問させていただきます」

「あぁ、どうぞ」

「平時・有事問わず優先的にと仰いましたが、特に有事の際とはどの様な時でしょうか?」

「それは勿論、東の港町アリアにとっては他国からの侵略が想定される。その場合の戦時中に支援するという意味だ」

「例えば、全方面が同時に侵略されようとしていても?」

「有り得ない話だが、その場合でもディーセス辺境伯家を最優先としよう」

「どうですか?フラン様、不沈艦の皆さん」

「有り難い話ですね」

「あぁ、そうだな。戦況によっては支援を他に回してもらう事も?」

「それはその時々臨機応変に対応させていただきます。ただ、他家にまで特別料金とはいかないですが……」

「それはしょうがないな。ユウリ君、問題ない」

「分かりました。では、もう一つ。国内での貴族同士の戦の場合はどうなります?」

「貴族同士……と申しますと?」

「また例えの話になりますが、ディーセス辺境伯家とどこでも良いですが、今回北に逃げようとしてたので北の辺境伯家としましょう」

「ゆ、ユウリ君!?そんな話は他でしようなら、打首だぞ?」

「だから、今ここで話してるんですよ」


 確かに他家に疑いをかけているとなれば、この場にそちら側の人間がいた場合に僕の命は無いだろう。

 だが、それでもこの点は聞かなければならない。


「もし仮にそうなった場合、モイ商会は()()()()()()()()支援するという事でよろしいでしょうか?」

「そ、それも同じくディーセス辺境伯家を最優先に……」

「ロンさん、それでは意味がないんです。僕が言いたいのは……」

「そうなった場合、ディーセス辺境伯家以外を()()()()()と言いたいのか?」 

「その通りです。正確には、相手側に物資が流れないように調節してほしいんです」

「そ、そんな事したらモイ商会は他の貴族から弾圧されてしまいます!」

「だから、聞いたんですよ。それの可否によって、この話の重要度が変わりますから」

「…………っ」

「ロン。ここからは僕が対応しよう。ユウリ、君は我々にディーセス辺境伯家に殉じて死ねと言っているのか?」


 やっと、本人の登場。

 そして、やっぱりここまでの商会を一代で立ち上げた豪商、先程迄とは比較にならない眼光と圧だ。

 でも、ここで怯んだりしたら今までの話の意味がなくなってしまう。


「そんな事を言っている訳ではありません」

「ならばどういう事かな?」

「僕は言いました。調()()してほしい。と」

「……続けろ」

「全く流さない。となると、モイ様やロンさんの言う通り商会どころか皆さんの命が危うい。だけど、量を少なめにしてもらえるだけでも有事には絶大な効果が得られる。そうでしょう?」

「…………」

「理由はモイ様程の方なら幾らでも用意出来る筈ですよね?」

「そうだな。最悪ディーセス辺境伯領にいる我々がそちらに向かうのは困難だ。とでも言えば制限は可能だ」

「他にも武器や防具も最低限実践可能な量や質にしていただくだけでも良いですし」


 厳しい目をしていた怒りに震えて俯いた……。と思ったら、笑い出した。

 最初は我慢して噛みしめる様な笑いから最終的には大笑いに。


「まさか、まさか。日に二度もここまで楽しませてもらえるとは!しかも相手は成人したての少年だ!良かろう!ユウリ、その案を呑もう!」

「しかし、会長……」

「ロン。僕が判断を間違えた事があったかい?この《商業王》の僕が」

「い、いえ。今まで一度たりともございません」

「そうだろう。だからこれで決定。モイ商会はいつ、如何なる時もディーセス辺境伯家を()()()()()()()()事を誓わせてもらう」

「ありがとうございます。如何ですか?フラン様、ソーラさん」

「…………はっ!申し訳ありません。あまりに予想外の展開に一瞬意識が飛んでいました」

「ユウリ君、君はなんという事を……」

「迷惑でしたか?」

「そんな事はない。これは旦那様にとって最上の手土産となるだろう」

「ソーラの言う通りです。ユウリ様のお陰で私達にとって最も良い結果となりました」


 攫われた甲斐があります。と冗談っぽく言われたが、それはちょっと豪胆過ぎる……。


 正式には改めて辺境伯自身との話し合いで決まる様だが、予め話を通すためにモイ様本人の直筆の手紙と封筒には印章を捺して渡してくれた。

 さぁ、これでゆっくり休める筈・・・


「あとは、ユウリへの御礼と今回の犯人達の身元と犯行動機の話だな」




 まだ続くんですね……。

 最初はなるべく二千字程度でサクサク読めるようにしていた筈が、いつの間にか長くなってきている気が・・・。

 とは言っても二千五百〜三千字程度なので、まだサクサクだと思います。

 でも長い方がページ数が少なくて読みやすいのかな?とも思うのですが、今から変えると違和感がありそう・・・。

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