第二十射目
席を移動して、改めて話を始める。
「遅くなりました。私は冒険者ギルド、トルネネ支部の受付をしております、リッカと言います。よろしくお願いします」
「ご丁寧にありがとうございます。僕はユウリと言います。ってさっき書いたから知ってますよね」
「そうですね。でもユウリさんこそ丁寧にありがとうございます」
「さん付けとか敬語じゃなくて良いですよ?僕は成人したてなので」
「いえいえ。勤務中ですので、それは崩せません。でも、ユウリ君って呼ばせてもらいますね♪」
「重ね重ねありがとうございます」
「なんだか貴族のご子息みたいですね〜」
「育ててくれた爺ちゃんが厳しくって……」
ちょっとした雑談も交えながら、説明をしてくれた。
何だかんだ基本的な事は本で読んだり、爺ちゃんに聞いて知っていたのでより詳しい話を聞いていった。
階級は七段階、上から
魔法銀・・・大陸全土でも百人程。実質、冒険者の頂点。
白金・・・国に数十人程度。三級程度のならソロで討伐出来る。
黄金・・・一級の冒険者で、街単位でも数は多くない。
銀・・・小さな町や村だと一人か二人しかいない。指名以来が発生する。
銅・・・一人前と認められる。中級冒険者。
鉄・・・実質ここからがスタート。討伐任務も可能になる。
石・・・見習い扱いで、身分証代わりに持つ人が多い。
に分けられ、銀階級以上になると先述した実力や依頼達成率・貢献度以外にも、人間性や最低限度の教養が必要となるらしい。
これは、貴族や商人の依頼人に対して失礼がない様にと、中堅冒険者となり、有事の際は新人冒険者達をまとめたり指導したりする観点からの制度らしい。
確かに、力強いだけの傲慢な人が上にいたらギルドも大変だろうし。
また依頼の成功失敗はギルドカードの魔力情報から読み取れるので虚偽の申告をした場合は罰則があるらしく、便利な事に魔物の討伐数も記録されていくらしい。
なお、作った時点から。らしいので、もし作る以前からなら僕の討伐歴は中々の数になっていただろう。
失敗しても基本的にお咎めは無いものの、あまりに多過ぎたり一定以上続いた場合、階級に見合わない実力と判断され降格処分もあり得るので、気を付けて下さいとのこと。
依頼を受ける際は必ずギルドを通して受けなければならず、直接依頼を受けトラブルが発生した場合は全て自己責任となり、それが発覚すると事と次第によってはギルドカードの剥奪が有り得る。
また、依頼達成報酬は報告後、直接受け取ることも出来るし、ギルドに預金も出来る。
預金に関してはギルドカードを見せれば何処のギルド支部でも受け取れるが、場所によっては一度に受け取れる上限額が変わるので気をつける事。
ギルドとしては預金をしてもらったら有り難いらしいが、その日暮らしの者も多く全て直接受け取る事が、特に銅階級以下には多いらしい。
逆に銀階級以上になると依頼によっては額が額なので、一部を渡して残りは一旦預金とし、分割しての支払いとなる場合もなるそうだ。
銀階級以上の話に関しては僕にあまり関係なさそうだ。
ただ、その日の宿代やご飯代位を受け取って預けておくのはありかもしれない。
「説明の通り、ユウリ君は初登録なので石階級からのスタートになりますので、頑張ってランクを上げて下さいね」
「はい、いずれは依頼を受けてみようと思います。いずれは」
「ふふっ。では、これで最初の説明は以上になります。他に質問があればその都度聞いて下さい」
「分かりました。リッカさんの説明が分かりやすくて助かりました。ありがとうございます」
「説明上手だなんて……。褒めても何も出ないですよ?ただ、最後に一つだけ言わせて下さい……」
「は、はい」
リッカさんの雰囲気が急に変わったけどどうしたんどろう?
「達成率や失敗の際の降格処分の話をしましたが、あくまでそれは生きていればの話です。無理だと思ったらちゃんと逃げて下さい。死んだら元も子もありません」
「その通りですね。依頼を受ける際にはその言葉心に刻んでおきます」
「分かってくれて何よりです。どうも冒険者になる方々は自信家の方も多くて……」
「ははは……。気を付けます…………」
「では、これで以上になります。お疲れ様でした」
「こちらこそ長く時間を取らせてしまって申し訳ありません。とても助かりました」
「いえいえ、ではユウリ君のこれからに幸多からん事を」
「ありがとうございます。では失礼します」
結局、登録だけのつもりが結構な時間を使ってしまった。
急いでロビンさんを探しに行く。
あ、いた。流石ロビンさん、本当に最初にいた場所から全く動いてない。
「申し訳ありません。色々説明を受けていたら遅くなってしまって……」
「大丈夫だ。何事も基本は大切だ。話を聞くのも立派な冒険者の仕事だ」
「あ、ありがとうございますっ!」
「あぁ。じゃあ行くぞ」
「他にも何かしなきゃいけない事があるんですか?」
「さっき話していただろう?宿に行くんだ」
「あ、はい。いってらっしゃい。案内助かりました」
「ん?何を言っている?お前もだ」
「え?」
「聞こえなかったか?お前も一緒に行くんだ」
「いやいや、聞こえてましたけど、僕もなんですか?」
「当たり前だろう?お前は見張り役として雇われているんだから」
「そういう設定だっただけでは?」
「そうだったのか?」
あれ?話が噛み合ってない?
ロビンさんって案外ドジっ子だったり?
「まあ良い。とりあえず同行しろ。私が間違っていたら、謝罪と別の宿に案内する」
「謝罪は要らないですけど、宿への案内は有り難いです」
「よし、改めて行くぞ」
「はいっ!」
ロビンさんに付いていって、もし間違いならそのままここを拠点に色々調べたりしたら良いかな。
どうせ漠然とした目的地の無い旅だし、行き当たりばったりもそれはそれで楽しいよね。
ギルド階級は漢字表記でもルビ振り表記でも読んで問題無いので、今後ルビ振りは無しになります。




