鬼を嫌う理由 疑問編
「良し、50点!あぁ~外れ・・・今度こそは!」
「アカキバ、ちょっと聞いても良いか?」
「何だイヴァン、俺の遊びを邪魔しないでくれ。」
「遊ぶのは勝手だけど、勝手だけどな・・・」
イヴァンが大きく息を吸い、
「何なんだよ!この鬼の的当て場と化している部室は!!」
イヴァンの言う通り、強化部の部室が的当て場と化している。
しかもその的が鬼なのだ。鬼の目や、手や、足や、胸に点数が書いていて、それにボールや矢や魔法をぶつけて点数を稼いでいく訳だ。
「そう言えば今日、僕以外の部員は来なかったのか?」
「いや、全員来たんだけど何故か帰っちゃったんだよな~何でだろう?」
(アカキバの恨みを込めた鬼の制作にビビったとかじゃ無いのか・・・?)
「これが爽快なんだよな~イヴァンもやんない?超大当たりもあるよ。」
「超大当たり?」
「子供の鬼があそこにあるだろ?その鬼のおでこの真ん中辺りに小さい的があって、そこに矢を刺せば千点獲得出来る。」
「難しいなぁ~」
「し、か、も、その的の部分だけ矢が通る様に出来ていてな、中には赤い絵の具が入っているから鬼を仕留めたと言う気分になって爽快だぞ。」
「うん、お前が鬼を憎んでいるのが非常に良く分かるな・・・」
イヴァンがそう言いながらも矢を持ち、構えた。
「頑張れ~イヴァン!鬼をぶっ殺せ~イヴァン!」
「うん、その声援止めようか。」
そしてイヴァンは矢を投げた。その矢はおでこに当たり、赤い絵の具が出た。
「大当たり~1000点だ!」
「・・・虚しい。」
イヴァンがこう思うのも無理はないだろう。
「と言うかさ、何でアカキバはそんなに鬼が嫌いな訳?」
「・・・・・」
イヴァンに質問された赤牙が黙り込んだ。
「何か、不味い事でもあるのか?」
ちなみに赤牙はオーガタイプに踏み潰された事があるが、理由はそれでは無い。
「確か・・・俺が九歳位の時だったな・・・」
俺が遊びに出かけた帰り道、道路の隅で紙芝居をやっていたんだ。
題名は「泣いた赤鬼。」
山の中に心の優しい赤鬼が暮らしていてな、その赤鬼が人間と仲良くしようと遊びに来てくださいと言う内容の看板を建てた。
でも、その看板を見た人間は疑い、誰も来ようとは思わなかった。
仲良くしようと思ったのに、自分は悪さをしていないのに怖がられた赤鬼は腹を立てて看板を壊した。
そこに赤鬼の友達の青鬼が来て、心優しい赤鬼の乱暴な行為に驚き、事情を聞いた。
事情を聞いた青鬼は、赤鬼と人間を仲良くしようと考えた。
そして、青鬼が人里に行き暴れて、赤鬼がやっつければ人と仲良く出来ると言う考えに達した。
当然赤鬼は反対したが、青鬼は強行した。
考え通りに赤鬼と人間は仲良くなったが、赤鬼の心は割り切れていなかった。
青鬼の事が心配になって赤鬼が青鬼の家に行ってみた。
そしたら玄関の戸に張り紙があった。
張り紙には、暴れた青鬼は優しい赤鬼と仲良くなんかもう出来ないので旅に出ますと書いてあった。
その張り紙を赤鬼は何回も何回も読み直して最後に泣いた。
俺はその頃から捻くれていたんだけど、その話を聞いて考え付いたのは一つだけだった。
この作者はどんな考えでこの話を書いたんだろうなと言う事だけ。
その事だけを考え続けていたら突然、助けを求める声が聞こえた。
声が聞こえた方を向くと、なんと川で同級生の女の子が溺れていたんだ。
俺はすぐに長い物と大人を探した。
長い物は見つかったが、大人は見つからなかった。
仕方が無いから大人が通り掛かるまで長い物で支え続ける事にした。
幸い、川に投げた長い物を同級生は掴んでくれた。
俺は大声で助けを求めた。
偶然早番だった親父が通りかかってすぐに駆け寄ってくれた。
親父に事情を話したが、親父は誰もいないと言った。
俺は驚き、振り返ると確かにいなくなっていた。
力尽きて手を離してしまい、溺れたのだと考えた俺は気絶してしまった。
翌日俺は沈んだ気持ちのまま学校に向かった。
するとそこには助けようとしていた同級生が何事も無かったかの様に同級生の友達と話をしていたんだ。
俺は心底ホッとして、同級生に無事を確認した。
だけど、何故か同級生と同級生の友達は俺に軽蔑の目を向けた。
そして同級生はこう言った。
「なんで突き飛ばした人がこの学校に来ているの?とね。」
「え?どう言う事だ?訳わからん・・・」
「続き、良いか?」
赤牙の昔話はまだ続く・・・




